荒木荘短編集
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お手々
土曜日と日曜日はいい物だと吉良がよく言う、なんでも吉良みたいに働いている人達は月曜日から金曜日まで働いているご褒美に土曜日と日曜日に休みを貰えるそうだ
私はバイトなので不定期に休みがある、サラリーマンとバイトの違いはそこらしい、ヴァレンタインから言わせれば大統領は休みなんてないそうだ
そんなサラリーマンの吉良が喜ぶ土曜日がやってきた日、私は朝から散々な事ばかりだった
久しぶりに荒木荘に帰ってきたディエゴに締め起こされ眠い目を擦って歩いていたらヴァレンタインのポヨポヨお腹にぶつかりバウンドした拍子に柱の角にぶつかったのだ
「WRY……」
「……流石に血塗れの吸血鬼は怒れないな」
バタバタとうるさいと吉良に怒鳴られたが角に当たったせいで頭から血を吹き出している私を見て説教はやめたらしい
そもそもヴァレンタインがポヨポヨお腹でいるのが悪いのだ、ヴァレンタインがダイエット成功した時のお腹にしていれば私は筋肉の壁にぶち当たるだけで済んだのだ
ディエゴが心配そうに私を見つめる中、吉良は頭を押さえながら溜め息をつき始めた、むしろ私が溜め息をつきたい
「全く……ストレスで胃に穴があきそうだ」
なんとも怖い単語を呟く吉良の手を見て私は少し違和感を感じた、だがすぐに理由が判明した
吉良の爪が伸びているのだ、確か爪が異様に伸びる時期は吉良は新しい"彼女"を作る時期だ、きっとこれから買い物に行くついでに彼女を作ってくるのだろう
吉良は彼女を体から切る前に女の人に爪を切らせると言っていたがそれには流石に引いている、女の人もかわいそうなのでどうにかならないかと前から思っていたが、これはいい機会かもしれない
「吉良、お詫びに私が爪切ってあげようか?」
「……なに?」
「バタバタ暴れたお詫び」
「……珍しい事もあるな」
吉良にそう言うと少しだけ不思議そうな顔をして、渋々と言っていい程の足取りで吉良は椅子に座り始めた、そんな吉良に私はいつも吉良が使っているボーリングの爪切りを手に持って、吉良の向かいに座った
吉良の手を掴み、慣れてない人の爪を切ると言う動作を行う、親指から小指へと言う順番で切って行くがやはり慣れてないので体を傾けながら切る事になってしまった
私達がそんな事をしている間、皆は気楽にテレビを見ていた、事の発端のディエゴも呑気にあぐらをかきながら見ている始末だ、思わず溜め息をついた時吉良の様子がおかしい事に気が付いた
「吉良大丈夫?もしかして深爪しちゃった?」
「……い……いや……なんでもない……続けてくれジルナ」
「……?うん?」
吉良の体温がなんとなく高くなって息も絶え絶えになっているが大丈夫だろうか、なんて思いながら吉良が早く切れと急かすので爪を切る事に集中する
パチンパチンと軽い音が響く中、やたらと吉良の息が荒いのが分かる、いよいよ体調でも悪いのだろうかと声をかけようとした時、小さな爆発音と軽い痛みが走った
痛みが走った部分を見てみると、なんと私の右手がゴッソリなくなっているではないか、掌と手首の少しがなくなって若干血が流れている
それだけで何が起こったか大体の検討がついた、自分の手を見た後吉良の方を見るととても嬉しそうに頬を赤らめて息を吐いている
「フゥウー……」
「うん、想像はしてた」
「フフフ……素敵な手だな」
「一応感覚はあるんだけど、しばらくはこうしておいた方がいいのかな」
なんと言うか吉良の発作が出たとでも言った方がいいだろうか、元々私の手は吉良のストライクゾーンには入っていた事は知っていたがここまでする程とは思っていなかった
吸血鬼だからか若干右手の感覚は残っているが吉良のためを思ってそのままにしておく事にした、爪切りはもういいのか聞いてみたが吉良は絶賛手首堪能中なので話を聞いてくれない
爆風で床に落ちた爪切りを左手で拾い、私は後でちゃんと返すように言ってから皆の所に向かった、ニュースでは丁度サラリーマンのストレスについて報道していた
(ん?ジルナちゃん右手はどうしたんですか?)
(ああ、これ?吉良に取られたんだよドッピオ)
(ええ!?大丈夫ですか!?)
(まあね、吸血鬼だし、大丈夫だから恐竜化しないでディエゴ)
(フフフ……おや、ジュースで汚れてしまったね、舐めとってあげよう)
(ヒッッ!!!?吉良、舐めないで!!感覚あるから!!)
((吉良さん……変態だ))
土曜日と日曜日はいい物だと吉良がよく言う、なんでも吉良みたいに働いている人達は月曜日から金曜日まで働いているご褒美に土曜日と日曜日に休みを貰えるそうだ
私はバイトなので不定期に休みがある、サラリーマンとバイトの違いはそこらしい、ヴァレンタインから言わせれば大統領は休みなんてないそうだ
そんなサラリーマンの吉良が喜ぶ土曜日がやってきた日、私は朝から散々な事ばかりだった
久しぶりに荒木荘に帰ってきたディエゴに締め起こされ眠い目を擦って歩いていたらヴァレンタインのポヨポヨお腹にぶつかりバウンドした拍子に柱の角にぶつかったのだ
「WRY……」
「……流石に血塗れの吸血鬼は怒れないな」
バタバタとうるさいと吉良に怒鳴られたが角に当たったせいで頭から血を吹き出している私を見て説教はやめたらしい
そもそもヴァレンタインがポヨポヨお腹でいるのが悪いのだ、ヴァレンタインがダイエット成功した時のお腹にしていれば私は筋肉の壁にぶち当たるだけで済んだのだ
ディエゴが心配そうに私を見つめる中、吉良は頭を押さえながら溜め息をつき始めた、むしろ私が溜め息をつきたい
「全く……ストレスで胃に穴があきそうだ」
なんとも怖い単語を呟く吉良の手を見て私は少し違和感を感じた、だがすぐに理由が判明した
吉良の爪が伸びているのだ、確か爪が異様に伸びる時期は吉良は新しい"彼女"を作る時期だ、きっとこれから買い物に行くついでに彼女を作ってくるのだろう
吉良は彼女を体から切る前に女の人に爪を切らせると言っていたがそれには流石に引いている、女の人もかわいそうなのでどうにかならないかと前から思っていたが、これはいい機会かもしれない
「吉良、お詫びに私が爪切ってあげようか?」
「……なに?」
「バタバタ暴れたお詫び」
「……珍しい事もあるな」
吉良にそう言うと少しだけ不思議そうな顔をして、渋々と言っていい程の足取りで吉良は椅子に座り始めた、そんな吉良に私はいつも吉良が使っているボーリングの爪切りを手に持って、吉良の向かいに座った
吉良の手を掴み、慣れてない人の爪を切ると言う動作を行う、親指から小指へと言う順番で切って行くがやはり慣れてないので体を傾けながら切る事になってしまった
私達がそんな事をしている間、皆は気楽にテレビを見ていた、事の発端のディエゴも呑気にあぐらをかきながら見ている始末だ、思わず溜め息をついた時吉良の様子がおかしい事に気が付いた
「吉良大丈夫?もしかして深爪しちゃった?」
「……い……いや……なんでもない……続けてくれジルナ」
「……?うん?」
吉良の体温がなんとなく高くなって息も絶え絶えになっているが大丈夫だろうか、なんて思いながら吉良が早く切れと急かすので爪を切る事に集中する
パチンパチンと軽い音が響く中、やたらと吉良の息が荒いのが分かる、いよいよ体調でも悪いのだろうかと声をかけようとした時、小さな爆発音と軽い痛みが走った
痛みが走った部分を見てみると、なんと私の右手がゴッソリなくなっているではないか、掌と手首の少しがなくなって若干血が流れている
それだけで何が起こったか大体の検討がついた、自分の手を見た後吉良の方を見るととても嬉しそうに頬を赤らめて息を吐いている
「フゥウー……」
「うん、想像はしてた」
「フフフ……素敵な手だな」
「一応感覚はあるんだけど、しばらくはこうしておいた方がいいのかな」
なんと言うか吉良の発作が出たとでも言った方がいいだろうか、元々私の手は吉良のストライクゾーンには入っていた事は知っていたがここまでする程とは思っていなかった
吸血鬼だからか若干右手の感覚は残っているが吉良のためを思ってそのままにしておく事にした、爪切りはもういいのか聞いてみたが吉良は絶賛手首堪能中なので話を聞いてくれない
爆風で床に落ちた爪切りを左手で拾い、私は後でちゃんと返すように言ってから皆の所に向かった、ニュースでは丁度サラリーマンのストレスについて報道していた
(ん?ジルナちゃん右手はどうしたんですか?)
(ああ、これ?吉良に取られたんだよドッピオ)
(ええ!?大丈夫ですか!?)
(まあね、吸血鬼だし、大丈夫だから恐竜化しないでディエゴ)
(フフフ……おや、ジュースで汚れてしまったね、舐めとってあげよう)
(ヒッッ!!!?吉良、舐めないで!!感覚あるから!!)
((吉良さん……変態だ))
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