1.紅桜編
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芳野は先ほどまで銀時が戦っていた場所に目をやると、姿がないことに気が付いた。銀時だけではない、岡田似蔵もいなくなっていた。
「坂田くんの姿が見えないんだけどさ、生きてるって信じていいよね」
「あいつがそこらへんの魔改造された妖刀相手に負けるわけなかろう」
「そこらへんに魔改造された妖刀があってたまるもんか、よ!」
桂と芳野はエリザベスら仲間たちに合流すべく、天人を切り伏せながら船をかけていた。攘夷戦争時代に染み付いたものが残っているのか、二人の連携はよく取れていて、傷一つさえ付けられる隙はないようだ。
移動しているこの間も、おそらく攘夷志士側の戦況はよくないほうへと傾いていると考えると、焦りが体を突き動かした。
「どけって」
「俺達は今、虫の居所が悪いんだ」
襲いかかってくる天人を斬るとその体がぐらりと倒れ視界が開けた。そしてそこには万事屋一行と助けに来てくれた攘夷志士たちが、中心で背中合わせで戦っているところだった。
桂と芳野もすぐにその中に加わり、改めて刀を構える。
戦況はやはり芳しくない。これまでの戦闘で疲労しきっている体に不安が残り、頬に汗が伝うようだった。
そんな劣勢に見える中でも三人、銀時、桂、芳野の目は目の前の敵に対して目をギラギラと光らせ、ひりつかせる空気を出していた。
「……よオ ヅラ、どーしたその頭 失恋でもしたか」
「だまれイメチェンだ」
「坂田くんだって、どうしたのその傷。爆撃でもうけたの?」
「だまっとけや、イメチェンだ」
「どんなイメチェンだ、銀時」
背中合わせの状態で、視線もむけずに銀時は芳野に言葉をかけた。
「芳野てめェこそ、前髪3mm切ったろ」
「切ってないって。二人とは違ってぴんぴんしてるよ」
短髪になった桂、紅桜に体を乗っ取られてしまった似蔵との戦闘直後でボロボロな銀時、そして見た目は比較的小綺麗な芳野。どこかいつもと違う、ちぐはぐな状況がおかしくて芳野はくすくすと笑った。
「なんだか変なの。で? 囲まれてるわけだけどどうする?」
芳野が桂に問いかけると、当然といったような様子で桂は答えた。
「退くぞ」
「え⁉」
桂の回答を聞いていた桂一派の攘夷志士が驚きの声を上げた。おそらく、交戦指示が出ると考えていたのだろう。
銀時と芳野は桂の返答に視線を合わせて、こくりと一度うなづき戦闘態勢に移れるよう姿勢を構えた。
「紅桜は斬滅した。もう この船に用はない。後ろに船が来ている、急げ」
「させるかァァ‼ 全員残らず刈り取れ‼」
天人たちが逃がすまいと、保っていた均衡を破り弾けるように攻撃を仕掛けてきた。
まずい、緊張と隣り合う死の予感に体が硬直する仲間が少なくはなかった。そんななか迷いなく天人たちを切り伏せる三人の姿が、手に握られていた刀が鈍く光っていた。
「退路は俺らが守る」
「いけ」
「またあとでね」
天人を切り伏せたのは桂、銀時、芳野だった。紅桜との戦闘で刀も木刀も折れてしまっていた銀時は、向かってきた天人から武器を奪い取り構えていた。
「しかし……!」
「銀さん、芳野さん!」
動揺する攘夷志士と、万事屋の二人。新八は思わず銀時と芳野の名前を呼んだ。
そんな二人の様子を見てなのか、エリザベスが新八と神楽を両脇にひょいと抱えると、そのまま後ろに着いている船へと走り出した。神楽は驚き、エリザベスの腕を叩くも離される気配はなかった。
「わっ‼ 離すネ エリー!」
エリザベスを先頭に、桂一派の攘夷志士達は後ろ髪を引かれる思いを抱きつつも後退していった。
春雨の天人たちはその姿をみて苛立ち興奮した。そして標的はその場に残った三人に集まった。
「行けェェ‼」
「あの二人の首をとれェェ‼」
この言葉を皮切りに、一斉に動き出した。天人は三人を殺すために、三人は仲間を無事逃がすため。
「坂田くんの姿が見えないんだけどさ、生きてるって信じていいよね」
「あいつがそこらへんの魔改造された妖刀相手に負けるわけなかろう」
「そこらへんに魔改造された妖刀があってたまるもんか、よ!」
桂と芳野はエリザベスら仲間たちに合流すべく、天人を切り伏せながら船をかけていた。攘夷戦争時代に染み付いたものが残っているのか、二人の連携はよく取れていて、傷一つさえ付けられる隙はないようだ。
移動しているこの間も、おそらく攘夷志士側の戦況はよくないほうへと傾いていると考えると、焦りが体を突き動かした。
「どけって」
「俺達は今、虫の居所が悪いんだ」
襲いかかってくる天人を斬るとその体がぐらりと倒れ視界が開けた。そしてそこには万事屋一行と助けに来てくれた攘夷志士たちが、中心で背中合わせで戦っているところだった。
桂と芳野もすぐにその中に加わり、改めて刀を構える。
戦況はやはり芳しくない。これまでの戦闘で疲労しきっている体に不安が残り、頬に汗が伝うようだった。
そんな劣勢に見える中でも三人、銀時、桂、芳野の目は目の前の敵に対して目をギラギラと光らせ、ひりつかせる空気を出していた。
「……よオ ヅラ、どーしたその頭 失恋でもしたか」
「だまれイメチェンだ」
「坂田くんだって、どうしたのその傷。爆撃でもうけたの?」
「だまっとけや、イメチェンだ」
「どんなイメチェンだ、銀時」
背中合わせの状態で、視線もむけずに銀時は芳野に言葉をかけた。
「芳野てめェこそ、前髪3mm切ったろ」
「切ってないって。二人とは違ってぴんぴんしてるよ」
短髪になった桂、紅桜に体を乗っ取られてしまった似蔵との戦闘直後でボロボロな銀時、そして見た目は比較的小綺麗な芳野。どこかいつもと違う、ちぐはぐな状況がおかしくて芳野はくすくすと笑った。
「なんだか変なの。で? 囲まれてるわけだけどどうする?」
芳野が桂に問いかけると、当然といったような様子で桂は答えた。
「退くぞ」
「え⁉」
桂の回答を聞いていた桂一派の攘夷志士が驚きの声を上げた。おそらく、交戦指示が出ると考えていたのだろう。
銀時と芳野は桂の返答に視線を合わせて、こくりと一度うなづき戦闘態勢に移れるよう姿勢を構えた。
「紅桜は斬滅した。もう この船に用はない。後ろに船が来ている、急げ」
「させるかァァ‼ 全員残らず刈り取れ‼」
天人たちが逃がすまいと、保っていた均衡を破り弾けるように攻撃を仕掛けてきた。
まずい、緊張と隣り合う死の予感に体が硬直する仲間が少なくはなかった。そんななか迷いなく天人たちを切り伏せる三人の姿が、手に握られていた刀が鈍く光っていた。
「退路は俺らが守る」
「いけ」
「またあとでね」
天人を切り伏せたのは桂、銀時、芳野だった。紅桜との戦闘で刀も木刀も折れてしまっていた銀時は、向かってきた天人から武器を奪い取り構えていた。
「しかし……!」
「銀さん、芳野さん!」
動揺する攘夷志士と、万事屋の二人。新八は思わず銀時と芳野の名前を呼んだ。
そんな二人の様子を見てなのか、エリザベスが新八と神楽を両脇にひょいと抱えると、そのまま後ろに着いている船へと走り出した。神楽は驚き、エリザベスの腕を叩くも離される気配はなかった。
「わっ‼ 離すネ エリー!」
エリザベスを先頭に、桂一派の攘夷志士達は後ろ髪を引かれる思いを抱きつつも後退していった。
春雨の天人たちはその姿をみて苛立ち興奮した。そして標的はその場に残った三人に集まった。
「行けェェ‼」
「あの二人の首をとれェェ‼」
この言葉を皮切りに、一斉に動き出した。天人は三人を殺すために、三人は仲間を無事逃がすため。