1つ目の『廃棄本丸』の対処
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本丸の裏庭からは、百合の花一本さえもなくなっていた。
百合の花で埋め尽くされていたはずの地面には、多量の血痕と思われる跡が見て取れた。中には、なにかが血痕を踏んだのだろうか、足跡までも血の跡として残っていた。
「赤の管狐」
山姥切長義が呼びかけるとジジッと通信が入った音がした。
「怪異は一時的に消滅したが、場合によっては再度発生する可能性が高い」
通信の向こう側、政府のスタッフの声がかすかに聞こえてきていた。あと一時間以内には清掃や浄化、遺体の改修が行われるのであろう。
淡々とした声で続けた。
「審神者の遺体からは両腕が欠損しているが持ち去られてはいない思うが、よく警戒をしてほしい。俺の推測でしかないが両腕は怪異の元となり、そして力を使い話して消滅している。それにここ最近で時間遡行軍側で奇妙な動きがあったということもないだろう?」
山姥切長義は裏庭から、本丸内を通って出口に向かった。
道中もやはり血の跡があちこちについていた。この本丸の審神者は、せめて血の跡ぐらいはと、自身の本丸は綺麗にと願っていたのだろうか。それでもすべては隠し切れなかったほどに、戦いの跡は色濃く残っていたわけなのだが。
審神者の部屋に横たわっていた遺体は残ったままだったのだが、その顔は初め見た時とは異なり目を閉じていた。とっくに亡くなっているはずなのだが、目じりからは涙がつぅっと落ちていた。
そして出口少し前、中庭に目をやれば刀の破片が複数振分落ちていた。練度の低い男士が追い詰められたのか、それとも。眉間にしわを寄せながらも、山姥切長義は続けて連絡を入れる。
「怪異により隠されていた折れた刀が複数ある、その類の準備を進めておいてほしい」
山姥切長義は一度抱えていた、外套に包まれた刀を一度床に置くとジャケットを脱いで中庭にある刀達の破片を一つ一つ回収した。こちらは比較的形を保ったまま折れているようだ。
なすすべなく、とは思いたくはないものだが、当時の惨状はわからないままだ。今後の調査が入ることになるとは思うが、それでも刀の一振りずつの最期まで検証されることはないだろう。
破片を拾い集めると、外套で包んだ破片も拾い上げて両腕でしっかりと抱いた。
山姥切長義は通信を入れずにそこにいない同胞に語りかけた。
「あなたたちの最期を知ることはできないが、せめて審神者を、そして歴史を守ろうと戦ってきていたことは称えよう。たとえ政府が見ようとしなくとも、今ここにいるこの俺、刀剣男士の山姥切長義が受け止めて忘れずにいよう」
歩きながらぽつぽつと言葉をかけた。
この本丸の玄関部分、任務を受けた際に入ってきた場所にまで戻ってきた山姥切長義はゲートを繋ぐように連絡を入れる。
すると直ぐに視界にグリッチのようなゆがみが走ったかと思えば、赤い鳥居が表れた。そして鳥居の中から政府時代のよしみである水心子正秀だった。体のほとんどが黒い外套に覆われていることに加え、目部下に帽子をかぶっているため、山姥切長義からはよく表情が見えなかった。
「出迎えが君だとは、水心子」
「山姥切長義、あなたはまた!」
水心子正秀は怒ったような口調で続けた。
「『山姥切長義』という政府の刀の性質なんだ。俺にはどうもできない」
「そうやって忘れず、受け止め、引き受けて最後は刀の姿から戻れなくなった『山姥切長義』を何度も見てきたんだ。それなのに」
水心子正秀は元から深くかぶっている帽子のつばを持ち、さらにぐっと下げた。
『本作長義』の茎に歴史が刻まれた影響なのか、本質として受け止め、忘れずにいることに特化している政府刀の山姥切長義。政府に直属で働いていたことのある個体であれば、怪異などの存在と約束の一つや二つ、交わしていることは普通であった。もちろんそれを心配する、この水心子正秀のような個体もいるのであるが、そうすることでいままで怪異を納めてきた事実があることから、「よし」とさせてきたいた。
もちろん、他の政府刀の本質的なものを利用したものはあるのだが、それはまた別の話になる。
「今に始まったことではないさ。それに持てる者こそ与えなくては、だ。まあこれは「与える」とは少し形が違うかもしれないけれど」
山姥切長義は水心子正秀に近づくと、うつむいている顔を覗き込んだ。陰になってよく見えはしないが、それでも水心子の表情が険しいことはなんとなく伝わってきた。
「……今の俺は君と同じ審神者の刀だ。自身のできる範囲以上のことはしない」
「……ぜひそうしてほしい」
「あぁ、約束だ」
山姥切長義が優しくそう言うと、水心子正秀はぱっと顔を上げた。突然のことに山姥切長義は驚き一歩後ろによろめいた。
「そうやって!また!約束をするんだ!『山姥切長義』の中でも多すぎる!」
「水心子正秀、君案外というかなんというか、頑固だな」
「なっ」
あなたには言われたくないとでも言いたいかのように、水心子は山姥切長義を見た。
その様子に、山姥切長義は、ははっと声を上げて笑い水心子の横を通り過ぎて鳥居をくぐろうとした。そしてその後を水心子正秀が追いかけるように後に続いた。
鳥居をくぐると次回がジジッと歪んだ。すると直ぐに視界は変わり自身の本丸に戻ってきていた。振りかえりゲートとなっている鳥居を見ると、いつも通り真っ白な姿に変わっていた。
「おかえりなさいませ、山姥切長義。そして対処お疲れ様でした」
足元から赤い管狐が帰還の言葉を投げた。戻ってきた山姥切長義と水心子正秀の二人は、視線を管狐に落とす。
「破壊された刀剣の回収をした、丁重に扱ってほしい。場合によっては怪異が再発する」
「承知いたしました。ほかには」
「手については後ほど報告書を出すから、それを確認してほしい。あと……いや、全部報告書にまとめる。それでいいね?」
「承知いたしました。破壊された刀についてはこちらに」
管狐はちょんちょんと歩いていくと、鳥居のすぐ下にあった白い布のようなものを加えて持ってきた。
どうやら刀の破片は赤い管狐が直接政府に持ち替えるらしい。いつまでも山姥切の外套とジャケットにくるんでいるわけにもいかないようだった。
山姥切長義は静かに膝をつくと、自身がくるんでいたものを地面に広げて、中にある破片を一つずつ白い布へと移動させた。
その間、水心子は、山姥切長義に聞こえぬようこそこそと赤い管狐に問い詰めた。
「なぜ我が本丸の山姥切長義に任せた。彼はすでに政府直属の時代に数えきれないほどの約束やしがらみを抱えているのに!」
「お答えできません」
「もし次があれば私が行く」
水心子の言葉に管狐の返答はなかった。それは言葉に詰まったからではなく、単に返答する意味がないと解釈されたからに違いなかった。
水心子は外套に隠れて見えない拳をきつく握りしめる。
「終わったよ。水心子正秀、何を話していたんだ?」
水心子正秀が顔を上げれば、すぐそばに山姥切長義が立っていた。そしてしゃがみこみ刀の破片を包んだものを、管狐の体に背負わせるように結んだ。
「じゃあ管狐、頼んだからな」
山姥切長義がそういうと、赤い管狐は軽い足取りで駆けて行ってしまった。
「で? 誰が『次があれば私が行く』だって?」
「えっ、聞こえて⁉」
水心子正秀は驚いて口元の外套をぐっと引き上げた。山姥切長義は少し呆れながら「これだけ近い距離で話していたら、それはね」と苦笑した。
「それは、そうか……。それでも!聞こえていたとしても私の思いは変わらない。次何かあれば私に、いや、この本丸にいる元政府の刀に声をかけていただきたい」
「善処しよう」
山姥切長義は地面に敷いたままにしていた自身の衣服を持ち上げて土を払った。雨は降っていなかったのでそこまでひどく汚れてはいないが、それでも土汚れがついてしまっていた。
水心子正秀は、自身尾言葉を左から右に流すような山姥切長義にむっとして、ずんずんと近寄り肩を掴み視線を合わせるようにした。
「善処されたこと、一回もない! あなたといい一文字則宗といい、監査官に選ばれる刀剣男士は皆こうなのか」
「かもしれないな」
山姥切長義は、一文字則宗の政府時代の仕事に対する姿勢を思い返しながらも、一緒にされるのは不服なようだった。わかりやすい作り笑顔を水心子に向けた。
「……元とはいえ、私だって時の政府の刀だった。もしなにか呼ぶのに理由がいるのであれば『私の学びのため』に、次は呼んでほしい。それでもダメだろうか」
水心子正秀は山姥切長義から視線を外さずに、ひたすらまっすぐに言葉を紡いだ。その真っすぐさから出るまぶしさに山姥切長義は目を閉じそうになったが、負けたよといったように肩をすくませて見つめ返した。
「水心子正秀、君は本当に」
「頑固、なのだろう?」
「その通り。まっ、次回勉強できそうな機会が巡ってくれば声をかけよう」
山姥切長義は、水心子正秀の手を肩から外した。水心子はいまだに懐疑的な視線を向けているものの、今回のところは見逃してくれるのか、これ以上深く問い詰めてくる様子は見られない。
「水心子正秀」
「ん、なんだ?」
「俺が言うのもなんだが、政府の刀の在り方は、どこまでいっても難儀なものだな」
「……そう、だな」
この数週間後、再び時の政府より依頼が舞い込んでくることを、まだこの本丸の刀剣男士は誰一人として知らない。
百合の花で埋め尽くされていたはずの地面には、多量の血痕と思われる跡が見て取れた。中には、なにかが血痕を踏んだのだろうか、足跡までも血の跡として残っていた。
「赤の管狐」
山姥切長義が呼びかけるとジジッと通信が入った音がした。
「怪異は一時的に消滅したが、場合によっては再度発生する可能性が高い」
通信の向こう側、政府のスタッフの声がかすかに聞こえてきていた。あと一時間以内には清掃や浄化、遺体の改修が行われるのであろう。
淡々とした声で続けた。
「審神者の遺体からは両腕が欠損しているが持ち去られてはいない思うが、よく警戒をしてほしい。俺の推測でしかないが両腕は怪異の元となり、そして力を使い話して消滅している。それにここ最近で時間遡行軍側で奇妙な動きがあったということもないだろう?」
山姥切長義は裏庭から、本丸内を通って出口に向かった。
道中もやはり血の跡があちこちについていた。この本丸の審神者は、せめて血の跡ぐらいはと、自身の本丸は綺麗にと願っていたのだろうか。それでもすべては隠し切れなかったほどに、戦いの跡は色濃く残っていたわけなのだが。
審神者の部屋に横たわっていた遺体は残ったままだったのだが、その顔は初め見た時とは異なり目を閉じていた。とっくに亡くなっているはずなのだが、目じりからは涙がつぅっと落ちていた。
そして出口少し前、中庭に目をやれば刀の破片が複数振分落ちていた。練度の低い男士が追い詰められたのか、それとも。眉間にしわを寄せながらも、山姥切長義は続けて連絡を入れる。
「怪異により隠されていた折れた刀が複数ある、その類の準備を進めておいてほしい」
山姥切長義は一度抱えていた、外套に包まれた刀を一度床に置くとジャケットを脱いで中庭にある刀達の破片を一つ一つ回収した。こちらは比較的形を保ったまま折れているようだ。
なすすべなく、とは思いたくはないものだが、当時の惨状はわからないままだ。今後の調査が入ることになるとは思うが、それでも刀の一振りずつの最期まで検証されることはないだろう。
破片を拾い集めると、外套で包んだ破片も拾い上げて両腕でしっかりと抱いた。
山姥切長義は通信を入れずにそこにいない同胞に語りかけた。
「あなたたちの最期を知ることはできないが、せめて審神者を、そして歴史を守ろうと戦ってきていたことは称えよう。たとえ政府が見ようとしなくとも、今ここにいるこの俺、刀剣男士の山姥切長義が受け止めて忘れずにいよう」
歩きながらぽつぽつと言葉をかけた。
この本丸の玄関部分、任務を受けた際に入ってきた場所にまで戻ってきた山姥切長義はゲートを繋ぐように連絡を入れる。
すると直ぐに視界にグリッチのようなゆがみが走ったかと思えば、赤い鳥居が表れた。そして鳥居の中から政府時代のよしみである水心子正秀だった。体のほとんどが黒い外套に覆われていることに加え、目部下に帽子をかぶっているため、山姥切長義からはよく表情が見えなかった。
「出迎えが君だとは、水心子」
「山姥切長義、あなたはまた!」
水心子正秀は怒ったような口調で続けた。
「『山姥切長義』という政府の刀の性質なんだ。俺にはどうもできない」
「そうやって忘れず、受け止め、引き受けて最後は刀の姿から戻れなくなった『山姥切長義』を何度も見てきたんだ。それなのに」
水心子正秀は元から深くかぶっている帽子のつばを持ち、さらにぐっと下げた。
『本作長義』の茎に歴史が刻まれた影響なのか、本質として受け止め、忘れずにいることに特化している政府刀の山姥切長義。政府に直属で働いていたことのある個体であれば、怪異などの存在と約束の一つや二つ、交わしていることは普通であった。もちろんそれを心配する、この水心子正秀のような個体もいるのであるが、そうすることでいままで怪異を納めてきた事実があることから、「よし」とさせてきたいた。
もちろん、他の政府刀の本質的なものを利用したものはあるのだが、それはまた別の話になる。
「今に始まったことではないさ。それに持てる者こそ与えなくては、だ。まあこれは「与える」とは少し形が違うかもしれないけれど」
山姥切長義は水心子正秀に近づくと、うつむいている顔を覗き込んだ。陰になってよく見えはしないが、それでも水心子の表情が険しいことはなんとなく伝わってきた。
「……今の俺は君と同じ審神者の刀だ。自身のできる範囲以上のことはしない」
「……ぜひそうしてほしい」
「あぁ、約束だ」
山姥切長義が優しくそう言うと、水心子正秀はぱっと顔を上げた。突然のことに山姥切長義は驚き一歩後ろによろめいた。
「そうやって!また!約束をするんだ!『山姥切長義』の中でも多すぎる!」
「水心子正秀、君案外というかなんというか、頑固だな」
「なっ」
あなたには言われたくないとでも言いたいかのように、水心子は山姥切長義を見た。
その様子に、山姥切長義は、ははっと声を上げて笑い水心子の横を通り過ぎて鳥居をくぐろうとした。そしてその後を水心子正秀が追いかけるように後に続いた。
鳥居をくぐると次回がジジッと歪んだ。すると直ぐに視界は変わり自身の本丸に戻ってきていた。振りかえりゲートとなっている鳥居を見ると、いつも通り真っ白な姿に変わっていた。
「おかえりなさいませ、山姥切長義。そして対処お疲れ様でした」
足元から赤い管狐が帰還の言葉を投げた。戻ってきた山姥切長義と水心子正秀の二人は、視線を管狐に落とす。
「破壊された刀剣の回収をした、丁重に扱ってほしい。場合によっては怪異が再発する」
「承知いたしました。ほかには」
「手については後ほど報告書を出すから、それを確認してほしい。あと……いや、全部報告書にまとめる。それでいいね?」
「承知いたしました。破壊された刀についてはこちらに」
管狐はちょんちょんと歩いていくと、鳥居のすぐ下にあった白い布のようなものを加えて持ってきた。
どうやら刀の破片は赤い管狐が直接政府に持ち替えるらしい。いつまでも山姥切の外套とジャケットにくるんでいるわけにもいかないようだった。
山姥切長義は静かに膝をつくと、自身がくるんでいたものを地面に広げて、中にある破片を一つずつ白い布へと移動させた。
その間、水心子は、山姥切長義に聞こえぬようこそこそと赤い管狐に問い詰めた。
「なぜ我が本丸の山姥切長義に任せた。彼はすでに政府直属の時代に数えきれないほどの約束やしがらみを抱えているのに!」
「お答えできません」
「もし次があれば私が行く」
水心子の言葉に管狐の返答はなかった。それは言葉に詰まったからではなく、単に返答する意味がないと解釈されたからに違いなかった。
水心子は外套に隠れて見えない拳をきつく握りしめる。
「終わったよ。水心子正秀、何を話していたんだ?」
水心子正秀が顔を上げれば、すぐそばに山姥切長義が立っていた。そしてしゃがみこみ刀の破片を包んだものを、管狐の体に背負わせるように結んだ。
「じゃあ管狐、頼んだからな」
山姥切長義がそういうと、赤い管狐は軽い足取りで駆けて行ってしまった。
「で? 誰が『次があれば私が行く』だって?」
「えっ、聞こえて⁉」
水心子正秀は驚いて口元の外套をぐっと引き上げた。山姥切長義は少し呆れながら「これだけ近い距離で話していたら、それはね」と苦笑した。
「それは、そうか……。それでも!聞こえていたとしても私の思いは変わらない。次何かあれば私に、いや、この本丸にいる元政府の刀に声をかけていただきたい」
「善処しよう」
山姥切長義は地面に敷いたままにしていた自身の衣服を持ち上げて土を払った。雨は降っていなかったのでそこまでひどく汚れてはいないが、それでも土汚れがついてしまっていた。
水心子正秀は、自身尾言葉を左から右に流すような山姥切長義にむっとして、ずんずんと近寄り肩を掴み視線を合わせるようにした。
「善処されたこと、一回もない! あなたといい一文字則宗といい、監査官に選ばれる刀剣男士は皆こうなのか」
「かもしれないな」
山姥切長義は、一文字則宗の政府時代の仕事に対する姿勢を思い返しながらも、一緒にされるのは不服なようだった。わかりやすい作り笑顔を水心子に向けた。
「……元とはいえ、私だって時の政府の刀だった。もしなにか呼ぶのに理由がいるのであれば『私の学びのため』に、次は呼んでほしい。それでもダメだろうか」
水心子正秀は山姥切長義から視線を外さずに、ひたすらまっすぐに言葉を紡いだ。その真っすぐさから出るまぶしさに山姥切長義は目を閉じそうになったが、負けたよといったように肩をすくませて見つめ返した。
「水心子正秀、君は本当に」
「頑固、なのだろう?」
「その通り。まっ、次回勉強できそうな機会が巡ってくれば声をかけよう」
山姥切長義は、水心子正秀の手を肩から外した。水心子はいまだに懐疑的な視線を向けているものの、今回のところは見逃してくれるのか、これ以上深く問い詰めてくる様子は見られない。
「水心子正秀」
「ん、なんだ?」
「俺が言うのもなんだが、政府の刀の在り方は、どこまでいっても難儀なものだな」
「……そう、だな」
この数週間後、再び時の政府より依頼が舞い込んでくることを、まだこの本丸の刀剣男士は誰一人として知らない。
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