1.紅桜編
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似蔵と死闘を繰り広げた後、ボロボロの体のまま何とか万事屋の前までたどり着いた。
移動している間に芳野は眼鏡をかけた青年が志村新八という名前であること、そして謎の白い生物、エリザベスの依頼で攘夷志士 桂小太郎の行方を追っていることを聞いた。
「でも、でも桂さんは辻斬りに……」
新八の脳裏には、似蔵が持っていた黒い頭髪の束だった。そんなわけがないと思いながらも、生きていることを信じきれない気持ちが痛いほど芳野に伝わってきた。
芳野は、銀時を支える位置を調整しながら死にかけている男の顔を見た。まだ息をしていることを確認すると、再び顔を上げて前を見る。
「大丈夫、大丈夫だよ。坂田くんだって生きてるんだから桂くんが死ぬはずない」
そんなんで死ぬんだったら、とっくの昔に終わってるよと芳野は笑った。笑うと傷が余計に痛むのか、ぐっと唇をかみしめた。芳野のことを心配しつつも、死ぬはずがないの言葉に新八も前を向いた。
まだまだ夜は明けそうになく、万事屋へと続く静かな通りに二人の足音がよく響いた。
「あ、着きました‼あそこの2階です‼」
新八が指を指した方向を芳野が見ると、暗がりにぼんやりと白く大きな看板が見えてきていた。目を凝らせば「万事屋銀ちゃん」と書いてあるのが見え、芳野はストレートな名前におかしさを覚えた。そしておかしさ以上に2階にまで運ばないといけないことに頭痛がした。
「しょうがない‼目が覚めたら坂田くんにはたっぷりお礼してもらおう‼」
「あの、いったい何を?」
「志村くんさ、坂田くんを私におぶせるの手伝ってもらっていい?」
「えぇっ⁉」
新八は二人で上まで運ぼうと提案してくれていたが、芳野はここまで銀時を引きずってきた新八の体力が限界に近いことを感じ取っていた。
万事屋の階段前まで移動したところで銀時を一度降ろし、芳野は銀時のベルトを抜いた。そして新八の力を借りながらも銀時を背中に乗せ持ち上げ、持ち上げたところをおんぶ紐を真似て銀時と芳野の体をベルトで固定した。あまりの伸縮性がよすぎるベルトに芳野は、どこで買ってるんだよまったくと驚きが隠せなかった。
「志村君は治療の準備しておいて。布団と清潔なタオルとあれば消毒液、あと包帯と……あと清潔な水も‼」
「はい‼」
新八が階段を走って上っていった。2階からはガラガラと万事屋の扉が開けられた音がした。
芳野はゆっくり、一歩一歩銀時を落とさないように階段を上る。一段上ると、芳野の閉じかけていた傷口が開きとても傷んだ。
「子供の前だからってかっこつけちゃったけど、っいてて……。薬の効果切れかな」
似蔵との戦闘からそこまで時間は経っていないのになと、芳野は表情を曇らせた。ため息をつくと、背負っている銀時が呻いた声が聞こえた。
「……坂田くんに聞こえてないからって、ちょっと気が緩みすぎた。今の私の独り言、聞いてないだろうな」
芳野がゆさゆさと体を揺らすと、また銀時が呻いた。
「うん生きてる。本当にこれからどうするかなぁ、まったく!」
一歩一歩と万事屋に、今の坂田銀時の帰る場所に近づいていた。芳野はこの後、何をすべきなのかを考えながらも、銀時を背負いながら階段を上った。
移動している間に芳野は眼鏡をかけた青年が志村新八という名前であること、そして謎の白い生物、エリザベスの依頼で攘夷志士 桂小太郎の行方を追っていることを聞いた。
「でも、でも桂さんは辻斬りに……」
新八の脳裏には、似蔵が持っていた黒い頭髪の束だった。そんなわけがないと思いながらも、生きていることを信じきれない気持ちが痛いほど芳野に伝わってきた。
芳野は、銀時を支える位置を調整しながら死にかけている男の顔を見た。まだ息をしていることを確認すると、再び顔を上げて前を見る。
「大丈夫、大丈夫だよ。坂田くんだって生きてるんだから桂くんが死ぬはずない」
そんなんで死ぬんだったら、とっくの昔に終わってるよと芳野は笑った。笑うと傷が余計に痛むのか、ぐっと唇をかみしめた。芳野のことを心配しつつも、死ぬはずがないの言葉に新八も前を向いた。
まだまだ夜は明けそうになく、万事屋へと続く静かな通りに二人の足音がよく響いた。
「あ、着きました‼あそこの2階です‼」
新八が指を指した方向を芳野が見ると、暗がりにぼんやりと白く大きな看板が見えてきていた。目を凝らせば「万事屋銀ちゃん」と書いてあるのが見え、芳野はストレートな名前におかしさを覚えた。そしておかしさ以上に2階にまで運ばないといけないことに頭痛がした。
「しょうがない‼目が覚めたら坂田くんにはたっぷりお礼してもらおう‼」
「あの、いったい何を?」
「志村くんさ、坂田くんを私におぶせるの手伝ってもらっていい?」
「えぇっ⁉」
新八は二人で上まで運ぼうと提案してくれていたが、芳野はここまで銀時を引きずってきた新八の体力が限界に近いことを感じ取っていた。
万事屋の階段前まで移動したところで銀時を一度降ろし、芳野は銀時のベルトを抜いた。そして新八の力を借りながらも銀時を背中に乗せ持ち上げ、持ち上げたところをおんぶ紐を真似て銀時と芳野の体をベルトで固定した。あまりの伸縮性がよすぎるベルトに芳野は、どこで買ってるんだよまったくと驚きが隠せなかった。
「志村君は治療の準備しておいて。布団と清潔なタオルとあれば消毒液、あと包帯と……あと清潔な水も‼」
「はい‼」
新八が階段を走って上っていった。2階からはガラガラと万事屋の扉が開けられた音がした。
芳野はゆっくり、一歩一歩銀時を落とさないように階段を上る。一段上ると、芳野の閉じかけていた傷口が開きとても傷んだ。
「子供の前だからってかっこつけちゃったけど、っいてて……。薬の効果切れかな」
似蔵との戦闘からそこまで時間は経っていないのになと、芳野は表情を曇らせた。ため息をつくと、背負っている銀時が呻いた声が聞こえた。
「……坂田くんに聞こえてないからって、ちょっと気が緩みすぎた。今の私の独り言、聞いてないだろうな」
芳野がゆさゆさと体を揺らすと、また銀時が呻いた。
「うん生きてる。本当にこれからどうするかなぁ、まったく!」
一歩一歩と万事屋に、今の坂田銀時の帰る場所に近づいていた。芳野はこの後、何をすべきなのかを考えながらも、銀時を背負いながら階段を上った。