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その十四
夢主の名前
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「置行堀が満足するものを持っていけばいいのね」
「夢主様、お待ちください!」
夢主は首無に、置行堀の話を聞くや否や、早速屋敷を飛び出そうとする。
首無は、夢主を止めながら苦笑する。
確かに猩影のことは心配だが、彼も列記とした妖怪。その能力のある妖怪から逃げることが叶わなくとも、簡単に死んだりしないだろう。
それよりも夢主を止めなくてはならない。
なぜなら、彼女が行ったところで、猩影と交換できるものなどないだろう。
首無は、夢主の成長を嬉しく思いながらも、複雑だった。自分の腕から夢主が離れていく。それがどんなに歯がゆいことか。彼女の一番は自分ではない。
恋心はない。しかし、幼きころより見守ってきた夢主が他の誰かの元へ行くことを認めたくないと心のどこかで思っている。
そしてそれを自覚している。
夢主は首無の静止など、聞いていない。帰ってきたときと同じく走り出した。
それを首無は追いかける。
しかし、足を止めた。
前方に、彼女の一番大事なものが見えたから。
「っと。夢主!」
夢主はまるで前を見ていなかった。
必死で池へと向かっていた。
だから、前から来る人物が目に入っていなかった。
「猩くん!?」
「おう」
「無事だったのね!よかった」
「ああ、リクオ様に助けてもらった」
「リクオに?」
「その所為で鴆の兄貴は激怒だったがな」
「鴆くん?」
猩影が帰ってきたと思うと、置行堀とは関係のないように思う者たちの名が出てくる。
夢主は頭にハテナを浮かべる。
「どういうこと?」
「ん?・・・うーんと、・・・・俺がまったく不甲斐ないって話」
猩影は笑う。
置行堀に捕まって若頭に助けられる。
とても不甲斐ないと思う。
しかし、いいことを知った。とってもいいことを。
『それでいくと、夢主の一番大事なものがお前だったてんだろ』
「おい、さっきの刀、返してくんねーか」
リクオが呼びかけると、置行堀がブクブクと池から現れた。
「ダメだね。これよりいーもん持ってきな」
「い~もんてなぁ」
「まずないだろ~~なぁ。このはおりよりいいものなんてなぁ」
リクオの期待虚しく、置行堀が持っていたのは「畏」の代紋が入った奴良組の羽織だった。
「刀どこやった!このやろう」
奪われた祢々切丸を勝手に交換されたのに怒り、リクオはその名も”奴良家子相伝フライング妖怪ヤクザキック!!”を仕掛けた。
「てめーが本家だろうが、三下だろーがしらねーが、こんなセコイ悪行・・・その羽織着てやったら承知しねぇぞ!!」
そこにきて漸く、置行堀は相手が奴良組若頭のリクオであると気が付いた。
平謝りをしたところで、羽織を返し、リクオはその代わりにキセルをくれてやる。そういう妖怪なのだ。
本家に戻ると、カラス天狗が涙を流しながらやってきた。
「リクオ様!!」
この刀をなんだと思って・・・と説教が始まる。
羽織は黒羽丸の物だった。
「オイ・・・カラス天狗に告げ口すんなよ黒羽丸」
「全て報告するのが義務ですから」
「マジメすぎるぞお前・・・」
「どこ行くんですか!リクオ様」
カラス天狗の説教はまだ続いている。それを無視してリクオは木登りにいく。
視界の隅に、姉とその恋人の姿を捉える。
「おもしろくねぇ」
舌打ちを一つ。
置行堀。まったく、人騒がせな妖怪だ。