1.紅桜編
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芳野が部屋から出れば狭い通路には待ち構えていた隊士達が剣を構えて待っていた。
広さや人の多さの都合で、またしても飛び道具を扱う人間は見当たらない。
「実は、こうして目立って動くのは私の分野じゃなくてね」
芳野は首を一度ぐるりと回し、にやりと笑った。
鬼兵隊の隊士達は、ここまで人を集めても動揺や焦り一つ見せない芳野に恐れを感じていた。芳野が浮かべた笑みに緊張から汗がにじみ出る。芳野の呼吸音にでさえ隊士の肌が粟立つ。
「もし致命傷になっちゃったらごめんね、手加減できる人数じゃないんだ」
芳野は息を短く吸い込み、息を止め、そして低い姿勢を保ったまま隊士達の方へ突っ込んでいった。突っ込むと同時に芳野とすれ違った隊士からは悲鳴が上がる。
腕を、指を、脚を、腹を、首を。芳野の刀が斬り裂いていく。悲鳴を背景にしながらも芳野の速さが変わることはない。隊士達は近づいてくる味方の悲鳴をあてに芳野と自分の距離を測ることしかできなかった。
「い、いやだ‼うわァァァ‼」
「おい馬鹿‼」
恐怖に駆られて、悲鳴の波に突っ込んでくる者がいた。芳野はその恐怖で隙だらけになってしまった隊士の懐に飛び込めば、隊士が刀を握っていた右手の甲を深く斬りつける。男は出血と斬られたショックでぎゃあと呻く。
「この艦に来る子供に手を上げないのであれば見逃す、どう?」
「なにを馬鹿な、ことを‼」
「時間がない、どうする?」
「きっ、鬼兵隊の隊士である以上、我々の意思を拒むものには女も子供もない!」
男は叫び声に近い声量で、喉をひきつらせながらも芳野の問いに答えた。
その声に呼応して、まだ倒れていない隊士達も雄たけびを上げた。
「そ、残念」
芳野は男の肩から手首にかけて、刀を振るった。血が噴き出し痛みに倒れる男に、呆れた視線を向けた。
そして男が倒れたと同時に、大きな爆発音が戦艦内に響いた。芳野は爆発で起きた艦の揺れに乗じて、さらに隊士達の体へ刀を振るって進んでいった。
芳野は、どうかこの派手な爆発が新八自身が起こしたものではありませんように、そして違うのであればこの混乱に紛れて艦内に侵入できていますように、と願わずにはいられなかった。
通路にいた最後の隊士の腹部に刀を突き刺した。突き刺した刀はそのままに、自らが斬った隊士から日本刀を奪う。
通路を振り返れば、数えきれないほどの人間が倒れて居たり、戦意を喪失させていた。痛みにうめき声をあげているものが大半で、死んでしまっている人間は数えられる程度にしかいない。
芳野としてはできる限り痛みや負傷での戦意喪失を狙っていたため、殺してしまった人間がいることに対し自身の行いを恨んだ。
「やっぱ、全員生き残らせるのはダメかぁ……、安心しなよ生きてる鬼兵隊の人。ちゃんと治療すればたぶん死なないから」
「情けのつもりか‼」
通路の中で倒れているどこかから憎らしそうに叫ぶ声が聞こえた。
「違う、ただの私の無意味な我儘だよ」
通路に倒れる男たちからは悔しそうな声や、芳野を止めようとする怒号が飛び交っていたが、芳野はそのすべて背中に受け止めて艦の奥深くへ、気配を殺しつつ進んでいく。
広さや人の多さの都合で、またしても飛び道具を扱う人間は見当たらない。
「実は、こうして目立って動くのは私の分野じゃなくてね」
芳野は首を一度ぐるりと回し、にやりと笑った。
鬼兵隊の隊士達は、ここまで人を集めても動揺や焦り一つ見せない芳野に恐れを感じていた。芳野が浮かべた笑みに緊張から汗がにじみ出る。芳野の呼吸音にでさえ隊士の肌が粟立つ。
「もし致命傷になっちゃったらごめんね、手加減できる人数じゃないんだ」
芳野は息を短く吸い込み、息を止め、そして低い姿勢を保ったまま隊士達の方へ突っ込んでいった。突っ込むと同時に芳野とすれ違った隊士からは悲鳴が上がる。
腕を、指を、脚を、腹を、首を。芳野の刀が斬り裂いていく。悲鳴を背景にしながらも芳野の速さが変わることはない。隊士達は近づいてくる味方の悲鳴をあてに芳野と自分の距離を測ることしかできなかった。
「い、いやだ‼うわァァァ‼」
「おい馬鹿‼」
恐怖に駆られて、悲鳴の波に突っ込んでくる者がいた。芳野はその恐怖で隙だらけになってしまった隊士の懐に飛び込めば、隊士が刀を握っていた右手の甲を深く斬りつける。男は出血と斬られたショックでぎゃあと呻く。
「この艦に来る子供に手を上げないのであれば見逃す、どう?」
「なにを馬鹿な、ことを‼」
「時間がない、どうする?」
「きっ、鬼兵隊の隊士である以上、我々の意思を拒むものには女も子供もない!」
男は叫び声に近い声量で、喉をひきつらせながらも芳野の問いに答えた。
その声に呼応して、まだ倒れていない隊士達も雄たけびを上げた。
「そ、残念」
芳野は男の肩から手首にかけて、刀を振るった。血が噴き出し痛みに倒れる男に、呆れた視線を向けた。
そして男が倒れたと同時に、大きな爆発音が戦艦内に響いた。芳野は爆発で起きた艦の揺れに乗じて、さらに隊士達の体へ刀を振るって進んでいった。
芳野は、どうかこの派手な爆発が新八自身が起こしたものではありませんように、そして違うのであればこの混乱に紛れて艦内に侵入できていますように、と願わずにはいられなかった。
通路にいた最後の隊士の腹部に刀を突き刺した。突き刺した刀はそのままに、自らが斬った隊士から日本刀を奪う。
通路を振り返れば、数えきれないほどの人間が倒れて居たり、戦意を喪失させていた。痛みにうめき声をあげているものが大半で、死んでしまっている人間は数えられる程度にしかいない。
芳野としてはできる限り痛みや負傷での戦意喪失を狙っていたため、殺してしまった人間がいることに対し自身の行いを恨んだ。
「やっぱ、全員生き残らせるのはダメかぁ……、安心しなよ生きてる鬼兵隊の人。ちゃんと治療すればたぶん死なないから」
「情けのつもりか‼」
通路の中で倒れているどこかから憎らしそうに叫ぶ声が聞こえた。
「違う、ただの私の無意味な我儘だよ」
通路に倒れる男たちからは悔しそうな声や、芳野を止めようとする怒号が飛び交っていたが、芳野はそのすべて背中に受け止めて艦の奥深くへ、気配を殺しつつ進んでいく。