1.紅桜編
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「あっ、あんたは!人斬り似蔵ォォ‼」
辻斬りの正体が月明かりで照らされ姿が見えたところで、新八が叫んだ。
人斬り似蔵は点鼻薬を鼻の中に吹き付けていて、その姿だけ見れば辻斬りなんてたいそうなものには見えなかった。
パニックを起こしているのか、新八は早口なまま話続けていた。
「件の辻斬りはアンタの仕業だったのか⁉」
「目的は違えど、アイツに用があるのは一緒らしいよ新八君」
ピリピリとした雰囲気に肌がひりついた。
辻斬りの正体、人斬り似蔵と坂田銀時は今にも刃を交わしそうな、一触即発な状況に芳野は内心焦っていた。
芳野が調べ、結び付けた情報が正しければ似蔵が使用している刀は『紅桜』と呼ばれている兵器だ。刀なんて生易しいものではない。そのうえ、この兵器は戦闘を行うごとに学び強くなる人工知能が搭載されている。
もし坂田銀時と戦りあって、学習されたら?
『紅桜』を壊すには、可能な限り学習されず素早く対処することが好ましいだろう。もしそれができないとしても、強者の戦闘を学習させてはいけない。
芳野自身、坂田銀時と一対一で戦えば相打ちぐらいには持っていけるかもしれないが、そこに似蔵本人の経験値や『紅桜』にすでに蓄積されているデータが積み重なっているとすると分が悪い。
それに最悪な場合、坂田銀時が殺害されてしまったとしたら、新八とエリザベスを守り抜きながら戦うことになる。こんな化け物じみた相手に、青年や謎の白い生物を巻き込むのは、芳野の精神に反していた。
「桂さんをどうしたお前‼」
「おたくらの知り合いだったのかい、それはすまん事をした。おニューの刀を手に入れてはしゃいでたものでね、ついつい斬っちまった」
似蔵はにやにやと笑い、悪びれる様子もなく話す。
桂の話題が出たことで銀時の殺気がほんの少し漏れ出し始めたことに、芳野は気が付いてしまった。
「ヅラがてめーみてーなただの人殺しに負けるわけねーだろ」
芳野が銀時の肩を叩き、どうにか落ち着かせようと話しかける。
このまま頭に血が上っている状態で戦ったとしても勝ち目はないし、なにより戦ってほしくなかったからだ。
「坂田くん、落ち着いて」
「十分落ち着いてるよ、俺は」
「……ダメじゃん」
しかし効果は全くなかった。普段はきらめかない銀時の瞳が、今は怖いぐらいにギラギラしている。
似蔵はそのことを感づいているのだろう。追い打ちをかけるためにあるもの取り出した。
「怒るなよ、悪かったと言っている。……あ、そうだ」
似蔵が取り出したもの、それは――
「ホラ、せめて奴の形見だけでも返すよ」
桂小太郎の、綺麗に手入れされていた頭髪の束だった。
辻斬りの正体が月明かりで照らされ姿が見えたところで、新八が叫んだ。
人斬り似蔵は点鼻薬を鼻の中に吹き付けていて、その姿だけ見れば辻斬りなんてたいそうなものには見えなかった。
パニックを起こしているのか、新八は早口なまま話続けていた。
「件の辻斬りはアンタの仕業だったのか⁉」
「目的は違えど、アイツに用があるのは一緒らしいよ新八君」
ピリピリとした雰囲気に肌がひりついた。
辻斬りの正体、人斬り似蔵と坂田銀時は今にも刃を交わしそうな、一触即発な状況に芳野は内心焦っていた。
芳野が調べ、結び付けた情報が正しければ似蔵が使用している刀は『紅桜』と呼ばれている兵器だ。刀なんて生易しいものではない。そのうえ、この兵器は戦闘を行うごとに学び強くなる人工知能が搭載されている。
もし坂田銀時と戦りあって、学習されたら?
『紅桜』を壊すには、可能な限り学習されず素早く対処することが好ましいだろう。もしそれができないとしても、強者の戦闘を学習させてはいけない。
芳野自身、坂田銀時と一対一で戦えば相打ちぐらいには持っていけるかもしれないが、そこに似蔵本人の経験値や『紅桜』にすでに蓄積されているデータが積み重なっているとすると分が悪い。
それに最悪な場合、坂田銀時が殺害されてしまったとしたら、新八とエリザベスを守り抜きながら戦うことになる。こんな化け物じみた相手に、青年や謎の白い生物を巻き込むのは、芳野の精神に反していた。
「桂さんをどうしたお前‼」
「おたくらの知り合いだったのかい、それはすまん事をした。おニューの刀を手に入れてはしゃいでたものでね、ついつい斬っちまった」
似蔵はにやにやと笑い、悪びれる様子もなく話す。
桂の話題が出たことで銀時の殺気がほんの少し漏れ出し始めたことに、芳野は気が付いてしまった。
「ヅラがてめーみてーなただの人殺しに負けるわけねーだろ」
芳野が銀時の肩を叩き、どうにか落ち着かせようと話しかける。
このまま頭に血が上っている状態で戦ったとしても勝ち目はないし、なにより戦ってほしくなかったからだ。
「坂田くん、落ち着いて」
「十分落ち着いてるよ、俺は」
「……ダメじゃん」
しかし効果は全くなかった。普段はきらめかない銀時の瞳が、今は怖いぐらいにギラギラしている。
似蔵はそのことを感づいているのだろう。追い打ちをかけるためにあるもの取り出した。
「怒るなよ、悪かったと言っている。……あ、そうだ」
似蔵が取り出したもの、それは――
「ホラ、せめて奴の形見だけでも返すよ」
桂小太郎の、綺麗に手入れされていた頭髪の束だった。