第一章
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妖怪、ぬらりひょんの策略により始まり、妖怪と人間が傷つけ合い、殺し合った第二次妖怪大戦争は、あらざるの地よりの鬼太郎の帰還、その鬼太郎によるバックベアード撃破、そしてぬらりひょんの自爆という、幕引きで終わりを告げた。
零「……犬山まなの記憶はもう戻らないのか?」
そう、零が問いかけたのは、もはや自らの師範とも呼べる傍らの鬼、伊吹丸だ。
猫娘の命を贄に、あらざるの地へと鬼太郎を連れ戻しに向かった犬山まなは結果的に、鬼太郎を連れ戻すことには成功したものの、その代償は鬼太郎達に関する記憶を全て失うという悲しいものだった。
伊吹丸『……さてな。戻る戻らないに関わらず、代償は確かに支払われた。さりとて記憶というものは思いの結晶のようなもの……思い出せぬだけで心は然と覚えているものだ』
零『……思い出すか思い出さずにそのまま終わるかは、結局本人次第って事か……』
確かに、犬山まなは鬼太郎達に関する記憶を失った。
けれど、犬山まなを知り、愛する者たちは変わらず彼女を見守り続けるだろう。
何年、何十年経とうが覚えている者がいる限り、犬山まなという少女が愛された記憶は周りから消えることはない。
彼女は確かに、その場所、"そこ"に居たのだから。
伊吹丸『……人と妖怪が起こす奇跡など、我も信じてはいなかったが、あやつらはそれを我に幾度も見せてくれた。なれば此度の事も、何れ奇跡さえも越えて乗り越えていくだろう』
それがいつになるかは分からぬがな。と言って零を一瞥し、伊吹丸は姿を消した。
零(……覚えているものがいる限り、記憶は消えない……か……)
零「…………」
サヤ(……零兄ちゃん………─────)
喪った人の面差しが頭を過り、零は軽く頭を振ると、再び歩き出す。
零(俺にはそんなもの、ない。必要もない)
砂まじりの強い風が吹いた。
それは、壊れた街の上を撫でるように通り過ぎる。
瓦礫の山と化した街は、戦争の終わりを喜びながらも、喪った命に咽ぶ声に溢れていた。妖怪と人間が今度こそ互いに手を取り、立ち上がろうとする中で、少年は、それに背を向け、再び一人、旅立って行った。
暮れていく空を背景に小さな黄色の花が揺れ、輝いている。夕陽を受け、花は淡い金色に縁取られ、風が吹くたびに花びらではなく光が零れ散っていた。
零「……犬山まなの記憶はもう戻らないのか?」
そう、零が問いかけたのは、もはや自らの師範とも呼べる傍らの鬼、伊吹丸だ。
猫娘の命を贄に、あらざるの地へと鬼太郎を連れ戻しに向かった犬山まなは結果的に、鬼太郎を連れ戻すことには成功したものの、その代償は鬼太郎達に関する記憶を全て失うという悲しいものだった。
伊吹丸『……さてな。戻る戻らないに関わらず、代償は確かに支払われた。さりとて記憶というものは思いの結晶のようなもの……思い出せぬだけで心は然と覚えているものだ』
零『……思い出すか思い出さずにそのまま終わるかは、結局本人次第って事か……』
確かに、犬山まなは鬼太郎達に関する記憶を失った。
けれど、犬山まなを知り、愛する者たちは変わらず彼女を見守り続けるだろう。
何年、何十年経とうが覚えている者がいる限り、犬山まなという少女が愛された記憶は周りから消えることはない。
彼女は確かに、その場所、"そこ"に居たのだから。
伊吹丸『……人と妖怪が起こす奇跡など、我も信じてはいなかったが、あやつらはそれを我に幾度も見せてくれた。なれば此度の事も、何れ奇跡さえも越えて乗り越えていくだろう』
それがいつになるかは分からぬがな。と言って零を一瞥し、伊吹丸は姿を消した。
零(……覚えているものがいる限り、記憶は消えない……か……)
零「…………」
サヤ(……零兄ちゃん………─────)
喪った人の面差しが頭を過り、零は軽く頭を振ると、再び歩き出す。
零(俺にはそんなもの、ない。必要もない)
砂まじりの強い風が吹いた。
それは、壊れた街の上を撫でるように通り過ぎる。
瓦礫の山と化した街は、戦争の終わりを喜びながらも、喪った命に咽ぶ声に溢れていた。妖怪と人間が今度こそ互いに手を取り、立ち上がろうとする中で、少年は、それに背を向け、再び一人、旅立って行った。
暮れていく空を背景に小さな黄色の花が揺れ、輝いている。夕陽を受け、花は淡い金色に縁取られ、風が吹くたびに花びらではなく光が零れ散っていた。