海南大付属高校バスケ部…今年夏は“インターハイ2位”と言う、17年連続出場の中で最も素晴らしい実績を残した。

今までにない好成績だったので、全校生徒達からは絶賛されていた。

でも、同じクラスの清田君は…どうも納得がいっていない様子だった。
一年生ながらもスタメンを勝ち取り、全国でも彼の実力は十分発揮出来ていたと思うのに…なんでなんだろ⁇



土曜日ー
学校は午前授業で、私は放課後友達と出掛ける予定だったけど…急用が出来たと言われて、暇になってしまった…。


たまたま、スケジュール帳のポケットから、カラオケの割引チケットが出てきて、しかも期限も迫っていた。
（友達と出掛けたついでに、一緒に行こうかと思ってたけど…。一人で行こうかな…？それとも、他の子誘おうかな？）


そんな風に考えていたら、帰り支度をしている清田君がいた。
そう言えば今日は、バレー部の練習試合で体育館が使われるから、バスケ部は練習が無いっぽい…。
でも、清田君は練習着やバッシュが入っているであろうスポーツバッグを持っていた。


「清田君。今日はバレー部が練習試合で体育館使うから、バスケ部の練習は休みじゃないの？」
と聞くと、
「藍川か。あぁ…休みだけど、公園あたりで自主トレしようと思ってるんだ。」と、普段の練習並みの気合の入り様…。
「あのさ…。そんなに気を張りまくってたら、後々精神的なストレスにも繋がるよ？久々の部活休みなんだから、なんか違うことして息抜きするのも大事だよ？」と言った。
「他のことなんかやってる時間があんなら、バスケしてる方がずっと良いぜ。インターハイだって…。僅差で2位なんて…。悔しすぎる…。今のメンバーでは、最初で最後の出場だったのに…。」　相当悔しがっているようだ。


「ねぇねぇ？せめて、今日くらいは息抜きしない？ほら！」とカラオケの割引チケットを見せた。
「“カラオケ割引券”？俺と行こうっていうの？」
「うん。私も今日…本当は女友達と出掛ける予定だったんだけど、友達急用出来て駄目になっちゃって…。他に都合つく子も居なくて、おまけにその券、期限が迫ってるんだよね…。思いっきり声出して歌うのって、凄く楽しくてストレス発散になるよ！」
「わかったよ…。今日だけ付き合ってやるよ。」
「本当⁉ありがとう♡じゃあ、早く行こう！」
と言って、足早に下駄箱に向かった私達。