すべての夢小説で共通です。
その十八
夢主の名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「ん・・・」
「っ夢主!夢主!!」
握っていた夢主の左手がわずかに動いた。猩影はそれを見逃さず、夢主の顔を覗き込む。
「夢主様!」
「夢主様!!」
夢主がゆっくりと目を開ける。
色を持った世界が見えた。やっともとの世界に戻ってこれたようだ。
やけに冷静な頭でそう考えて、瞬きを繰り返す。
そうして、慣れてきた視界には、ずっと会いたかった人たちが映っていた。
「しょ、うくん・・・」
思いのほか掠れてしまった声に驚く。
「やっと、会えた」
夢主は穏やかに笑む。
「夢主」
「夢主様」
「ぜん、くん・・・首無、毛倡妓・・・」
「夢主!!」
見えた人を順番に呼んでみる。そうしているうちに、猩影が夢主を抱きしめた。いや、抱きついたと言った方が正しいのかもしれない。
「くるぅぅああ猩影!退け!!夢主が潰れちまうだろうが!!ゲホッゲホ・・・」
「猩くん・・・鴆くん、大丈夫?」
勢いよく抱きついてきた猩影の顔こそ見えないが、その身体はわずかに震えている。猩影を一喝した鴆も、そして見守る首無や毛倡妓もその目に涙を浮かべている。
「夢主、よかった!本当によかった!!」
猩影は漸く身体を離すと、ズビっと鼻音を立ててそう言った。
「夢主様!目が覚めてよかったです。本当に心配しました」
「夢主様、体調はいかがですか?」
「へーき。それで、あの・・・」
「何です、夢主様?」
「わたし、一体どれくらい眠っていたの?」
「半月ほどです」
「そ、そんなに!?」
そんなにも時間が経っていたとは思わなかった。
「ああ。おいおまえら診察をするから出て行け」
そして鴆は夢主の診察をすべく、妖怪たちを追い出そうとした。
「あの、もう大丈夫なの。もう、身体は大丈夫」
「何言ってんだ、夢主。お前どれ程の怪我を負ったのかわからねぇのか」
「陰陽師の攻撃による火傷、ですよ」
毛倡妓がいつになく真剣な顔で夢主に言う。彼女はリユキにずっと付き添っていたので、その傷の度合いや発熱、それに夢主が苦しそうにしていたことを知っていた。
「本当に大丈夫なの!ほら」
ほら、といっては丁寧に巻かれた包帯を解いた。そこには火傷は跡形もなく消え、本来の夢主の素肌があった。
「はぁ?!ウソだろおい!夢主、どういうこった」
鴆はいくら自分の薬の効能がよくても、火傷の痕が残ってしまうことを憂いていた。それが見事にないのだ。
そして夢主はあろうことか立ち上がろうとする。しかし、怪我云々ではなくとも二週間以上眠っていた人間が普通に立てるはずもなく、よろめいてしまう。
「おっと。夢主無理すんじゃねぇ」
猩影が支え、そしてせめてもと布団の上に座らせる。首無や毛倡妓も驚きやら心配やらでおろおろとしている。
「おう、夢主。調子はどうだい?」
そうこうしているうちにぬらりひょんが、夢主の目が覚めたという知らせを受けて部屋にやってきた。
「おじいちゃん」
ぬらりひょんは夢主に近づくと、そっと頭を撫ぜた。
「よく・・・生きててくれた」
「おじいちゃん・・・ごめんなさい」
そして夢主は眠っている間に会った人のことと、傷が癒えたことの理由を話した。
「そうか、珱姫がな・・・」
夢主の話に誰もが信じられないような表情をする中、ぬらりひょんだけは違っていた。珱姫と話したことを聞き、優しそうに嬉しそうに微笑みを浮かべた。そして傷が短期間で癒えたことにも彼だけはすぐに納得してくれた。
「にわかには信じ難いことですが・・・」
「でも実際夢主様の傷は癒えていますし・・・」
その場にいる他の者たちも徐々にその有り難い事実を理解していった。
「おばあちゃんが『妖様によろしく』って言ってた」
そう夢主が言うとぬらりひょんは一層笑みを濃くした。
ぬらりひょんのことを「妖様」と呼ぶのは珱姫だけだ。そしてそれを夢主が知るはずもない。
もっとも、ぬらりひょんをはじめ、奴良組のなかで夢主の言葉を疑うような輩はいないのだが。
「っ夢主!夢主!!」
握っていた夢主の左手がわずかに動いた。猩影はそれを見逃さず、夢主の顔を覗き込む。
「夢主様!」
「夢主様!!」
夢主がゆっくりと目を開ける。
色を持った世界が見えた。やっともとの世界に戻ってこれたようだ。
やけに冷静な頭でそう考えて、瞬きを繰り返す。
そうして、慣れてきた視界には、ずっと会いたかった人たちが映っていた。
「しょ、うくん・・・」
思いのほか掠れてしまった声に驚く。
「やっと、会えた」
夢主は穏やかに笑む。
「夢主」
「夢主様」
「ぜん、くん・・・首無、毛倡妓・・・」
「夢主!!」
見えた人を順番に呼んでみる。そうしているうちに、猩影が夢主を抱きしめた。いや、抱きついたと言った方が正しいのかもしれない。
「くるぅぅああ猩影!退け!!夢主が潰れちまうだろうが!!ゲホッゲホ・・・」
「猩くん・・・鴆くん、大丈夫?」
勢いよく抱きついてきた猩影の顔こそ見えないが、その身体はわずかに震えている。猩影を一喝した鴆も、そして見守る首無や毛倡妓もその目に涙を浮かべている。
「夢主、よかった!本当によかった!!」
猩影は漸く身体を離すと、ズビっと鼻音を立ててそう言った。
「夢主様!目が覚めてよかったです。本当に心配しました」
「夢主様、体調はいかがですか?」
「へーき。それで、あの・・・」
「何です、夢主様?」
「わたし、一体どれくらい眠っていたの?」
「半月ほどです」
「そ、そんなに!?」
そんなにも時間が経っていたとは思わなかった。
「ああ。おいおまえら診察をするから出て行け」
そして鴆は夢主の診察をすべく、妖怪たちを追い出そうとした。
「あの、もう大丈夫なの。もう、身体は大丈夫」
「何言ってんだ、夢主。お前どれ程の怪我を負ったのかわからねぇのか」
「陰陽師の攻撃による火傷、ですよ」
毛倡妓がいつになく真剣な顔で夢主に言う。彼女はリユキにずっと付き添っていたので、その傷の度合いや発熱、それに夢主が苦しそうにしていたことを知っていた。
「本当に大丈夫なの!ほら」
ほら、といっては丁寧に巻かれた包帯を解いた。そこには火傷は跡形もなく消え、本来の夢主の素肌があった。
「はぁ?!ウソだろおい!夢主、どういうこった」
鴆はいくら自分の薬の効能がよくても、火傷の痕が残ってしまうことを憂いていた。それが見事にないのだ。
そして夢主はあろうことか立ち上がろうとする。しかし、怪我云々ではなくとも二週間以上眠っていた人間が普通に立てるはずもなく、よろめいてしまう。
「おっと。夢主無理すんじゃねぇ」
猩影が支え、そしてせめてもと布団の上に座らせる。首無や毛倡妓も驚きやら心配やらでおろおろとしている。
「おう、夢主。調子はどうだい?」
そうこうしているうちにぬらりひょんが、夢主の目が覚めたという知らせを受けて部屋にやってきた。
「おじいちゃん」
ぬらりひょんは夢主に近づくと、そっと頭を撫ぜた。
「よく・・・生きててくれた」
「おじいちゃん・・・ごめんなさい」
そして夢主は眠っている間に会った人のことと、傷が癒えたことの理由を話した。
「そうか、珱姫がな・・・」
夢主の話に誰もが信じられないような表情をする中、ぬらりひょんだけは違っていた。珱姫と話したことを聞き、優しそうに嬉しそうに微笑みを浮かべた。そして傷が短期間で癒えたことにも彼だけはすぐに納得してくれた。
「にわかには信じ難いことですが・・・」
「でも実際夢主様の傷は癒えていますし・・・」
その場にいる他の者たちも徐々にその有り難い事実を理解していった。
「おばあちゃんが『妖様によろしく』って言ってた」
そう夢主が言うとぬらりひょんは一層笑みを濃くした。
ぬらりひょんのことを「妖様」と呼ぶのは珱姫だけだ。そしてそれを夢主が知るはずもない。
もっとも、ぬらりひょんをはじめ、奴良組のなかで夢主の言葉を疑うような輩はいないのだが。