2.万事屋、業務提携編
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銀時は玄関から廊下を挟んで続いていた応接間に入ると、腰に下げていた木刀を外して来客用のソファーに座った。
「うちには宇野もないんだけど
「芳野」
「なに?」
銀時は応接間に入ってきた芳野に顔を向けると、逃がすきのない真っすぐな視線を向けた。芳野はその視線に居心地の悪さを覚えて銀時の目の前を避け、テーブルを挟んだ斜め前に腰かけ肩をすくませた。
「なんで生きてたのに連絡よこさなかったんだよ」
「えっ」
芳野は銀時の言葉に目を丸くしてしまった。まさか連絡してほしい、と思っていたなんて想像だにしていなかったからだ。
銀時はそんな芳野の表情に不機嫌そうに眼を細めた。
「なに、驚かせるようなこと言ってねぇだろ」
「……当時からよく『私自身死んだことにする』ことが何回かあったじゃん?そんなオオカミ少年みたいな人間の安否をまだ気にしてくれてるんだって」
「お前な」
次は銀時が頭を抱える番だった。当時から芳野本人の命の扱いの軽さには肝を冷やすところがあった。それは高杉や桂、坂本も同じで「芳野が死んだらしい」といった噂が流れるたびに『そんなはずはない』と生きていることを信じていたものの、心の隅では心臓がバクバクとうるさくなっている日々を過ごすようになっていたのだった。
一度芳野にもそれを伝えたのだが『敵を騙すには味方から、なんでね』と自身の死の偽装をやめることはなかった。そして味方は芳野の生死を気にしなくなっていった。
だからこそ芳野は、気にしてくれている人間下いることが嘘のように思えてしまっている。心底不思議そうに、銀時の言葉を聞いていた。
「ごめんって。今は生きてるんだけど……握手とかしとく?」
ほら、と芳野は銀時に向けて右手を伸ばした。
銀時は目の前に差し出された手に「何1つ分かっちゃねーな」とあきれた様子を見せた。そんな様子に芳野は困惑するばかりだった。
芳野が伸ばした手を引っ込めようとしたとき、銀時はパッと腕をとった。
「おっ、とと」
芳野はバランスを崩して、反対の手をテーブルの上についた状態で前かがみになった。
そして銀時は芳野の頭に自身の頭をこつんとぶつけた。
「あーあ、ったくよォ。なんも変わってねェな、芳野は」
「……若々しいってことで受け取っておくよ」
「ンなわけねェだろ、このマイナスポジティブシンキングが」
「『マイナスポジティブシンキング』ってなんだよ」
顔の距離が近すぎて、芳野から銀時の表情は読めなかった。表情を盗み見ようとするも、銀時の天パが邪魔になっていてよく見えなかったのだ。
ただ掴まれている右手に力が込められていて、「不必要な心配をかけてしまったのか」と芳野は心苦しく思っていた。
「……ごめん」
「! なに、銀さんの思い伝わった?」
「どうだろう、ただ心労をかけて申し訳ないなって」
「伝わってねーじゃねェか‼」
銀時は#掴んでいた右手をパッと離すと、頭をぐっと押した。芳野は銀時に頭を押されて事で再度バランスを崩し、ソファーへと体を沈めた。
距離が離れてから見えた芳野のぽかんとした表情に、銀時は思わず口角が上がったのだった。
「それでもひとまず、生きてりゃそれでいい」
「坂田くんなに、情緒不安定過ぎない?」
「死んでたと思ってた腐れ縁が生きてんだ、そりゃブレブレよ」
芳野は銀時の嬉しそうな、安心した様子を見ながらも、脳裏にはぶち破られた扉がちらついていた。
「扉の修理費」
「え」
「きっちり払ってもらうよ」
「えーっとぉ……芳野さん?」
芳野が銀時にそう言うと、銀時は明らかにうろたえたように視線をキョロキョロとさせ、芳野に恐る恐る訪ねてきた。
「なかったことにってぇ」
「できないです」
「そこをどうにか」
「いやだね」
ふんと芳野は銀時から顔をそらした。
「うちには宇野もないんだけど
「芳野」
「なに?」
銀時は応接間に入ってきた芳野に顔を向けると、逃がすきのない真っすぐな視線を向けた。芳野はその視線に居心地の悪さを覚えて銀時の目の前を避け、テーブルを挟んだ斜め前に腰かけ肩をすくませた。
「なんで生きてたのに連絡よこさなかったんだよ」
「えっ」
芳野は銀時の言葉に目を丸くしてしまった。まさか連絡してほしい、と思っていたなんて想像だにしていなかったからだ。
銀時はそんな芳野の表情に不機嫌そうに眼を細めた。
「なに、驚かせるようなこと言ってねぇだろ」
「……当時からよく『私自身死んだことにする』ことが何回かあったじゃん?そんなオオカミ少年みたいな人間の安否をまだ気にしてくれてるんだって」
「お前な」
次は銀時が頭を抱える番だった。当時から芳野本人の命の扱いの軽さには肝を冷やすところがあった。それは高杉や桂、坂本も同じで「芳野が死んだらしい」といった噂が流れるたびに『そんなはずはない』と生きていることを信じていたものの、心の隅では心臓がバクバクとうるさくなっている日々を過ごすようになっていたのだった。
一度芳野にもそれを伝えたのだが『敵を騙すには味方から、なんでね』と自身の死の偽装をやめることはなかった。そして味方は芳野の生死を気にしなくなっていった。
だからこそ芳野は、気にしてくれている人間下いることが嘘のように思えてしまっている。心底不思議そうに、銀時の言葉を聞いていた。
「ごめんって。今は生きてるんだけど……握手とかしとく?」
ほら、と芳野は銀時に向けて右手を伸ばした。
銀時は目の前に差し出された手に「何1つ分かっちゃねーな」とあきれた様子を見せた。そんな様子に芳野は困惑するばかりだった。
芳野が伸ばした手を引っ込めようとしたとき、銀時はパッと腕をとった。
「おっ、とと」
芳野はバランスを崩して、反対の手をテーブルの上についた状態で前かがみになった。
そして銀時は芳野の頭に自身の頭をこつんとぶつけた。
「あーあ、ったくよォ。なんも変わってねェな、芳野は」
「……若々しいってことで受け取っておくよ」
「ンなわけねェだろ、このマイナスポジティブシンキングが」
「『マイナスポジティブシンキング』ってなんだよ」
顔の距離が近すぎて、芳野から銀時の表情は読めなかった。表情を盗み見ようとするも、銀時の天パが邪魔になっていてよく見えなかったのだ。
ただ掴まれている右手に力が込められていて、「不必要な心配をかけてしまったのか」と芳野は心苦しく思っていた。
「……ごめん」
「! なに、銀さんの思い伝わった?」
「どうだろう、ただ心労をかけて申し訳ないなって」
「伝わってねーじゃねェか‼」
銀時は#掴んでいた右手をパッと離すと、頭をぐっと押した。芳野は銀時に頭を押されて事で再度バランスを崩し、ソファーへと体を沈めた。
距離が離れてから見えた芳野のぽかんとした表情に、銀時は思わず口角が上がったのだった。
「それでもひとまず、生きてりゃそれでいい」
「坂田くんなに、情緒不安定過ぎない?」
「死んでたと思ってた腐れ縁が生きてんだ、そりゃブレブレよ」
芳野は銀時の嬉しそうな、安心した様子を見ながらも、脳裏にはぶち破られた扉がちらついていた。
「扉の修理費」
「え」
「きっちり払ってもらうよ」
「えーっとぉ……芳野さん?」
芳野が銀時にそう言うと、銀時は明らかにうろたえたように視線をキョロキョロとさせ、芳野に恐る恐る訪ねてきた。
「なかったことにってぇ」
「できないです」
「そこをどうにか」
「いやだね」
ふんと芳野は銀時から顔をそらした。
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