1.紅桜編
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万事屋へ銀時を運び込んでから、何時間たっただろうか。窓の外をもみると、まだまだ暗い時間帯ではあるものの空が明るくなりかけていた。
似蔵との戦いで大怪我を負った銀時には、芳野と新八でできる限りの治療を施した。新八からは「病院に連れていくべきでは?」と尋ねられてが、再度似蔵が襲ってくる可能性が0とは限らなかったため移動はできないと伝えた。
きっと、病院への移動中や、着いた後に襲撃され周りの人を巻き込んでしまった時、一番抱え込むのは坂田銀時なのだろうと芳野は考えた。
「平気、ですか?」
「んー…?」
芳野が万事屋の中心にあるリビング兼応接間にある2つのソファーの1つにぐったりとうなだれるように座り込んでいると、気まずそうに新八が話しかけた。
「えっとあなたも大怪我を負ってるように見えたんですけれど」
「あーうん、平気。なんとかなってるよ。ありがとね」
芳野は顔だけを持ち上げ新八に安心するように笑いかける。しかし芳野の顔色に血の気が無く、今にも倒れてしまいそうな予感さえした。
せめて安静に、横になったほうがいいのではないかと新八が提案するも。それも芳野の「平気だから」の一言で返さる。
どうすればいいのか、新八は芳野と向かい合う形でソファーに座っていることしかできなかった。
「志村くんさ」
「は、はい」
「私、ここに来るまでの道中で自己紹介ってしたっけ?必死すぎて記憶があいまいで」
「まだですけど、え、今ですか?」
「今以外、タイミングないかもだし。それに私は志村くんに名前を教えてもらったのに教えないのはよくないでしょ」
芳野は頭を下に向け、大きくふーっと息を吐くと、勢いをつけて立ち上がった。
新八はいきなりの行動に驚いたが、眼鏡がずり落ちることはなかった。
「えー…、坂田くんとは昔馴染みの芳野 飛鳥です。あと言えることは、うんと、怪しいものではないです」
「……それだけ⁉」
「なになに知りたがりだね。そうだなぁ、今は斬られた直後よりも体調が絶不調になってるけど、すぐに戻るから心配無用です、とか?」
「いやなんですかそれ。そうじゃなくて!もう少し深めのことを」
新八が得られた情報は、銀時とは昔馴染みだということ、名前、そのくらいだった。しかも昔馴染みといえど、どの程度昔なのか、芳野から教えてくれそうな様子はない。
貧血を起こしているのか、立っている状態の芳野は体がゆらゆらと不安定に揺れていた。
「志村くんが気になってるのって、坂田くんと私の関係性だろう?」
「うっ、はいそうです」
「正直者じゃん。でも本当に言えることがないんだって。いっそ坂田くんに聞いたほうが早いと思う」
「あの、本当に一体芳野、さんと銀さんはどんな……!」
「昔馴染み以外の何者でもないよ。それより」
「え、うわぁ⁉」
芳野は傾く体をなんとか抑え込みつつ座っている新八に近づくと、肩を持って無理やり立ち上がらせた。そして銀時や似蔵、一部芳野の血で汚れてしまった服の一部を見て申し訳なさげに頭を下げた。
「ごめん、汚れちゃったね」
「あぁ服のことなら気にしないでください。たしかにすごい体験だったけど、僕はなんとかなってますから」
「……そう。ならいいんだ!それはそうとして着替えはある?」
「万事屋にはないので、一度家に帰ろうと思っています。あ、でもその間に銀さんの目が覚めたら、この人のことだから心配して動いちゃうだろうな」
新八の呆れた表情の中にも、銀時への信頼がにじみ出ていた。
相変わらずの坂田銀時という男に、芳野はほっとしていた。真っすぐ折れずにあり続けてくれたことに安心した。
新八から銀時への信頼があるのはいいことだが、この助けに動いてしまうという確信めいたものは、不安材料にしかならなかった。ここは自分が、けが人の意識がはっきりすつまで待つべきかと芳野が考えていると、新八がそうだと、社長椅子前にある机の上の電話から、どこかへかけ始めた。
「あの、銀さんの様子見を僕の姉上にお願いしようと思います!」
「志村くん、お姉さんがいたのか!別に私としては構わないけれど、その、大丈夫?」
「え、なにがですか?」
「いざとなったとき坂田くんを止めないとってなると、女性の方だと……」
「それなら心配ご無用です、姉上は強いので!」
芳野と出会ってから一番の笑顔を新八は見せた。
似蔵との戦いで大怪我を負った銀時には、芳野と新八でできる限りの治療を施した。新八からは「病院に連れていくべきでは?」と尋ねられてが、再度似蔵が襲ってくる可能性が0とは限らなかったため移動はできないと伝えた。
きっと、病院への移動中や、着いた後に襲撃され周りの人を巻き込んでしまった時、一番抱え込むのは坂田銀時なのだろうと芳野は考えた。
「平気、ですか?」
「んー…?」
芳野が万事屋の中心にあるリビング兼応接間にある2つのソファーの1つにぐったりとうなだれるように座り込んでいると、気まずそうに新八が話しかけた。
「えっとあなたも大怪我を負ってるように見えたんですけれど」
「あーうん、平気。なんとかなってるよ。ありがとね」
芳野は顔だけを持ち上げ新八に安心するように笑いかける。しかし芳野の顔色に血の気が無く、今にも倒れてしまいそうな予感さえした。
せめて安静に、横になったほうがいいのではないかと新八が提案するも。それも芳野の「平気だから」の一言で返さる。
どうすればいいのか、新八は芳野と向かい合う形でソファーに座っていることしかできなかった。
「志村くんさ」
「は、はい」
「私、ここに来るまでの道中で自己紹介ってしたっけ?必死すぎて記憶があいまいで」
「まだですけど、え、今ですか?」
「今以外、タイミングないかもだし。それに私は志村くんに名前を教えてもらったのに教えないのはよくないでしょ」
芳野は頭を下に向け、大きくふーっと息を吐くと、勢いをつけて立ち上がった。
新八はいきなりの行動に驚いたが、眼鏡がずり落ちることはなかった。
「えー…、坂田くんとは昔馴染みの芳野 飛鳥です。あと言えることは、うんと、怪しいものではないです」
「……それだけ⁉」
「なになに知りたがりだね。そうだなぁ、今は斬られた直後よりも体調が絶不調になってるけど、すぐに戻るから心配無用です、とか?」
「いやなんですかそれ。そうじゃなくて!もう少し深めのことを」
新八が得られた情報は、銀時とは昔馴染みだということ、名前、そのくらいだった。しかも昔馴染みといえど、どの程度昔なのか、芳野から教えてくれそうな様子はない。
貧血を起こしているのか、立っている状態の芳野は体がゆらゆらと不安定に揺れていた。
「志村くんが気になってるのって、坂田くんと私の関係性だろう?」
「うっ、はいそうです」
「正直者じゃん。でも本当に言えることがないんだって。いっそ坂田くんに聞いたほうが早いと思う」
「あの、本当に一体芳野、さんと銀さんはどんな……!」
「昔馴染み以外の何者でもないよ。それより」
「え、うわぁ⁉」
芳野は傾く体をなんとか抑え込みつつ座っている新八に近づくと、肩を持って無理やり立ち上がらせた。そして銀時や似蔵、一部芳野の血で汚れてしまった服の一部を見て申し訳なさげに頭を下げた。
「ごめん、汚れちゃったね」
「あぁ服のことなら気にしないでください。たしかにすごい体験だったけど、僕はなんとかなってますから」
「……そう。ならいいんだ!それはそうとして着替えはある?」
「万事屋にはないので、一度家に帰ろうと思っています。あ、でもその間に銀さんの目が覚めたら、この人のことだから心配して動いちゃうだろうな」
新八の呆れた表情の中にも、銀時への信頼がにじみ出ていた。
相変わらずの坂田銀時という男に、芳野はほっとしていた。真っすぐ折れずにあり続けてくれたことに安心した。
新八から銀時への信頼があるのはいいことだが、この助けに動いてしまうという確信めいたものは、不安材料にしかならなかった。ここは自分が、けが人の意識がはっきりすつまで待つべきかと芳野が考えていると、新八がそうだと、社長椅子前にある机の上の電話から、どこかへかけ始めた。
「あの、銀さんの様子見を僕の姉上にお願いしようと思います!」
「志村くん、お姉さんがいたのか!別に私としては構わないけれど、その、大丈夫?」
「え、なにがですか?」
「いざとなったとき坂田くんを止めないとってなると、女性の方だと……」
「それなら心配ご無用です、姉上は強いので!」
芳野と出会ってから一番の笑顔を新八は見せた。