荒木荘短編集
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シーザー先輩の誤解も解け、私達はまた通常の勤務に戻り、仕事を終わらせた
こう見てみると私が監視目的で居るような気がしない、随分とこの状況になれてきた気がする
荒木荘に向かって歩きながら私はクスリと少し自嘲的な笑いを零してしまった
「ただいまぁ」
なまった声で玄関を開けながらただいまと言うと、返事はお父さんだけだった、どうやら今日はカーズは寝る事にしたらしい
靴を脱ぎ、お父さんの方に駆け寄ると、お父さんは座ったまま私の方を見上げてなんだか少し楽しそうに口元を緩めた
「どうしたの?」
「……いや、ジルナが少し楽しそうなのでな……思わず」
「……まあ、今日はいろいろあったしね……」
お父さんの言葉に少し恥ずかしくなってしまったが、今日の事を思い出し、溜め息混じりにお父さんに言った
お父さんはそんな私を見て一度フッと笑ってからテレビの電源を付けた、なんだかこういう時のお父さんは全てを見透かしているようでなんだか嫌な気分だ
そんな事を思いながら私はあらかじめ吉良がストックしている麦茶をコップに注ぐ
「ねぇ、お父さん」
「なんだ……?」
「まだ私が波紋使いのいるコンビニで働いている事に怒ってる?」
「……正直な所怒っている……が、ジルナに何もないならそれでいい」
麦茶を飲みながらお父さんに今まで聞きたかった事を聞くと、お父さんは少しこちらに身体を向けたが結局テレビから視線は離さずにそう言った
お父さんらしい返事が聞けて私は思わず笑ってしまった、そんなお父さんに小声で礼を言ってまた麦茶を飲んだ
なんとなく、こんな風に話すのは久しぶりな気がする、確かエジプトにいた時もあまり話せなかった思い出がある
「……あれ?……なんでエジプトから荒木荘に来たんだっけ……?」
ふと、そう思ったがそのうち、どうでも良くなって私はまた一口麦茶を飲んだ、なんとなくモヤモヤするが多分忘れるならどうでもいい事なのだろう
昔のお父さんは確か誰かと戦っていた気がする、そのせいで私は近寄り難い存在として認識したのだが、いざ戦いが終わるとお父さんはまるで今までの事を取り戻すように私に過保護になってしまった
お父さんがどんなのと戦って、勝敗はどうなったのか全く覚えていないが、急に優しくなったのは覚えている
「ジルナ、もう寝なくていいのか?」
そう聞いてくるお父さんに、吸血鬼なんだけど夜に寝てしまおうと思い、お父さんの言葉に甘えて私はお風呂に入ってから布団に潜り込んだ
まだなんとなく忘れている事がある気がするが、昔の事だ、思い出す必要はないだろうと思い私はそのまま意識を手放した
(なんだったっけ……確かお父さんとエジプトで暮らして、なんで荒木荘に来たんだっけなぁ……それでお父さんと敵の勝敗って……うーん……)
(ジルナは昨日から何を悩んでいるんだ……?)
(なにか変なもんでも食べたんじゃないのか?)
(そんな事あるわけ無いでしょ、死ねよディアボロ!!)
(理不尽ッ!!)