刀剣乱夢の短編集
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本丸は昨日顕現させたばかりの刀剣男士、雲生の歓迎会で盛り上がっていた。大広間には多くの酒飲みが集まっていた。もちろん雲生と話してみたくて参加している男士も多くいる。
主役の雲生を囲うようにして机につき、器が空になればすぐに誰かがお酒を注いでいた。雲生はいただきます、と顔色一つ変えずに飲み干していくものなので、酒飲み仲間が増えたとよく盛り上がっていた。
「こら、無茶させないよ?」
やりすぎないようにと審神者が念のため止めに入れば、お行儀よく「はーい」と返事が返ってくる。雲生へと視線をやれば、じっとまっすぐに審神者を見つめていた。
「ん?どうしたの?」
「ああいえ、その、主と」
雲生はハッとし、すぐに照れたように手で口元を覆った。不思議な行動に、審神者が首を傾げれば雲生はぽつりと語った。
「無線越しや刀そのものとしてではなく、こうして直接主と話すのもいいな、と」
変なことを、すいませと雲生はうつむいた。
その初な姿に盛り上がったのは男士達で、どうやら『刀剣男士あるある』らしい。
雲生の隣に座っていた初期刀、陸奥守は大きく笑った。
「懐かしいのう!おまんが初めてわしを選んで顕現させた時のこと、今でも覚えちゅうよ?『たしかに名前を呼びよったのはこの声じゃ!』って感動したもんじゃき」
「なにそれ初耳なんだけど!」
「話す機会もなかったきに、そりゃあ」
どこか気恥ずかしい思いを抱えた審神者が驚いて陸奥守を見た。陸奥守は腕を組んでうんうんと当時を懐かしんでいるようだった。
他の刀剣男士も、そうだったそうだったと思い出を肴に酒をあおっている。
「ちょ、なんか恥ずかしいって!私ただの一般審神者で特別なことないのに!」
「審神者っちゅうだけで十分特別やと思うけんどな?」
「ということは」
雲生が、一人納得したかのようにつぶやく。
「主の声を聴いた時の感動も、高揚感も、心の高鳴りも、庇護欲も、愛おしさも、甘さも、息が詰まる感覚も。すべて変なことではなかったのですね、よかった」
雲生はなるほどなるほどとすっきりとした顔で、お猪口に入っていた酒を一口でグイっと飲み干した。
しかしすっきりしているのは彼一人だけで、審神者や他の刀剣男士は固まってしまっている。恐る恐る鯰尾が声を上げる。
「あのー…」
「はい、なんでしょう?」
「愛おしさとかっていうのは、ちょっとまた別かなってぇ……いやまぁ?刀剣男士十人十色なので一概には言えないんですけど!! ねっ、陸奥守さん‼‼」
鯰尾が陸奥守に思わず話を投げてしまえば、その陸奥守はいつのまにか審神者の耳をふさぎつつ拘束していた。審神者は「なんで⁉」と身をよじっていた。
審神者を拘束したまま、陸奥守は雲生に対して難しい顔をした。
「一線、超えんなよ?」
「一線とは?」
「それは、初期刀であるわしが許さんぜよ」
「大変申し訳ないのですが、私にはよく理解できていなくて……。不用意なことはしないよう心がけます」
雲生は、何故陸奥守が審神者の耳を塞ぎ拘束しているのかが分からなかった。それに刀剣男士として、顕現後に審神者へ抱く思いとしては一般的なものだと思ったのだが、どうやら反応を見るに違うらしいと悟った。
しかし酒の肴としては最高で陸奥守と雲生を除いた刀剣男士は過保護だねと笑いさらに酒を飲んだ。
それはそうとして、鯰尾は一期により少し離れた場所へ連れていかれ、理不尽に叱られていた。不注意だったけど俺悪くなくないか⁉と鯰尾は嘆いた。
「私から言うのも違うとは思うのですが、そろそろ主を離してあげてはいかがでしょう?」
陸奥守がぱっと審神者の拘束をやめれば、泣くような演技を見せた。
「わしは、わしは!まだおまんをどこにもやらんきに!」
「も~!何言ってんのむっちゃん⁉てかなに話してたのさ!」
「それは秘密ながよ」
「ケチー!」
雲生は陸奥守と審神者のやり取りをにこやかに見守っていた。
そして雲生が少女漫画と出会い、自覚をして、自身が発言した内容を理解してしまったために3日間自室に閉じこもる事件が起きたのはまた別の話。
主役の雲生を囲うようにして机につき、器が空になればすぐに誰かがお酒を注いでいた。雲生はいただきます、と顔色一つ変えずに飲み干していくものなので、酒飲み仲間が増えたとよく盛り上がっていた。
「こら、無茶させないよ?」
やりすぎないようにと審神者が念のため止めに入れば、お行儀よく「はーい」と返事が返ってくる。雲生へと視線をやれば、じっとまっすぐに審神者を見つめていた。
「ん?どうしたの?」
「ああいえ、その、主と」
雲生はハッとし、すぐに照れたように手で口元を覆った。不思議な行動に、審神者が首を傾げれば雲生はぽつりと語った。
「無線越しや刀そのものとしてではなく、こうして直接主と話すのもいいな、と」
変なことを、すいませと雲生はうつむいた。
その初な姿に盛り上がったのは男士達で、どうやら『刀剣男士あるある』らしい。
雲生の隣に座っていた初期刀、陸奥守は大きく笑った。
「懐かしいのう!おまんが初めてわしを選んで顕現させた時のこと、今でも覚えちゅうよ?『たしかに名前を呼びよったのはこの声じゃ!』って感動したもんじゃき」
「なにそれ初耳なんだけど!」
「話す機会もなかったきに、そりゃあ」
どこか気恥ずかしい思いを抱えた審神者が驚いて陸奥守を見た。陸奥守は腕を組んでうんうんと当時を懐かしんでいるようだった。
他の刀剣男士も、そうだったそうだったと思い出を肴に酒をあおっている。
「ちょ、なんか恥ずかしいって!私ただの一般審神者で特別なことないのに!」
「審神者っちゅうだけで十分特別やと思うけんどな?」
「ということは」
雲生が、一人納得したかのようにつぶやく。
「主の声を聴いた時の感動も、高揚感も、心の高鳴りも、庇護欲も、愛おしさも、甘さも、息が詰まる感覚も。すべて変なことではなかったのですね、よかった」
雲生はなるほどなるほどとすっきりとした顔で、お猪口に入っていた酒を一口でグイっと飲み干した。
しかしすっきりしているのは彼一人だけで、審神者や他の刀剣男士は固まってしまっている。恐る恐る鯰尾が声を上げる。
「あのー…」
「はい、なんでしょう?」
「愛おしさとかっていうのは、ちょっとまた別かなってぇ……いやまぁ?刀剣男士十人十色なので一概には言えないんですけど!! ねっ、陸奥守さん‼‼」
鯰尾が陸奥守に思わず話を投げてしまえば、その陸奥守はいつのまにか審神者の耳をふさぎつつ拘束していた。審神者は「なんで⁉」と身をよじっていた。
審神者を拘束したまま、陸奥守は雲生に対して難しい顔をした。
「一線、超えんなよ?」
「一線とは?」
「それは、初期刀であるわしが許さんぜよ」
「大変申し訳ないのですが、私にはよく理解できていなくて……。不用意なことはしないよう心がけます」
雲生は、何故陸奥守が審神者の耳を塞ぎ拘束しているのかが分からなかった。それに刀剣男士として、顕現後に審神者へ抱く思いとしては一般的なものだと思ったのだが、どうやら反応を見るに違うらしいと悟った。
しかし酒の肴としては最高で陸奥守と雲生を除いた刀剣男士は過保護だねと笑いさらに酒を飲んだ。
それはそうとして、鯰尾は一期により少し離れた場所へ連れていかれ、理不尽に叱られていた。不注意だったけど俺悪くなくないか⁉と鯰尾は嘆いた。
「私から言うのも違うとは思うのですが、そろそろ主を離してあげてはいかがでしょう?」
陸奥守がぱっと審神者の拘束をやめれば、泣くような演技を見せた。
「わしは、わしは!まだおまんをどこにもやらんきに!」
「も~!何言ってんのむっちゃん⁉てかなに話してたのさ!」
「それは秘密ながよ」
「ケチー!」
雲生は陸奥守と審神者のやり取りをにこやかに見守っていた。
そして雲生が少女漫画と出会い、自覚をして、自身が発言した内容を理解してしまったために3日間自室に閉じこもる事件が起きたのはまた別の話。
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