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その二十七 帰り道
夢主の名前
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「猩影、もう帰れよ、疲れてんだろ」
通りゃんせを倒した帰り道、最寄り駅から本家へ向かう道に出たとき、リクオが言った。
「いえ、つららの姐さんと約束したんで、本家まで送ります」
「…姉貴には言っとくからよ」
「あ、バレました?」
「そんなことったろうと思ったぜ」
「夢主とも約束したんで。本家で待ってる夢主にもシマが拡がったこと報告したいし」
「はあ、好きにしな。姉貴もお前の帰りを待ってんだろ」
「若の帰りも待ってますよ」
「どうだか。俺はきっとついでだ」
「そんなことないですよ。若に、相談しようと最初に言ったのは夢主ですから」
猩影は、昼休みの会話をリクオに説明した。
「姉貴が、そんなことを…でもな、そりゃ昼の俺のことだろ」
「夢主はたぶん、そんなふうには思っちゃいねぇっすよ。夢主は、若が言う『人に仇なす奴は許さん』ってのを結構大事にしてますから」
「確かに、姉貴が1番の理解者かもしれねぇ。同じ、境遇だから」
「夢主には戦う力もあんまりないし、俺としてはあまり前に出てほしくはないんですけど」
「そいつはどうかな。姉貴は確かに戦いには向かねえが、妖怪同士の戦い方を本能で知っていた。あれが本領を発揮するとしたら、俺は三代目を継げなかったかもしれねぇ」
リクオは、ふっと笑って猩影を見上げた。
「だからな、大猿会にやっちまうのは惜しいんだがな」
「そ、それは困りますよ!」
「昔はもっとキレてたんだよ、たぶんな。俺はいい思い出しかねぇけど」
「それは少し聞いたことあります。屋敷を一人で抜け出してたって」
「俺は隠れんぼのつもりだったんだよ」
「はは、そりゃ夢主が上手でしたね」
「今じゃ丸くなっちまったけどな。首無あたりに聞いてみな。1から100まで嫌というほど夢主様エピソードが出てくるぞ」
「機会があったら…。でも夢主はたぶん変わってないところもありますよ」
昔を知らないんで、と前置きして猩影は続けた。
「危険だとわかっていながら乗り込んだり、自分の身を顧みない行動をとったり…そういうのってきっと天性なんですよ」
「あと自分のことより他人を優先するとかな。ホントやめてほしいぜ」
(まあ、それは若にも言えることだけど)
「だから『人に仇なす奴は許さん』がしっくりくるんですよ」
「…お前さっきからバカにしてないか」
「してない、してないですよ。俺は今回のことで改めて三代目の奴良組を支えていこうって思ってんですから」
「はあ、まあいい。大猿会を頼んだぞ」
「ええ、任せてください」
本家につくと、リクオは出迎えた妖怪たちをあっさり交わして自室へ入ってしまった。
(そういやあんなに饒舌な妖怪の若、初めてかも)
猩影は、自分より小さな背中を敬意を込めて見送った。
通りゃんせを倒した帰り道、最寄り駅から本家へ向かう道に出たとき、リクオが言った。
「いえ、つららの姐さんと約束したんで、本家まで送ります」
「…姉貴には言っとくからよ」
「あ、バレました?」
「そんなことったろうと思ったぜ」
「夢主とも約束したんで。本家で待ってる夢主にもシマが拡がったこと報告したいし」
「はあ、好きにしな。姉貴もお前の帰りを待ってんだろ」
「若の帰りも待ってますよ」
「どうだか。俺はきっとついでだ」
「そんなことないですよ。若に、相談しようと最初に言ったのは夢主ですから」
猩影は、昼休みの会話をリクオに説明した。
「姉貴が、そんなことを…でもな、そりゃ昼の俺のことだろ」
「夢主はたぶん、そんなふうには思っちゃいねぇっすよ。夢主は、若が言う『人に仇なす奴は許さん』ってのを結構大事にしてますから」
「確かに、姉貴が1番の理解者かもしれねぇ。同じ、境遇だから」
「夢主には戦う力もあんまりないし、俺としてはあまり前に出てほしくはないんですけど」
「そいつはどうかな。姉貴は確かに戦いには向かねえが、妖怪同士の戦い方を本能で知っていた。あれが本領を発揮するとしたら、俺は三代目を継げなかったかもしれねぇ」
リクオは、ふっと笑って猩影を見上げた。
「だからな、大猿会にやっちまうのは惜しいんだがな」
「そ、それは困りますよ!」
「昔はもっとキレてたんだよ、たぶんな。俺はいい思い出しかねぇけど」
「それは少し聞いたことあります。屋敷を一人で抜け出してたって」
「俺は隠れんぼのつもりだったんだよ」
「はは、そりゃ夢主が上手でしたね」
「今じゃ丸くなっちまったけどな。首無あたりに聞いてみな。1から100まで嫌というほど夢主様エピソードが出てくるぞ」
「機会があったら…。でも夢主はたぶん変わってないところもありますよ」
昔を知らないんで、と前置きして猩影は続けた。
「危険だとわかっていながら乗り込んだり、自分の身を顧みない行動をとったり…そういうのってきっと天性なんですよ」
「あと自分のことより他人を優先するとかな。ホントやめてほしいぜ」
(まあ、それは若にも言えることだけど)
「だから『人に仇なす奴は許さん』がしっくりくるんですよ」
「…お前さっきからバカにしてないか」
「してない、してないですよ。俺は今回のことで改めて三代目の奴良組を支えていこうって思ってんですから」
「はあ、まあいい。大猿会を頼んだぞ」
「ええ、任せてください」
本家につくと、リクオは出迎えた妖怪たちをあっさり交わして自室へ入ってしまった。
(そういやあんなに饒舌な妖怪の若、初めてかも)
猩影は、自分より小さな背中を敬意を込めて見送った。
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