1.紅桜編
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「……案外簡単に入れちゃった、大丈夫か鬼兵隊」
芳野は鬼兵隊の戦艦内にある貨物室のうちの1部屋に潜入できてしまっていた。
潜入方法はいたって簡単で、鬼兵隊の組員が船に運び入れている荷物の中に体を潜り込ませただけ。重さでバレてはいけないため、隠れつつももともと箱の中にないっていた荷物は他の箱へと移し替えていた。
出入口こそピリピリとした雰囲気があったものの、戦艦内は外に比べれば比較的落ち着いた空気感だった。複数あるか貨物室の1部屋1部屋に見張りがいるわけでもないようでだが、何人かの見張り役の隊士が部屋の前の通路を歩きながら警戒しているのが見て取れた。
箱の中に隠れながら様子を伺いたかったが、身を隠している箱の上に別の荷物を置かれてしまった場合に動けなくなってしまうため、芳野はゆっくりと箱から出て部屋の戸の近くに身をかがめて息を殺した。
「(積載する影響でこの辺りは人の出入りが一定数あるからなぁ……、口減らししたらたぶん即バレるから、やるにはまだ早い)」
芳野は通路にいる見張りと、荷物を運んでくる隊士に気を配りながらも少しずつ、少しずつ人気の少ない場所へと移動した。
進めてしまうたびに鬼兵隊員への心配が募る芳野ではあったが好都合ととらえ、奥深くへと歩みを進めた。ある程度の場所まで来ると、芳野は肩を回して体をほぐし、やるべきことをやる覚悟を決めなおした。
もうすぐで出港するのだろうか、芳野の周りには何人もの隊士が忙しなく動いていた。ある程度出入口から奥まった場所で、人がそこそこいる。芳野が口減らしを行うには、好条件だった。見る限り飛び道具を使ってくるような人間もいないようだった。
「神楽ちゃん、だっけ。探し出してあげたいけど、きっとそれは志村くんの役割だ。だから私ができるのは――」
気配を消すことをやめ、立ち上がる。そして芳野は刀を抜いた。
「人を減らすことだけだ」
芳野がいる部屋、そして前の通路にいるのは約10人。芳野の持っている情報さえ正しければ、今いる場所は比較的多くの場所へとつながる道の途中にある。もし出入口付近で新八の存在がばれて、戦艦内にいる隊士が外に出ようすれば、芳野のいある部屋前の通路を通る人数も少なくはない。
まず一番近くにいた男の首を後ろから斬り、流れで隣にいた人をまたも背後より左肩から腰に掛けてバッサリと斬る。
すると部屋の中や通路前にいた人間の視線が、倒れた隊士2人と芳野へと集まった。
「お前!いつから!」
「鬼兵隊、最近調子いいみたいじゃん」
「くそっきり殺せ‼」
「慢心なのか、教育が行き届いてないのか知らないけど、緊張感持ち直しな。あ、それとも私がここまで入れたのって、罠だったりする?」
左から斬りかかってきた人間を蹴飛ばした反動で、右の死角で刀を振り上げていた隊士の腹部を横一文字に斬る。そのまま体を翻して向かってきている隊士を、1人、2人と斬る。
「むしろ罠でした、のほうが安心感あるんだけど。そこんところどんな感じ?」
鬼兵隊隊士を挑発しつつ戦っていることもあるが、だれも恐れで怯む様子がないことはさすがだと、芳野は内心感心していた。自身の力量と、芳野との差が分からないだけの可能性もあるが、少なくとも目の前で仲間が斬られても背中を向けて逃げ出す人間がいないのは、よくできている。
3人の隊士が目くばせで互いの呼吸を合わせながら、芳野との間合いを確保しながら囲う。その間に、まだ生き残っている隊士が増援を呼びに部屋を出ていった。
「『紅桜』もこの船に乗ってるだろう?」
「ッなんのことだ‼」
「さすがに古典的なガバはしないか」
間合いを取っていた3人が一斉に踏み出した。芳野はそのうち、右背後にいた男のほうに背中から倒れこんだ。男の刀は芳野の着物の袖を貫通させた。そのまま男の腕を右わきに挟みホールドさせ振り回すと、目の前にいた男にお互いの刀が差さるように振り飛ばす。途中で刀を右手から左手に持ち替え、残った男を雑に切り捨てる。最後に斬られた男はぎゃっと痛々しく悲鳴を上げた。
「自己責任だけど病み上がりでね。うまく斬れなくてごめんよ」
「くそ、くそォォォォ‼」
「……」
痛みを堪え立ち向かってくる隊士を前に、芳野は冷静に刀を持ち替え峰内にし気絶させた。
「不用意に委託させてしまったお詫び、これ以上怪我する道理はないさ」
一息つけば、部屋の中にいた隊士達は全て倒れていた。
芳野は鬼兵隊の戦艦内にある貨物室のうちの1部屋に潜入できてしまっていた。
潜入方法はいたって簡単で、鬼兵隊の組員が船に運び入れている荷物の中に体を潜り込ませただけ。重さでバレてはいけないため、隠れつつももともと箱の中にないっていた荷物は他の箱へと移し替えていた。
出入口こそピリピリとした雰囲気があったものの、戦艦内は外に比べれば比較的落ち着いた空気感だった。複数あるか貨物室の1部屋1部屋に見張りがいるわけでもないようでだが、何人かの見張り役の隊士が部屋の前の通路を歩きながら警戒しているのが見て取れた。
箱の中に隠れながら様子を伺いたかったが、身を隠している箱の上に別の荷物を置かれてしまった場合に動けなくなってしまうため、芳野はゆっくりと箱から出て部屋の戸の近くに身をかがめて息を殺した。
「(積載する影響でこの辺りは人の出入りが一定数あるからなぁ……、口減らししたらたぶん即バレるから、やるにはまだ早い)」
芳野は通路にいる見張りと、荷物を運んでくる隊士に気を配りながらも少しずつ、少しずつ人気の少ない場所へと移動した。
進めてしまうたびに鬼兵隊員への心配が募る芳野ではあったが好都合ととらえ、奥深くへと歩みを進めた。ある程度の場所まで来ると、芳野は肩を回して体をほぐし、やるべきことをやる覚悟を決めなおした。
もうすぐで出港するのだろうか、芳野の周りには何人もの隊士が忙しなく動いていた。ある程度出入口から奥まった場所で、人がそこそこいる。芳野が口減らしを行うには、好条件だった。見る限り飛び道具を使ってくるような人間もいないようだった。
「神楽ちゃん、だっけ。探し出してあげたいけど、きっとそれは志村くんの役割だ。だから私ができるのは――」
気配を消すことをやめ、立ち上がる。そして芳野は刀を抜いた。
「人を減らすことだけだ」
芳野がいる部屋、そして前の通路にいるのは約10人。芳野の持っている情報さえ正しければ、今いる場所は比較的多くの場所へとつながる道の途中にある。もし出入口付近で新八の存在がばれて、戦艦内にいる隊士が外に出ようすれば、芳野のいある部屋前の通路を通る人数も少なくはない。
まず一番近くにいた男の首を後ろから斬り、流れで隣にいた人をまたも背後より左肩から腰に掛けてバッサリと斬る。
すると部屋の中や通路前にいた人間の視線が、倒れた隊士2人と芳野へと集まった。
「お前!いつから!」
「鬼兵隊、最近調子いいみたいじゃん」
「くそっきり殺せ‼」
「慢心なのか、教育が行き届いてないのか知らないけど、緊張感持ち直しな。あ、それとも私がここまで入れたのって、罠だったりする?」
左から斬りかかってきた人間を蹴飛ばした反動で、右の死角で刀を振り上げていた隊士の腹部を横一文字に斬る。そのまま体を翻して向かってきている隊士を、1人、2人と斬る。
「むしろ罠でした、のほうが安心感あるんだけど。そこんところどんな感じ?」
鬼兵隊隊士を挑発しつつ戦っていることもあるが、だれも恐れで怯む様子がないことはさすがだと、芳野は内心感心していた。自身の力量と、芳野との差が分からないだけの可能性もあるが、少なくとも目の前で仲間が斬られても背中を向けて逃げ出す人間がいないのは、よくできている。
3人の隊士が目くばせで互いの呼吸を合わせながら、芳野との間合いを確保しながら囲う。その間に、まだ生き残っている隊士が増援を呼びに部屋を出ていった。
「『紅桜』もこの船に乗ってるだろう?」
「ッなんのことだ‼」
「さすがに古典的なガバはしないか」
間合いを取っていた3人が一斉に踏み出した。芳野はそのうち、右背後にいた男のほうに背中から倒れこんだ。男の刀は芳野の着物の袖を貫通させた。そのまま男の腕を右わきに挟みホールドさせ振り回すと、目の前にいた男にお互いの刀が差さるように振り飛ばす。途中で刀を右手から左手に持ち替え、残った男を雑に切り捨てる。最後に斬られた男はぎゃっと痛々しく悲鳴を上げた。
「自己責任だけど病み上がりでね。うまく斬れなくてごめんよ」
「くそ、くそォォォォ‼」
「……」
痛みを堪え立ち向かってくる隊士を前に、芳野は冷静に刀を持ち替え峰内にし気絶させた。
「不用意に委託させてしまったお詫び、これ以上怪我する道理はないさ」
一息つけば、部屋の中にいた隊士達は全て倒れていた。
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