1.紅桜編
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高杉の後ろをついていくと、外に出た。工場の爆発や桂一、派の攘夷志士たちとの戦闘の喧騒が遠くに聞こえた。艦の上、海風に吹かれて芳野の髪がなびき、長い前髪が視界をちらちらと隠した。
「特等席にしてはなにもないね」
「あそこ、見えるか?」
「んんー…、あぁうん。そういうことか」
高杉が視線を向けたほうへ視線をやると、坂田銀時の姿が見えた。芳野はやっぱり来たかと、銀時の傷の心配をしつつも、どこか安堵していた。
「で?ここまで案内してきたわけは?」
「……芳野、今まで何してやがった」
芳野と高杉の視線は、いまだ坂田銀時へと向けられたままだった。銀時は真剣を片手に似蔵と対峙しているようだった。
「遺品整理、とでも言えばいいのかなぁ、うーん……」
「あ?」
「……ただの自己満足のために、いろいろしてたってこと」
銀時と似蔵の戦闘が始まった。離れた位置にいる高杉と芳野の耳にも、激しい戦闘音が聞こえてきていた。
芳野は高杉へと視線移し、話を続けた。
「私さ、当時自分が殺めた人の持ち物とか一部捨てずに持ってたんだけど……それを遺族の方に戻すために、いろんなところを巡ってた」
ここで初めて高杉は芳野へと目を向けた。呆れたようなその視線は、芳野が戦時中に何度もむけられていたものと同じだった。
呆れなくたってと芳野が笑えば、高杉は不機嫌そうに眼を細めた。
「感謝でもされたかったてのか」
「まさかそんなわけ! 戦時中でも、遺せたものは返したかっただけ」
「ただのてめぇの自己満足を、随分立派な言葉に言い換えるもんだ」
「そっちが聞いてきたのに、酷い言い方。ま、否定はしないけど」
芳野は気まずくなり、再び戦闘中の銀時へと視線を向けていた。
やや銀時が不利のようにも見え、どうやって合流したものかと考えた。
すると、背後から3人分の気配が近づいてきていた。振りかえれば、桂が3人の鬼兵隊隊員に襲われているところだったが、桂にかなうはずもなく倒されてしまっていた。
そして芳野は新八と神楽がこの場にいないことに気が付いた。
「高杉と一体何を話していた」
「いろいろ。桂くん、志村くん達はどうしたの」
「いろいろだ。あやつらなら平気だ、信じろ」
「……あとで一緒に坂田くんに怒られようね。それよりほら、話すことあるんでしょ? 私はもう済んだから、たぶん」
「済んだ、か」
芳野はあとは高杉と桂が殺しあわないよう監視するだけでいいかと思っていたのだが、高杉はそんな様子の芳野をじっと見つめていた。
「じゃ、ごゆっくり~」
芳野はひらひらと手を振ると、高杉の目線を避けるよう二人からは少し離れた場所へと移動した。
人気が少ない場所なのか、海風と戦艦を動かしている機械の音がよく聞こえてきていた。
「特等席にしてはなにもないね」
「あそこ、見えるか?」
「んんー…、あぁうん。そういうことか」
高杉が視線を向けたほうへ視線をやると、坂田銀時の姿が見えた。芳野はやっぱり来たかと、銀時の傷の心配をしつつも、どこか安堵していた。
「で?ここまで案内してきたわけは?」
「……芳野、今まで何してやがった」
芳野と高杉の視線は、いまだ坂田銀時へと向けられたままだった。銀時は真剣を片手に似蔵と対峙しているようだった。
「遺品整理、とでも言えばいいのかなぁ、うーん……」
「あ?」
「……ただの自己満足のために、いろいろしてたってこと」
銀時と似蔵の戦闘が始まった。離れた位置にいる高杉と芳野の耳にも、激しい戦闘音が聞こえてきていた。
芳野は高杉へと視線移し、話を続けた。
「私さ、当時自分が殺めた人の持ち物とか一部捨てずに持ってたんだけど……それを遺族の方に戻すために、いろんなところを巡ってた」
ここで初めて高杉は芳野へと目を向けた。呆れたようなその視線は、芳野が戦時中に何度もむけられていたものと同じだった。
呆れなくたってと芳野が笑えば、高杉は不機嫌そうに眼を細めた。
「感謝でもされたかったてのか」
「まさかそんなわけ! 戦時中でも、遺せたものは返したかっただけ」
「ただのてめぇの自己満足を、随分立派な言葉に言い換えるもんだ」
「そっちが聞いてきたのに、酷い言い方。ま、否定はしないけど」
芳野は気まずくなり、再び戦闘中の銀時へと視線を向けていた。
やや銀時が不利のようにも見え、どうやって合流したものかと考えた。
すると、背後から3人分の気配が近づいてきていた。振りかえれば、桂が3人の鬼兵隊隊員に襲われているところだったが、桂にかなうはずもなく倒されてしまっていた。
そして芳野は新八と神楽がこの場にいないことに気が付いた。
「高杉と一体何を話していた」
「いろいろ。桂くん、志村くん達はどうしたの」
「いろいろだ。あやつらなら平気だ、信じろ」
「……あとで一緒に坂田くんに怒られようね。それよりほら、話すことあるんでしょ? 私はもう済んだから、たぶん」
「済んだ、か」
芳野はあとは高杉と桂が殺しあわないよう監視するだけでいいかと思っていたのだが、高杉はそんな様子の芳野をじっと見つめていた。
「じゃ、ごゆっくり~」
芳野はひらひらと手を振ると、高杉の目線を避けるよう二人からは少し離れた場所へと移動した。
人気が少ない場所なのか、海風と戦艦を動かしている機械の音がよく聞こえてきていた。