僕の異世界ワールド(十傑/勝デク♀)
「ココどこっーーー!!??」
出久は気がついたら森にいた。
こんなところ知らない。出久は図書館にいたはずだ。お母さんと幼稚園が終わったあとに本を返すついでと立ち寄っていた。
お気に入りの図鑑コーナーで面白そうな本を見つけたので、お母さんが続きの小説を借りるちょっと待つ間に読もうと椅子に座ろうとした時だった。
突然椅子は消えて。本もなくなっていて。出久は地べたに尻もちをついた。
見渡す限り見たことが無いほど大きな木がたくさんあって、どうしてこんな所にいるのか全く分からない。
「お、お…おおおお母さぁぁぁんん!!」
お母さんを呼んでも返事がない。近くにお母さんがいない。
だんだん怖くなって、涙が出てきて視界がゆがんだ。
でもお母さんを見付けないといけない。お母さんはどこだろう。ここはどこなんだろう。
「お母さん…お母さん…!お母さぁぁんん!!」
「うるせえッ!!!」
「ぎゃあああ!!」
目の前大きな木から男の子が突然飛び出し怒鳴り声をあげた。
ビビった出久はまた尻もちをついた。
見上げると同じくらいの年齢の少年が腕を組んで出久を見下ろしている。
通りすがりの少年、勝己は出久に話しかけた。
「なんだお前!こんなとこで何してんだよ!」
「ひとだぁぁ!!よかったぁ!!」
噴水のように涙を吹き出し喜ぶ出久。
しばらく泣き続けていた出久は気持ちが落ち着くと勝己に泣いていた理由を話した。
「迷子?こんな森で?アホか」
「あ、あほじゃないよ!気がついたら森にいたの!」
「気がついたらって、お前頭大丈夫か?」
「だ、大丈夫だよ!…でも、本当になんで森にいるのか分からないんだ。戻らないとお母さん心配するし…」
「とりあえず俺の村に来いよ。連れてってやる」
「ありがとう!きみに会えて良かった」
にっこりとほほえむ出久。
勝己はその笑顔に見とれた。ドキドキと心臓が脈を打ち、顔が赤く熱くなる。こんなこと初めてだ。
人はこの現象を初恋と呼ぶ。
勝己、齢4つ。生まれて初めて恋をした。
「っ!…たぁく!めんどくせぇけどしかたねーな!俺も帰る途中だったしついでだ!」
幼い勝己はこの現象、初恋をしたことをまだあまり理解はしていない。
「僕、出久っていうの。君は?」
「カツキ」
だが赤くなった顔を出久に見られたくないと顔を隠すようにそらし、そう言って出久の前を歩き出した。
「カツキくんだね。よろしく!あ、ちょっと待ってよ……わっ!!」
勝己と出久が歩いてる場所は大きな木の幹が地面に入り組んでいてでこぼこしていた。
慣れた様子の勝己は平気だが出久は幼く幼いゆえに短い足がつまずいて転びそうになった。
出久が倒れそうになっているとすぐに気がついた勝己は自分の反射の良さを使い出久を受け止めた。
「ありがとう、カツキくん!」
「気をつけろよな!」
「ごめんね、僕は歩くの遅いからもう少しゆっくり歩いてもらってもいいかな?」
「……っん」
「え?」
「手!また迷子になっても俺は探さねぇからな。連れてくのも帰りの途中でしかたねーからだ。だからはぐれるなよ」
「うん!ぜったい離さない!」
「うし、んじゃ行くぞ」
森を歩く勝己と出久。
出久は見た事ない花や木にキラキラとした目で見た。
「何キョロキョロしてんだ?」
「この森見た事ない植物がいっぱいなんだもん!図鑑でも見たことないよ!」
「はあ?ずかん?なんだそれ」
「図鑑は色んな写真や絵がいっぱい書いてある本だよ。僕の家の近くに図書館があって、よく行って読んでるんだ。今日もね、その図書館にいたんだよ。気がついたらここにいたんだけど」
「ふーん。本なんて読んだことねーな。つーかとしょかんって場所のことか?聞いたことねーな」
「ええ?ここ図書館ないの?…わっ!あれ何!?小人がいるよ!」
「あれはゴブリンだ。この辺のやつは何もしなければ襲って来たりはしねーよ。意思疎通くれーは出来るしな」
出久は勝己の腕にしがみつく。
勝己ちょっと照れる。
「あ、ちょうどいい。ゴブリンに聞いてみるか」
「へ!?」
「なぁ!ゴブリン、今いいか」
「ナンダ?」
「ヒトのコだ」
「ホントダ」
「ドウシタヒトのコ」
「こいつ迷子なんだ。こいつがここ通って来たとこ見たか?」
「ミテナイ」
「そのコはハジメテみた」
「ココにヒトはオマエサンしかミナカッタよ」
「そうか。ならとしょかんって知ってるか?」
「トショカン?」
「ハジメテキイタ」
「分かった。サンキュー」
「すごいね!小人さんとお話しちゃった!」
「ゴブリンなんて珍しくねーだろ。あのゴブリンまだ若いやつなんだな。土地とか知ってるやつとなるともっと年取ってるやつじゃないとダメだな」
「なんでそんなことわかるの?」
「ゴブリンは人より寿命が短いんだ。知能も低いから年取ってないと何も知らねーんだよ」
「へー」
「あとはゴブリンは寿命が短い分繁殖力も強い。だから人が襲われんだ。今の奴らはいい奴らだったけど、魔物だからな」
「君物知りなんだね!にしても魔物って、なんだかファンタジーだ。…もしかして僕は夢を見てるのかな?」
バチンッ!と勝己は出久の頬を叩いた。
「痛い!なにするの!?」
「何寝ぼけたこと言ってんだ。どう見ても起きてるだろバァカ。つーか、俺が言ったことちゃんと分かってんのか?
ここには他にも色んな魔物がいる。
お前みたいなノロマでどんくさそうなのはすぐにやられるから気を付けろ」
「うう、夢じゃないのか…。心配してくれてありがとうカツキくん」
「…そのカツキくんってのやめろや。なんか嫌だ。でもカツキって呼び捨てすんなよ。ムカつく」
「なんだよそれ。あ、じゃあかっちゃんは!どうかな?」
「はぁ!?んでちゃん付けなんだよ!俺は男だぞ!」
「知ってるよ。ちゃん付けのほうがなんかかわいいし言いやすいし!はい、決定」
「じゃあお前も、何もできないノロマの馬鹿だからデクな!」
「でく?」
「木偶の坊のデクだ」
「酷い!」
「じゃあこれからお前は俺のことカツキ様って呼べよ。デェク?」
「じゃあボクが君を様付けで呼んだらなんて呼んでくれるの?」
「バカとかだな。それかノロマ。アホ」
「全部悪口じゃないか!様付けない、かっちゃんって呼ぶ!」
「だったら俺もデクって呼ぶ。ちゃんと返事しろよ!」
「えー、やだよー」
「おい、デク」
「やだ」
「ちゃんと返事しろや。デェク?」
「もう、なんだよかっちゃん」
「はっ、けっきょく返事してんじゃん」
「な!君が呼べっていうからだろ!かっちゃんのばか!」
「はあ?誰がバカだ。バカデク!」
「もっと悪くなってるじゃないか!」
「お前が素直に返事すりゃいい話だろ」
「もーー!いいよデクで!」
「よし、そろそろ俺の村に着くぞ」
「もしかしてあれ?」
「そうだ。ババアかジジイにお前のいた場所を聞く。まずどっから来たか把握しねーとな」
「そうだね。ありがとうかっちゃん」
「しかたなくだ!帰えるついでだったし!」
「ふふ、君って口は悪いけど優しいんだね」
「はぁぁ!?ぶざけんなクソデク!デクのくせに!」
「なんで怒るんだよ!?ほめただけだろ!」
「おーカツキ、なんだよ彼女とデートか?」
「彼女じゃねーし、デートじゃねえ!拾った!」
「その年でナンパかよ。ませてんなぁ」
「んなわけないだろ色ボケ!女のケツばっか見てるてめぇと一緒にすんなわ! 」
「あはは、カツキおかえり、かわいい彼女と一緒だなあ」
「彼女じゃねえ!」
「あの、かっちゃんとはさっき会ったばかりで、そんなんじゃないですよ!本人も嫌がってますし。かっちゃんと彼女だなんて、ありえませんから!」
「……。」
「カツキがんばれー」
「うるせえッ!!!」
「カツキ!あんたどこいってたの?お使い頼もうと思ったのに呼んでもいないしさー!」
「おいババア、俺をパシリにすんじゃねぇ!」
「だれがババアだ、こら。お母さんでしょ。それかお母様と呼びな」
(あ、この人。かっちゃんのお母さんだ)
続く!
出久は気がついたら森にいた。
こんなところ知らない。出久は図書館にいたはずだ。お母さんと幼稚園が終わったあとに本を返すついでと立ち寄っていた。
お気に入りの図鑑コーナーで面白そうな本を見つけたので、お母さんが続きの小説を借りるちょっと待つ間に読もうと椅子に座ろうとした時だった。
突然椅子は消えて。本もなくなっていて。出久は地べたに尻もちをついた。
見渡す限り見たことが無いほど大きな木がたくさんあって、どうしてこんな所にいるのか全く分からない。
「お、お…おおおお母さぁぁぁんん!!」
お母さんを呼んでも返事がない。近くにお母さんがいない。
だんだん怖くなって、涙が出てきて視界がゆがんだ。
でもお母さんを見付けないといけない。お母さんはどこだろう。ここはどこなんだろう。
「お母さん…お母さん…!お母さぁぁんん!!」
「うるせえッ!!!」
「ぎゃあああ!!」
目の前大きな木から男の子が突然飛び出し怒鳴り声をあげた。
ビビった出久はまた尻もちをついた。
見上げると同じくらいの年齢の少年が腕を組んで出久を見下ろしている。
通りすがりの少年、勝己は出久に話しかけた。
「なんだお前!こんなとこで何してんだよ!」
「ひとだぁぁ!!よかったぁ!!」
噴水のように涙を吹き出し喜ぶ出久。
しばらく泣き続けていた出久は気持ちが落ち着くと勝己に泣いていた理由を話した。
「迷子?こんな森で?アホか」
「あ、あほじゃないよ!気がついたら森にいたの!」
「気がついたらって、お前頭大丈夫か?」
「だ、大丈夫だよ!…でも、本当になんで森にいるのか分からないんだ。戻らないとお母さん心配するし…」
「とりあえず俺の村に来いよ。連れてってやる」
「ありがとう!きみに会えて良かった」
にっこりとほほえむ出久。
勝己はその笑顔に見とれた。ドキドキと心臓が脈を打ち、顔が赤く熱くなる。こんなこと初めてだ。
人はこの現象を初恋と呼ぶ。
勝己、齢4つ。生まれて初めて恋をした。
「っ!…たぁく!めんどくせぇけどしかたねーな!俺も帰る途中だったしついでだ!」
幼い勝己はこの現象、初恋をしたことをまだあまり理解はしていない。
「僕、出久っていうの。君は?」
「カツキ」
だが赤くなった顔を出久に見られたくないと顔を隠すようにそらし、そう言って出久の前を歩き出した。
「カツキくんだね。よろしく!あ、ちょっと待ってよ……わっ!!」
勝己と出久が歩いてる場所は大きな木の幹が地面に入り組んでいてでこぼこしていた。
慣れた様子の勝己は平気だが出久は幼く幼いゆえに短い足がつまずいて転びそうになった。
出久が倒れそうになっているとすぐに気がついた勝己は自分の反射の良さを使い出久を受け止めた。
「ありがとう、カツキくん!」
「気をつけろよな!」
「ごめんね、僕は歩くの遅いからもう少しゆっくり歩いてもらってもいいかな?」
「……っん」
「え?」
「手!また迷子になっても俺は探さねぇからな。連れてくのも帰りの途中でしかたねーからだ。だからはぐれるなよ」
「うん!ぜったい離さない!」
「うし、んじゃ行くぞ」
森を歩く勝己と出久。
出久は見た事ない花や木にキラキラとした目で見た。
「何キョロキョロしてんだ?」
「この森見た事ない植物がいっぱいなんだもん!図鑑でも見たことないよ!」
「はあ?ずかん?なんだそれ」
「図鑑は色んな写真や絵がいっぱい書いてある本だよ。僕の家の近くに図書館があって、よく行って読んでるんだ。今日もね、その図書館にいたんだよ。気がついたらここにいたんだけど」
「ふーん。本なんて読んだことねーな。つーかとしょかんって場所のことか?聞いたことねーな」
「ええ?ここ図書館ないの?…わっ!あれ何!?小人がいるよ!」
「あれはゴブリンだ。この辺のやつは何もしなければ襲って来たりはしねーよ。意思疎通くれーは出来るしな」
出久は勝己の腕にしがみつく。
勝己ちょっと照れる。
「あ、ちょうどいい。ゴブリンに聞いてみるか」
「へ!?」
「なぁ!ゴブリン、今いいか」
「ナンダ?」
「ヒトのコだ」
「ホントダ」
「ドウシタヒトのコ」
「こいつ迷子なんだ。こいつがここ通って来たとこ見たか?」
「ミテナイ」
「そのコはハジメテみた」
「ココにヒトはオマエサンしかミナカッタよ」
「そうか。ならとしょかんって知ってるか?」
「トショカン?」
「ハジメテキイタ」
「分かった。サンキュー」
「すごいね!小人さんとお話しちゃった!」
「ゴブリンなんて珍しくねーだろ。あのゴブリンまだ若いやつなんだな。土地とか知ってるやつとなるともっと年取ってるやつじゃないとダメだな」
「なんでそんなことわかるの?」
「ゴブリンは人より寿命が短いんだ。知能も低いから年取ってないと何も知らねーんだよ」
「へー」
「あとはゴブリンは寿命が短い分繁殖力も強い。だから人が襲われんだ。今の奴らはいい奴らだったけど、魔物だからな」
「君物知りなんだね!にしても魔物って、なんだかファンタジーだ。…もしかして僕は夢を見てるのかな?」
バチンッ!と勝己は出久の頬を叩いた。
「痛い!なにするの!?」
「何寝ぼけたこと言ってんだ。どう見ても起きてるだろバァカ。つーか、俺が言ったことちゃんと分かってんのか?
ここには他にも色んな魔物がいる。
お前みたいなノロマでどんくさそうなのはすぐにやられるから気を付けろ」
「うう、夢じゃないのか…。心配してくれてありがとうカツキくん」
「…そのカツキくんってのやめろや。なんか嫌だ。でもカツキって呼び捨てすんなよ。ムカつく」
「なんだよそれ。あ、じゃあかっちゃんは!どうかな?」
「はぁ!?んでちゃん付けなんだよ!俺は男だぞ!」
「知ってるよ。ちゃん付けのほうがなんかかわいいし言いやすいし!はい、決定」
「じゃあお前も、何もできないノロマの馬鹿だからデクな!」
「でく?」
「木偶の坊のデクだ」
「酷い!」
「じゃあこれからお前は俺のことカツキ様って呼べよ。デェク?」
「じゃあボクが君を様付けで呼んだらなんて呼んでくれるの?」
「バカとかだな。それかノロマ。アホ」
「全部悪口じゃないか!様付けない、かっちゃんって呼ぶ!」
「だったら俺もデクって呼ぶ。ちゃんと返事しろよ!」
「えー、やだよー」
「おい、デク」
「やだ」
「ちゃんと返事しろや。デェク?」
「もう、なんだよかっちゃん」
「はっ、けっきょく返事してんじゃん」
「な!君が呼べっていうからだろ!かっちゃんのばか!」
「はあ?誰がバカだ。バカデク!」
「もっと悪くなってるじゃないか!」
「お前が素直に返事すりゃいい話だろ」
「もーー!いいよデクで!」
「よし、そろそろ俺の村に着くぞ」
「もしかしてあれ?」
「そうだ。ババアかジジイにお前のいた場所を聞く。まずどっから来たか把握しねーとな」
「そうだね。ありがとうかっちゃん」
「しかたなくだ!帰えるついでだったし!」
「ふふ、君って口は悪いけど優しいんだね」
「はぁぁ!?ぶざけんなクソデク!デクのくせに!」
「なんで怒るんだよ!?ほめただけだろ!」
「おーカツキ、なんだよ彼女とデートか?」
「彼女じゃねーし、デートじゃねえ!拾った!」
「その年でナンパかよ。ませてんなぁ」
「んなわけないだろ色ボケ!女のケツばっか見てるてめぇと一緒にすんなわ! 」
「あはは、カツキおかえり、かわいい彼女と一緒だなあ」
「彼女じゃねえ!」
「あの、かっちゃんとはさっき会ったばかりで、そんなんじゃないですよ!本人も嫌がってますし。かっちゃんと彼女だなんて、ありえませんから!」
「……。」
「カツキがんばれー」
「うるせえッ!!!」
「カツキ!あんたどこいってたの?お使い頼もうと思ったのに呼んでもいないしさー!」
「おいババア、俺をパシリにすんじゃねぇ!」
「だれがババアだ、こら。お母さんでしょ。それかお母様と呼びな」
(あ、この人。かっちゃんのお母さんだ)
続く!
1/1ページ