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その十
夢主の名前
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「”魔王・・・召喚”・・・?」
牛頭丸と馬頭丸は妖怪牛鬼の畏れを駆使して、上階へとたどり着いた。
そのフロアのある部屋で、先ほど玉章が掲げていたあの刀を発見する。
だが、牛頭丸がその刀に手を伸ばし、触れる直前、現れた手洗い鬼に押さえつけられてしまった。
それを皮切りに四国妖怪たちが一斉に部屋に押し寄せ、二人を押さえつける。
「ふん・・・わかっていたよ。そろそろ、そっちから仕掛けてくるころだろうってね・・・」
「くそ・・・ワラワラ出やがって」
「牛頭~」
「ああ・・・これか?そんなにこの刀のことが知りたいのか?いいだろう・・・丁度いい見せてやるよ」
夢主はこっそりと玉章たちの後を追った。部屋から出るなといわれたが、ここで玉章の言いなりになるわけにはいかない。
玉章の横にいることを最善だと判断したのには、わけがある。彼の横にいれば、組織を探ることができるかもしれない。奴良組に戻ることができるかはわからない。しかし、ただ捕まっているだけというのは、夢主は自分が許せない。
この状況を作り出したのは間違いなく自分なのだ。”自分にできること”それをまだ、夢主は諦めていない。
おそらく、玉章たちがいるであろう部屋にたどり着いた夢主は一瞬言葉を失った。部屋の中は、想像を超える惨事だった。
たくさんの四国妖怪が斬りつけられて倒れている。
「いやぁっ!」
頭で理解して、その現状に夢主は悲鳴に近い声をあげた。その声に気づいて玉章はゆっくりと夢主を振り返る。
「おや、部屋から出るなと言ったはずだが・・・まあいい。夢主も見学していくといい」
「ワシら仲間じゃ・・・ねーのかい・・・なんで・・・ワシらも一緒に斬るんですかい・・・」
まだ息のある妖怪から絶え絶えの声が聞こえる。
「かわりの者など、いくらでもいる・・・強い奴しかいらない・・・君らはコマなんだ」
玉章の言っている意味がわからない。夢主が追いついたときには四国妖怪たちは切り伏せられていた。だがこれではまるで、四国妖怪を傷つけたのは玉章だと言っているようなものだ。
夢主は考えるより先に身体が動いていた。
どうにかこの部屋に臥せっている妖怪たちを救えないだろうか。
思考が追いつくころには、手を翳していた。
部屋全体を淡い光が包み込む。
「夢主、無駄なことをするのは止めろ」
玉章の声など聞こえなかった。救いたいと強く思った。
「やめろ!」
「きゃっ」
玉章の命令を聞かない夢主を手洗い鬼が突き飛ばした。治癒の光は消え、中途半端に塞がりかけた傷が妖怪たちを苦しめた。
「愚かな。放っておけば死んだものを助けようなどと」
何を言われたのか夢主はわからなかった。
「・・・夢主・・・にげろ・・・」
切り伏せられた妖怪たちの中心にいた牛頭丸が、夢主の姿を認識してそう言った。
「まだ生きているのか・・・心配するな、夢主は傷つけはしないさ」
「牛頭!?馬頭!?」
そこで初めて夢主は牛頭丸と馬頭丸の存在を知る。
夢主は思考を止めて、彼らに駆け寄る。
「夢主、そこを退け。君まで一緒に斬りたくはない」
牛頭丸と馬頭丸を背に隠して夢主は玉章と対面する。
「玉章、あなた自分が何をしているのかわかっているの?!」
「使えるコマを利用しただけだ」
「そんな・・・仲間をコマだなんて本気で言っているの?!」
「こちらへ来い、夢主」
そのとき、一瞬だけ部屋が明るくなった。雲の隙間から月明かりがこぼれたのかも知れない。今まで薄暗かった部屋に光がさした。
そして玉章の持つ刀にほんの一瞬だけ光が反射した。
「っ!」
それを目にした夢主が顔をしかめる。
あの刀は・・・。