1.紅桜編
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歌舞伎町、いや、江戸全体がここ数日とても静かな夜を過ごしていた。
誰も彼もが物音を立てないように、夜は家の中に籠りながら無事に朝を迎えられるようにと祈っていた。
そんな不気味な夜、橋の近くの細い路地で妙に目立つ存在がいた。
「ちゃーすエリザベス先輩‼焼きそば買ってきましたァ!」
腹から声を出している眼鏡をかけた青年、志村新八の腕の中には焼きそばパンがぎゅうぎゅうに詰まっている袋が抱えられていた。そして「エリザベス先輩」と呼ばれた謎の白い物体は、プラカードを使い「俺が頼んだのはコロッケパンだ」と苦情を示していた。
彼らの姿は遠くから見ても目立っていた。そもそも、連日辻斬りが出ているにも関わらず、深夜に青年と謎の生物が二人っきりでいること自体が不審でしかならなかった。
そんな二人に近づく人影があった。
「オイ、何やってんだ貴様らこんな所で?怪しい奴らめ」
「なんだァ~奉行所の人か。ビックリさせないでくださいよ」
薄明るい提灯で二人を照らしたのは奉行所の見回りをしている役人だった。
志村新八は辻斬りではないことに安堵して、その場にずるずる座り込んだ。
呆れたように役人が言葉を続けようとしたとき、エリザベスらがいた路地の奥から、人が走って近寄ってくる足音が聞こえてきた。新八は足音のする暗がりのほうに目を向けると、大黄な声と青い着物を着た人物が飛び込んできた。
「その場から離れろ‼」
影から伸びた腕は、新八の胸倉をつかんだ状態でぐっと自身の方へと引っ張った。
「なっ‼」
そして新八が声を上げる前に、役人の体が傾き始め、そのままずるりと上半身が地面に滑り落ちていた。
切断面からは多量の血が噴き出しており、その向こうからはにやりと笑う男の姿。
「こんな夜は辻斬りが出るから危ないよ」
「エリザベスぅぅ‼」
その場に残されているエリザベスにめがけて、辻斬りと思われる男は刀を振り下ろした。
絶体絶命の危機の中、全ての光景がスローモーションに見えていた新八の横を、青い着物の人間が駆け抜けていった。辻斬りを目の前にして、その人物の背中をただ目で追うことで精一杯になっていた。
伸ばされた手はエリザベスの背中をむんずと掴み、辻斬りの居合範囲外へ出すように無理くり後ろへと投げ飛ばした。
それと同時に、辻斬りの刀は路地前に置いてあったポリバケツの中に入っていた人物によって弾かれていた。
「オイオイ、妖刀探してこんな所まで来て見りゃ、どっかで見たツラが集まってんじゃねーか」
「坂田くん⁉」
「芳野、てめェには聞きてェことがごまんとある。全部方がついたら万事屋集合な」
「え、なんで」
「うるせぇ」
新八、エリザベス、そして芳野と呼ばれた人物を背にしたまま木刀を構えるのは、坂田銀時だった。
誰も彼もが物音を立てないように、夜は家の中に籠りながら無事に朝を迎えられるようにと祈っていた。
そんな不気味な夜、橋の近くの細い路地で妙に目立つ存在がいた。
「ちゃーすエリザベス先輩‼焼きそば買ってきましたァ!」
腹から声を出している眼鏡をかけた青年、志村新八の腕の中には焼きそばパンがぎゅうぎゅうに詰まっている袋が抱えられていた。そして「エリザベス先輩」と呼ばれた謎の白い物体は、プラカードを使い「俺が頼んだのはコロッケパンだ」と苦情を示していた。
彼らの姿は遠くから見ても目立っていた。そもそも、連日辻斬りが出ているにも関わらず、深夜に青年と謎の生物が二人っきりでいること自体が不審でしかならなかった。
そんな二人に近づく人影があった。
「オイ、何やってんだ貴様らこんな所で?怪しい奴らめ」
「なんだァ~奉行所の人か。ビックリさせないでくださいよ」
薄明るい提灯で二人を照らしたのは奉行所の見回りをしている役人だった。
志村新八は辻斬りではないことに安堵して、その場にずるずる座り込んだ。
呆れたように役人が言葉を続けようとしたとき、エリザベスらがいた路地の奥から、人が走って近寄ってくる足音が聞こえてきた。新八は足音のする暗がりのほうに目を向けると、大黄な声と青い着物を着た人物が飛び込んできた。
「その場から離れろ‼」
影から伸びた腕は、新八の胸倉をつかんだ状態でぐっと自身の方へと引っ張った。
「なっ‼」
そして新八が声を上げる前に、役人の体が傾き始め、そのままずるりと上半身が地面に滑り落ちていた。
切断面からは多量の血が噴き出しており、その向こうからはにやりと笑う男の姿。
「こんな夜は辻斬りが出るから危ないよ」
「エリザベスぅぅ‼」
その場に残されているエリザベスにめがけて、辻斬りと思われる男は刀を振り下ろした。
絶体絶命の危機の中、全ての光景がスローモーションに見えていた新八の横を、青い着物の人間が駆け抜けていった。辻斬りを目の前にして、その人物の背中をただ目で追うことで精一杯になっていた。
伸ばされた手はエリザベスの背中をむんずと掴み、辻斬りの居合範囲外へ出すように無理くり後ろへと投げ飛ばした。
それと同時に、辻斬りの刀は路地前に置いてあったポリバケツの中に入っていた人物によって弾かれていた。
「オイオイ、妖刀探してこんな所まで来て見りゃ、どっかで見たツラが集まってんじゃねーか」
「坂田くん⁉」
「芳野、てめェには聞きてェことがごまんとある。全部方がついたら万事屋集合な」
「え、なんで」
「うるせぇ」
新八、エリザベス、そして芳野と呼ばれた人物を背にしたまま木刀を構えるのは、坂田銀時だった。