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その四
夢主の名前
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広間では会議が行われていた。議題はもっぱら、昨夜の旧鼠の件だ。
「おそらく旧鼠は誰かに飼われていたんでしょうな」
「それはリクオがまた妖怪になったというのに、それを”よし”と思っとらん奴なんじゃろーのぅ」
「そりゃーそうでしょ。いくら覚醒しても昼間は人間。しかも覚醒時の記憶がないとなれば・・・」
鴆はそこで先ほど夢主に言われたことを思い出す。
「(待つとは言っても、他の幹部連中がこれだからな)」
右隣では一つ目がしたり顔をしている。ひそひそと何かを話しているが、鴆は聞き流すことにした。
「牛鬼、お前はどう思う?」
ぬらりひょんが牛鬼に話をふる。
「反乱をおこそうとしたガゴゼを斬り、蛇太夫を斬り・・・旧鼠を葬ったのはまぎれもなく若」
リクオの能力は疑いようがないとはいいつつも、一日の四分の一しか妖怪になれないことを指摘した。
そして、ゆっくりと考えていこうと言う。
どことなく、夢主の言っていたことと似ている。鴆は、それに賛成だった。
まだ結論を急ぐときではない。約束をして、借りもあるが、またリクオは覚醒してくれる。
それに、組のことを理解してくれる日がきっとくると信じている。
夢主の言葉を聞いてから、そう思った。
「(なんか説得力があんだよな、夢主に言われると)」
そんな会議の様子を影で聞いている者がいたことに、屋敷のものは誰一人気づいていなかった。
その日の夜。
「ねえ、夢主姉、今日どうして学校休んだの?」
「リクオ、まだそれ覚えてたの・・・」
「猩影くんのためってどういうこと?」
「・・・それは・・・」
言うか言わまいか悩む夢主。
「あ!毛倡妓」
「何です?若」
そこへ謀ったように毛倡妓が通りかかる。
「リクオ!なんで毛倡妓呼ぶの」
うーと困る夢主。
「若ー」
「つらら!」
「どうしたんですか、みんなお揃いで」
「首無に黒田坊まで!」
みんなが集まってきてさらに困る夢主。
「ねえどうして?」
なおもリクオは問う。
「っそれは・・・私が休まないと、猩くん学校行くでしょ・・・昨日、つき合せちゃったし・・・」
赤面する夢主に、ニヤリとする面々。
やっぱりねと毛倡妓。首無と黒田坊は確信犯。つららは偶然。
「そうか。夢主にも護衛をつけよう」
「若!?」
「リクオ!?」
「ん、何?姉ちゃん、みんな」
一瞬、夜のリクオが見えた気が・・・。