荒木荘短編集
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「古本屋で漫画を買って来い」
そう吉良に言われ、働いてない組でジャンケンをした
そして、私はあろう事か負けた
「……」
だからこうして来たくもなかった古本屋で漫画を探している
あのカーズの自慢げな顔が腹立つ……ッ!!そもそもこの間電気屋行ったんだから、古本屋ぐらいはカーズが行けばいいのに!!それかディアボロ!!
そう思いながら店内をグルリと回る
「ん?ピンクダークの少年……?なんじゃそりゃ」
ふと、目に止まった漫画を手に取り、パラパラとページを捲る、てか、ピンクダークってなんだ
そう思いながら二、三ページ目を通し、棚に戻す
「……グロテスク過ぎない?」
そう呟き、作者の名前を見ると
「岸辺……ろ?……?」
きしべは読めるがその後ろの名前の露伴と言う文字が読めない
どういう読みか分からず、もう一度漫画を手に取り、作者のコメント欄を見ると四文字の漢字の上に読み仮名がついている
「きしべ、ろはん……」
露伴と書いて"ろはん"……なかなか覚えにくいペンネームだな……
そう思いながらもう一度棚に戻す、これからは"岸辺露伴"と言う作者に注意しよう
そう心に決めて私は別の漫画を探した
結局、私は王道物を十冊ほど購入して店を出た、漫画十冊を片手で持ち、なお日傘をさす私は傍から見たら怪力の持ち主だと思われるだろう
やっぱり目立つからディアボロかカーズに行かせた方が良かったんじゃないの?
まだジャンケンの事を引きずっていると、目の前に私より少し高めの変な格好をした男が立っていた
「……?」
少し疑問に思いながらもその人を避けるように右にズレて通ろうとすると
スッとその人も右にズレた
「……」
私は無言で左にズレると、またそいつも同じように左にズレる
少し苛立ち、反復横跳びの要領で左右に高速移動した、しかしそいつは私に負けじと高速移動する
傍から見たら変出者だろうが、負けられない戦いがここにありそうな気がする
そして遂に私はそいつの隙を突き、左側にズレた
勝利を確信した瞬間、そいつは普通に私の肩を掴んだ
「君、ちょっといいかな」
初めて声をかけられ、私は最初からそうすれば良かったのに…と思いながら
「いや、すいません、無理です」
と、言い、全力疾走した、これで完全に巻いたと思ったが
「待ってくれぇぇぇぇ!!」
「ぎゃあああああああ!!」
全力疾走をした私の後を砂煙を巻き上げながら追い掛けてくる
そして、あっという間に私の隣に並び
「僕は君の人間離れした身体能力にリアリティを感じた!!詳しく話を聞きたい!!」
と、訳が分らない事を言ってきた
「きぃぃやぁぁぁぁ!!」
変な格好、変な髪留め、変な言葉、全てに恐怖を感じ、私は急ブレーキを掛けた
しかし、そいつは止まることを分かっていたように同じように急ブレーキを掛けた
「……け……警察呼びますよ」
「なんだとッ!!僕のどこが警察を呼ぶ必要がある!!」
「全てに」
思わず吉良から借りた非常用の携帯を取り出し、そう言うとそいつは慌てた様子で言ってきた
そして、私の言葉にふぅ……と、溜め息をつくと
「単刀直入に言おう、君、さっき古本屋で漫画を読んでいただろう、そしてピンクダークの少年という漫画を見て普通に棚に戻したよなッ!!」
と、何故か偉そうに言ってきた、あまりに拍子抜けの言葉に返事も出来ないでいると
「そこでだ……あの漫画のどこがいけないのか聞かせてもらおう、あと身体能力について少々……」
と、どこから取り出したのかメモ帳を取り出し、そう聞いてきたそいつに私は
「その前に誰?」
と、聞いたするとそいつは小さく溜め息をつき
「ここまで来ても分からないか……」
と、呟いた、ますます疑問に思い、最早後はコールボタンを押すだけで警察に掛かるように設定した携帯を用意した
すると、そいつは口角を上げて
「僕の名前は岸辺露伴、漫画家だ」
と、言い切った、岸辺露伴……どこかで聞いた名前……
「岸辺……露伴……?あ、さっきのピンクブルー?の少年の……」
「ピンクダークの少年だ」
「そうそれ……の、作者の名前だ」
「そうだ」
「へぇ……同じ名前にするほどのファンがいるのか」
「ファンじゃない、本人だ」
「へぇ……本人か……」
「ああ」
「本人?」
「ああ」
思わず二回も聞いてしまったが、どうやらこのザ・変出者はさっきのグロテスクの漫画の作者のようだ
思わぬカミングアウトにビックリしていると
「で、さっきも言った通り、あの漫画のどこがいけないのか聞かせてもらおう、僕はさっきの君の嫌そうな顔にイラついた」
と、ほとんど私の事を貶してきた岸辺露伴、いちいち癪に障る事を言ってくるな……
そう思いながらも、答えないと返してもらえなさそうなので
「グロテスクなところ」
と、一言言った、すると目を見開いて
「何を言う!!あのリアリティさが大切なんだッ!!」
と、反論された、めんどくさくなり私は岸辺露伴の言葉を適当に返して
「じゃ、私はこれで」
と、言い、荒木荘に向かって歩いた
だが岸辺露伴は着いてくる、ジャンケンの事もあってかやたら苛立ち、私は振り向いた
「なんなんですかもう!!」
「いや、さっきも言った通り……君の身体能力のリアリティを求めて……取材をだな……」
「マジ警察呼びますよ」
「それは困るな……あ、そうだ……名前を教えろ」
「なんでそうなるの…てか、なんで命令形……」
「いいから早く言えよ」
「…………ジルナ」
「ふむ、ジルナか覚えておこう」
「忘れて、お願いだから……!!」
何故か終始偉そうに言ってくる岸辺露伴を殺したくなる衝動に駆られるが、我慢して私は岸辺露伴に帰れと強く言った
すると、渋々逆方向に向かって歩いて行った岸辺露伴
ようやく苛立ちが収まり、私は荒木荘に向かってまた歩いた
(一体何者だったんだ…岸辺露伴)
(ジルナか……なかなかいいネタを見つけたな……)
((…なんか寒気が…)……ただいま~)
(遅かったな!!ジルナ)
(いや、なんか変出者に絡まれて……)
(殺せばよかっただろ)
(WRYYY!!!?このディエゴの娘に絡むとは……誰にやられた!!教えろジルナ!!)
(うん、ここにもいるわ、私の休息地って何処だろう……)