卒業
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海南大附属高校 卒業式当日。
私はいつもより早く登校して、校内を回った。
3年前の春…新しい制服に身を包んで迎えた入学式が、まだ数ヶ月前のことかのように感じる。
入学当初、毎朝緊張しながら通った玄関に下駄箱。
お喋りと笑いが絶えなかった教室、食堂に体育館etc…。
数え切れないほどの思い出が詰まっている。
ある程度時間が経った頃、体育館の傍にある、大きな桜の木の近くに行くと、ある男子生徒の姿があった。
清田信長…長髪に、練習時はヘアバンドがトレードマーク。
バスケ部に在籍していて、なんだかんだ3年間同じクラスだったにも関わらず、話をしたことがあるのはごく僅か…。
「おはよう。清田君も来てたの?早いね。」
「藍川こそ…。今日で卒業だから、この桜の木も見納めかなって…。」
清田君は、強豪・海南大付属のバスケ部で1年生の頃からレギュラーの座を射止め、全国出場も果たしていた。
2年生の時は惜しくも県予選で敗退したが、その悔しさをバネに他の人には真似出来ないような努力を重ね、2年生の秋からキャプテンになり、強気且つ人一倍仲間を思いやりながらも、海南バスケ部を引っ張っていった。
そして自身の高校最後の夏、再び全国出場を果たした。
その活躍振りは学内外でも高い評価を得ていた。
「清田君、上の大学に行くんでしょ?」
「あぁ…。また牧さんと神さんと一緒にバスケ出来るし、体育学部の勉強も頑張るぜ。
藍川は何処の大学だっけ?」
「東京の女子大。今月末から、都内で一人暮らしするんだ。」
こんなやり取りをした後、二人でしばらく桜を眺めていた。
「3年前の入学式の時も…この桜満開だったよね…。」
(私…ずっと清田君のことが好きだったのに、想いが伝えられないまま、さよならしちゃうの?)
心の中でこんなことを呟いていた。
「私…1年生の頃から、ずっと清田君のこと好きだった。この想い、ずっと伝えられなかったけど、今日で卒業だから正直に言う。」
勇気を出して、遂に自分の気持ちをぶつけた。
「俺も藍川が好きだった。でも同じクラスだったのに、話した事ほとんどなかったからな…。」
少し照れ臭そうに返事をした。
それと同時に風が吹いて、まどかの長い髪が靡いて、桜の花びらも同時に舞った。
元々大人っぽくて美人だったが、この時は実に色っぽかった。
♪ 卒業写真の中 私は微笑んで
過ぎる季節 見送りたい
サヨナラ♪
嬉しいと寂しいが半々で、私は涙が出てくる。
「やっと伝えられたのに…でも今日で卒業だし、大学だって離れ離れになっちゃう…。」
涙が止まらない私に対し、
「泣くな。涙は卒業式まで取っておけ。
あのさ、連絡先教えて。」
と言いながら、携帯を取り出してきた。
私もすぐに携帯を取り出し、連絡先交換。
「明日か明後日くらいに、飯食いに行こうぜ。俺奢るから。」
「良いよ。」
「あとさ、実家帰ってくるときは必ず連絡しろよ。
一人暮らしするからって、男にホイホイついて行ったり、絶対に家に上げたりすんなよ。
お前の部屋に入って良い男は、俺だけだからな!
それと、俺の大学でのバスケの試合も観に来いよ。
大学界でもスーパールーキー旋風を吹かすからな!!」
早速デートと諸々の約束を交わした。
そして…
「愛してる。まどか。」
桜の木の下でキスをする。
「私も清田君を愛してます。」
お互いの愛を誓い合った。
そうこうしているうちにあっという間に時間が過ぎ、生徒達が続々と登校してくる。
このやり取りは、どうやら一部の人に覗かれていたようだった。
「お熱いね~。お二人さん。」
「おめでとう!幸せになってね!」
クラスメイト達から祝福の言葉が飛ぶ。
更には、こんな人からも…
「清田…お前は最後の最後まで、やらかしてくれるな…。」
高頭監督にも一部始終を見られてたらしく、呆れつつも、温かく見守ってくれているようだった。
二人して、赤くなってしまう…。
そして卒業式ー
清田君は卒業生代表で答辞を担当した。
はじめのうちはきちんと読めていたが、徐々に涙交じりの声になってきている。
「…俺達は海南で学んだ事、出会った仲間達、沢山の思い出を大切にして、今日母校を巣立ちます!
支えてくれた家族、先生方、後輩の皆、ありがとうございました!
海南の益々の発展を祈って、答辞といたします。
卒業生代表・清田信長。」
読み終えた頃には、卒業生全員が涙を流し、会場内は拍手喝采だった。
式が終わってから、最後の思い出作りとして、先生や友達と写真をいっぱい撮った。
OBの牧先輩と神先輩も、少しだけ式に来てくれたようだった。
「清田、遂に告白したんだってな!
さっき他の連中から聞いたぞ!高頭監督も公認らしいな!
しかも、早速彼女の一人暮らしの部屋にも上がり込む気満々らしいな♡幸せにしてやれよ!」
牧先輩からの祝福の言葉に、更に照れる清田君。
一方の神先輩は…「信長、彼女悲しませるようなことしたら、俺がいただいちゃうからね♡」と、微笑みながらやや毒舌っぽく言い放った。
卒業式もそろそろお開きの時間が近づき…
高校生活の中で最初で最後の…彼とお喋りをしながらの下校。
手を繋いで歩きながら、色々な話をして、
清田君の口から出た言葉は…
「まどか…今年の大学生初の夏休み…二人で旅行行こう♡」
有無を言わずOKする私。
(もちろん!行き先決めるの楽しみだね。
でも、まだ学生だから…コンドーム忘れずに持ってくること!♡
私も基礎体温と生理周期、ちゃんと記録するから!♡)
小声でこう言った時に、真っ赤になってたノブが可愛いかった。
卒業式…本来なら、別れを惜しむのが大半だけど…
私達にとっては、3年間のお互いの愛が実った日。
これからは二人で、もっともっとたくさんの愛を育めますように♡♡
♪涙の花びらたちがはらはら
この頬を流れ落ちて歩き出す
青い空を見上げ 大きく 深呼吸しながら
涙の花びらたちがはらはら
思い出のその分だけ 美しく
目の前の大人の階段 一緒に登って手を振ろう♪
https://www.youtube.com/watch?v=CCr0kr0EmjI
AKB48 “桜の花びらたち”より。
私はいつもより早く登校して、校内を回った。
3年前の春…新しい制服に身を包んで迎えた入学式が、まだ数ヶ月前のことかのように感じる。
入学当初、毎朝緊張しながら通った玄関に下駄箱。
お喋りと笑いが絶えなかった教室、食堂に体育館etc…。
数え切れないほどの思い出が詰まっている。
ある程度時間が経った頃、体育館の傍にある、大きな桜の木の近くに行くと、ある男子生徒の姿があった。
清田信長…長髪に、練習時はヘアバンドがトレードマーク。
バスケ部に在籍していて、なんだかんだ3年間同じクラスだったにも関わらず、話をしたことがあるのはごく僅か…。
「おはよう。清田君も来てたの?早いね。」
「藍川こそ…。今日で卒業だから、この桜の木も見納めかなって…。」
清田君は、強豪・海南大付属のバスケ部で1年生の頃からレギュラーの座を射止め、全国出場も果たしていた。
2年生の時は惜しくも県予選で敗退したが、その悔しさをバネに他の人には真似出来ないような努力を重ね、2年生の秋からキャプテンになり、強気且つ人一倍仲間を思いやりながらも、海南バスケ部を引っ張っていった。
そして自身の高校最後の夏、再び全国出場を果たした。
その活躍振りは学内外でも高い評価を得ていた。
「清田君、上の大学に行くんでしょ?」
「あぁ…。また牧さんと神さんと一緒にバスケ出来るし、体育学部の勉強も頑張るぜ。
藍川は何処の大学だっけ?」
「東京の女子大。今月末から、都内で一人暮らしするんだ。」
こんなやり取りをした後、二人でしばらく桜を眺めていた。
「3年前の入学式の時も…この桜満開だったよね…。」
(私…ずっと清田君のことが好きだったのに、想いが伝えられないまま、さよならしちゃうの?)
心の中でこんなことを呟いていた。
「私…1年生の頃から、ずっと清田君のこと好きだった。この想い、ずっと伝えられなかったけど、今日で卒業だから正直に言う。」
勇気を出して、遂に自分の気持ちをぶつけた。
「俺も藍川が好きだった。でも同じクラスだったのに、話した事ほとんどなかったからな…。」
少し照れ臭そうに返事をした。
それと同時に風が吹いて、まどかの長い髪が靡いて、桜の花びらも同時に舞った。
元々大人っぽくて美人だったが、この時は実に色っぽかった。
♪ 卒業写真の中 私は微笑んで
過ぎる季節 見送りたい
サヨナラ♪
嬉しいと寂しいが半々で、私は涙が出てくる。
「やっと伝えられたのに…でも今日で卒業だし、大学だって離れ離れになっちゃう…。」
涙が止まらない私に対し、
「泣くな。涙は卒業式まで取っておけ。
あのさ、連絡先教えて。」
と言いながら、携帯を取り出してきた。
私もすぐに携帯を取り出し、連絡先交換。
「明日か明後日くらいに、飯食いに行こうぜ。俺奢るから。」
「良いよ。」
「あとさ、実家帰ってくるときは必ず連絡しろよ。
一人暮らしするからって、男にホイホイついて行ったり、絶対に家に上げたりすんなよ。
お前の部屋に入って良い男は、俺だけだからな!
それと、俺の大学でのバスケの試合も観に来いよ。
大学界でもスーパールーキー旋風を吹かすからな!!」
早速デートと諸々の約束を交わした。
そして…
「愛してる。まどか。」
桜の木の下でキスをする。
「私も清田君を愛してます。」
お互いの愛を誓い合った。
そうこうしているうちにあっという間に時間が過ぎ、生徒達が続々と登校してくる。
このやり取りは、どうやら一部の人に覗かれていたようだった。
「お熱いね~。お二人さん。」
「おめでとう!幸せになってね!」
クラスメイト達から祝福の言葉が飛ぶ。
更には、こんな人からも…
「清田…お前は最後の最後まで、やらかしてくれるな…。」
高頭監督にも一部始終を見られてたらしく、呆れつつも、温かく見守ってくれているようだった。
二人して、赤くなってしまう…。
そして卒業式ー
清田君は卒業生代表で答辞を担当した。
はじめのうちはきちんと読めていたが、徐々に涙交じりの声になってきている。
「…俺達は海南で学んだ事、出会った仲間達、沢山の思い出を大切にして、今日母校を巣立ちます!
支えてくれた家族、先生方、後輩の皆、ありがとうございました!
海南の益々の発展を祈って、答辞といたします。
卒業生代表・清田信長。」
読み終えた頃には、卒業生全員が涙を流し、会場内は拍手喝采だった。
式が終わってから、最後の思い出作りとして、先生や友達と写真をいっぱい撮った。
OBの牧先輩と神先輩も、少しだけ式に来てくれたようだった。
「清田、遂に告白したんだってな!
さっき他の連中から聞いたぞ!高頭監督も公認らしいな!
しかも、早速彼女の一人暮らしの部屋にも上がり込む気満々らしいな♡幸せにしてやれよ!」
牧先輩からの祝福の言葉に、更に照れる清田君。
一方の神先輩は…「信長、彼女悲しませるようなことしたら、俺がいただいちゃうからね♡」と、微笑みながらやや毒舌っぽく言い放った。
卒業式もそろそろお開きの時間が近づき…
高校生活の中で最初で最後の…彼とお喋りをしながらの下校。
手を繋いで歩きながら、色々な話をして、
清田君の口から出た言葉は…
「まどか…今年の大学生初の夏休み…二人で旅行行こう♡」
有無を言わずOKする私。
(もちろん!行き先決めるの楽しみだね。
でも、まだ学生だから…コンドーム忘れずに持ってくること!♡
私も基礎体温と生理周期、ちゃんと記録するから!♡)
小声でこう言った時に、真っ赤になってたノブが可愛いかった。
卒業式…本来なら、別れを惜しむのが大半だけど…
私達にとっては、3年間のお互いの愛が実った日。
これからは二人で、もっともっとたくさんの愛を育めますように♡♡
♪涙の花びらたちがはらはら
この頬を流れ落ちて歩き出す
青い空を見上げ 大きく 深呼吸しながら
涙の花びらたちがはらはら
思い出のその分だけ 美しく
目の前の大人の階段 一緒に登って手を振ろう♪
https://www.youtube.com/watch?v=CCr0kr0EmjI
AKB48 “桜の花びらたち”より。
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