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金カム/月島軍曹夢/甘/背高夢主
2019/03/31 01:49金カム
「月島軍曹ぉ」
頭上から聞こえる気の抜けた声、それが聞こえたと同時に被っていた軍帽が取られ、頭へ衝撃が来た、痛くもなんともないが多少男の意地というモノが傷付いた気がする
「お勤めご苦労様です」
「……またか、毎度毎度何が楽しいんだ、人の頭に顎乗せて」
ニタニタと馬鹿にした笑みでもしているのだろう、笑い声混じりに労わられても不快感が増すだけだ
何故そんなにも人の頭に顎を乗せてくるのか問いただしても一向に答える様子はないのがまた面倒くさい
「月島軍曹が一番乗せやすいんですもん、この間二階堂にやったらブツブツ文句ばかり耳に向かって呟くし……」
「何やってるんだ、仕事しろ」
「してますよぉ」
つまらなさそうに以前二階堂にも同じ事をやったと言うが正直俺にはどうでもいい事だった、人様の頭の上で不貞腐れるなんて意味不明な奴だと思いながら仕事をしろと声をかけると焦った様に返事をしてきた
手に持っていた資料の下で、焦った様に動く女性らしい細い手、思わず笑いそうになったがここはグッと堪える事にした
「と言うか現についさっきしてきました、仕事」
先程まで焦った様に忙しく動いていた手が急にピタリと止まり頭上から悲しそうな声が聞こえた後、後ろの人物の歩みも止まった、今のうちに抜け出そうとしたがなにやら不穏な空気を感じて動けないでいた、それと同時にコイツの主な仕事はなんだったか思い出した
裏切り者の粛清、潜入捜査やスパイが潜んでないかの調査がコイツの主な仕事だった
「やっぱり、慣れないですね、裏切り者とは言えかつての仲間を粛清するのは」
心做しかそう言う声が少し震えている様に聞こえた、思わず俺の腹部あたりで組まれた細い手を眺めた、この手はついさっきまで血塗ろになっていたのだろうかと考えてしまう
「苦しんだか?」
「いいえ、生憎私銃の使い方が上手いんで、何を思う暇もなくあの世へ逝ったと思いますよ」
褒めてくださいよと付け足すその声は、まるで転けた後泣かなかった事を褒めてと母親に言う子供のようだった、思わず彼女の細い手を覆う様に掴んだ、驚いたのか微かにビクつく彼女の手
「よくやったな、ご苦労」
「つ、月島軍曹?」
「なんだ、褒めろと言ったのはお前だろう」
目を瞑って心から労りの言葉を言うと予想外だったのか慌てる彼女に笑いながらそう言った、思わず固まって何も言わなくなったと思いきや頭に水が当たった様な感覚がした
ここは室内、ましてや外は晴れだ、雨なんかではないのはすぐに分かった、原因は先程までヘラヘラしていた上司の頭に顎を乗せる無礼な部下だ
「なんで泣いているんだ」
「だって、予想外で」
「失礼な奴だ、俺はちゃんと部下を労るぞ」
「はい、ありがとうございます」
何故泣いているのか問うと涙声と共に困った様に笑う声が聞こえた、そんなにも俺は部下を雑に扱う奴だと思われていたのかと少し残念に思ったが、涙声混じりに言われた部下のお礼の言葉に思わず笑ってしまった
泣いたり笑ったり忙しい奴だと思いながら頭上の泣き虫が泣き止むまで歩みを止めた、なかなか泣き止まず、頭上から肩へ移動したが腹部あたりで組まれている手は移動しなかった
軍服の肩の部分だけ濡れてシミになっているだろう、鶴見中尉殿や別の兵士達に聞かれたらなんて答えようかと考えながら、また彼女の細い手を覆う様に掴んだ
「本当に、よくやった」
聞こえるか聞こえないかの声で思わずそう呟いた
頭上から聞こえる気の抜けた声、それが聞こえたと同時に被っていた軍帽が取られ、頭へ衝撃が来た、痛くもなんともないが多少男の意地というモノが傷付いた気がする
「お勤めご苦労様です」
「……またか、毎度毎度何が楽しいんだ、人の頭に顎乗せて」
ニタニタと馬鹿にした笑みでもしているのだろう、笑い声混じりに労わられても不快感が増すだけだ
何故そんなにも人の頭に顎を乗せてくるのか問いただしても一向に答える様子はないのがまた面倒くさい
「月島軍曹が一番乗せやすいんですもん、この間二階堂にやったらブツブツ文句ばかり耳に向かって呟くし……」
「何やってるんだ、仕事しろ」
「してますよぉ」
つまらなさそうに以前二階堂にも同じ事をやったと言うが正直俺にはどうでもいい事だった、人様の頭の上で不貞腐れるなんて意味不明な奴だと思いながら仕事をしろと声をかけると焦った様に返事をしてきた
手に持っていた資料の下で、焦った様に動く女性らしい細い手、思わず笑いそうになったがここはグッと堪える事にした
「と言うか現についさっきしてきました、仕事」
先程まで焦った様に忙しく動いていた手が急にピタリと止まり頭上から悲しそうな声が聞こえた後、後ろの人物の歩みも止まった、今のうちに抜け出そうとしたがなにやら不穏な空気を感じて動けないでいた、それと同時にコイツの主な仕事はなんだったか思い出した
裏切り者の粛清、潜入捜査やスパイが潜んでないかの調査がコイツの主な仕事だった
「やっぱり、慣れないですね、裏切り者とは言えかつての仲間を粛清するのは」
心做しかそう言う声が少し震えている様に聞こえた、思わず俺の腹部あたりで組まれた細い手を眺めた、この手はついさっきまで血塗ろになっていたのだろうかと考えてしまう
「苦しんだか?」
「いいえ、生憎私銃の使い方が上手いんで、何を思う暇もなくあの世へ逝ったと思いますよ」
褒めてくださいよと付け足すその声は、まるで転けた後泣かなかった事を褒めてと母親に言う子供のようだった、思わず彼女の細い手を覆う様に掴んだ、驚いたのか微かにビクつく彼女の手
「よくやったな、ご苦労」
「つ、月島軍曹?」
「なんだ、褒めろと言ったのはお前だろう」
目を瞑って心から労りの言葉を言うと予想外だったのか慌てる彼女に笑いながらそう言った、思わず固まって何も言わなくなったと思いきや頭に水が当たった様な感覚がした
ここは室内、ましてや外は晴れだ、雨なんかではないのはすぐに分かった、原因は先程までヘラヘラしていた上司の頭に顎を乗せる無礼な部下だ
「なんで泣いているんだ」
「だって、予想外で」
「失礼な奴だ、俺はちゃんと部下を労るぞ」
「はい、ありがとうございます」
何故泣いているのか問うと涙声と共に困った様に笑う声が聞こえた、そんなにも俺は部下を雑に扱う奴だと思われていたのかと少し残念に思ったが、涙声混じりに言われた部下のお礼の言葉に思わず笑ってしまった
泣いたり笑ったり忙しい奴だと思いながら頭上の泣き虫が泣き止むまで歩みを止めた、なかなか泣き止まず、頭上から肩へ移動したが腹部あたりで組まれている手は移動しなかった
軍服の肩の部分だけ濡れてシミになっているだろう、鶴見中尉殿や別の兵士達に聞かれたらなんて答えようかと考えながら、また彼女の細い手を覆う様に掴んだ
「本当に、よくやった」
聞こえるか聞こえないかの声で思わずそう呟いた