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その十二
夢主の名前
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とても懐かしい夢を見ていた。
私は小学校に入学する前だった。
早々とランドセルを買ってもらった私は、嬉しくて毎日毎日赤いそれを背負って入学するのを楽しみしていたんだ。
ふいに頭に手が置かれて見上げると、そこにはいつの間にか父がいて。
私は頭を撫でられるのが好きだった。父はそれを知ってか知らずか、いつもそうしてくれた。
「夢主」
名を呼ばれて、顔を上げると、今度は父が私を抱き上げようと腕を伸ばしてくるところだった。
「抱っこはいや!」
「どうしてだい?」
「わたしはもう子どもじゃないから!もう1年生になるんだもん」
そのころの私は父に抱き上げられるのを頑なに拒んだ。気恥ずかしかったからというのと、小学生になるのに抱っこをしてもらうなんて子どもだけだと思っていたからだ。
「そっか。夢主はもうお姉さんになるんだもんな。でも父ちゃんからしたらずっと『子ども』なんだから抱っこしたっていいんだぜ」
しゃがみこんだ父は私と目線を合わせてそう言った。得意げな父はウィンクがよく似合っていた。
「じゃあこんなのはどうだい?」
そういって父は私の左手を取った。
「手を繋ぐぐらい、いいだろ?」
ああどうして涙なんて出るんだろう。
優しい夢を見たはずなのに、悲しい夢を見たわけじゃないのに。
とうの昔に消えてしまった温もりと微かに残る左手の温もり。
もう嫌だよ、目の前で大切な人を失うのは。
逃がさないように、ぎゅっと左手を握った。