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その十四
夢主の名前
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リクオは、夕食時の騒がしさを逃れるように、散歩に出かけた。
なんだか今日は血が熱い。落ち着きがなく、本家にいることが煩わしくて、大蛇にのって出かけた。夜の姿をしている。
行く当てはある。義兄弟の鴆のところへ向かう。あそこは静かに酒が飲める。
リクオの行く手に急にザバアアアン!と大きな水しぶきが上がる。
なんだなんだと近寄ると、そこには見知った人物の姿があった。
「はぁはぁはぁ・・・ざけんなよ妖怪!放せってんだよ・・・!」
見れば、猩影が池から這い上がろうと必死にもがいていた。
「何やってんだ、猩影」
「り、リクオ様・・・!」
やっとのことでリクオの名を叫ぶと、猩影はまた沈んでいく。
傍からみれば、おぼれているようにも見えるが、そうではないらしい。
どうやら、何かに引っ張られている。
リクオが蛇からおりて、池のほとりに立つと、池の中央あたりから見たこともない妖怪が、猩影の巨体をつまむように持って浮かび上がってきた。
「おい妖怪、悪いこた言わねぇ・・・放してやんな」
「嫌だね~アタシはここを通る幸せそ~~な奴から大事そうなモンをぶんどるのが楽しいのさ」
猩影は心底迷惑そうな顔をしている。
「そうだな~~返して欲しけりゃコレより楽しいモン寄越しなぁ~~~」
楽しいもの?とリクオが考えていると、猩影が飛んできた。
「うわああああああ」
「こいつぁーーー高そうな刀だなぁ~~」
「あ!!おい」
妖怪は猩影と引き換えに、リクオの護身刀である祢々切丸を取られてしまった。
「痛ぇーー!」
後ろで投げられた際にぶつけたところをさすりながら、猩影が起きあげる。
それを視界に捉えていると、池の妖怪の姿はもうなかった。
「ハハハ・・・そいつは”置行堀”だよ。はぎとりのゆーれーみてぇな奴だろう?」
リクオは猩影を連れて、予定通りに薬師堂を訪れた。
意外な組み合わせの二人に鴆は驚いたが、猩影がずぶ濡れなのに気が付いて風呂場へと案内した。
あの池からは本家に帰るより、鴆のところへ行く方が近い。猩影はその理由で、リクオに連れてこられた。
猩影が風呂に入っている間に、リクオがあったことを鴆に話した。
「そうはいってもあの妖怪、あの場所そのものが能力みてぇなもんだ。何か渡さなきゃどーなることかわかりゃしねぇ」
鴆は上機嫌だった。義兄弟たちが尋ねてきて、面白い話を持ってきた。これ以上の酒の肴はない。
「どうして猩影が捕まってたんだ?」
リクオは猩影本人からは事情を聞いていない。
鴆がその妖怪を知っているようだから、聞いてみた。
「そりゃあ・・・・・・なんでだ?」
確かに、猩影が置行堀に捕まっているのはいささかおかしい。
「池に落ちたのか?」
「違いますよ!」
背後で声がして、二人は振り返る。そこには、風呂上りの猩影の姿があった。
失敬な、とでも言いたそうな顔をしている。
「違いますよ、俺はあの妖怪に引きずりこまれたんです」