荒木荘短編集
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パチパチと嫌な音が私の頭上で聞こえる、その音を聞く度にゾクゾクと嫌な感じが背中を走った、しかしその不愉快な音はスッと消えた、痛みも何もない
私は思わず頭を上げて目の前のシーザー先輩を見上げた、シーザー先輩は眉間にシワを寄せて少し苦しそうに顔をしかめていた
「……せ…ん………先輩?」
「…………ジルナ、少しここで休憩していてくれ、俺がレジをやる」
シーザー先輩は私にそう言い残して部屋を出て行った
シーザー先輩が部屋を出て行って、私は今になって死の危険が迫っていたと言う事が分かり、思わず泣いてしまった
正直言うと怖かった、シーザー先輩の表情が動揺から怒りに変わっていく様子も波紋の呼吸をし始めたのも全てがなんだか怖かった
一人で泣いていると、裏口の扉が開く音がしたので慌てて顔を上げた、扉の向こう側に見えたのはいつかのジョースターさんだった
「やあ、シーザーに呼ばれたんだけど……って……どうしたんだい!?」
「あ…ジョースター……さん……」
ジョースターさんは私の顔を見ると焦ったように近付いて来て、目線を合わせるようにしゃがんで私に話しかけてきた
そんなジョースターさんの言葉に私は何故かまた涙が溢れてしまい、ジョースターさんをより困らせてしまった
「…………落ち着いたかい?」
「は……はい、すいません……」
「いや大丈夫だよ、泣いている子をほっとけないし……」
しばらくの間ジョースターさんの胸を借りて泣いた私は、ペットボトルのお茶をジョースターさんから受け取りながら謝った、だがジョースターさんは笑って許してくれた
そんなジョースターさんの優しさに思わず紳士だと叫びたくなるが今叫んだら鼻声になるからやめておく、ジョースターさんは私が落ち着いたのを確認してから何があったのかと聞いてきた
「……いや……その……」
「大丈夫、怒ったりしないから」
「…………」
優しくそう言われると言うしかなくなってしまい、私はポツポツとシーザー先輩との一件を話すことにした
私がある能力を使って血を吸おうとした事、それがシーザー先輩に見つかってしまった事、そしてシーザー先輩に波紋を当てられそうになった事……
ジョースターさんは私のスタンドの事を言っても信じてくれたように真っ直ぐな目で見ていてくれた、それだけでも安心出来るのにジョースターさんは
「……怖かったんだろうね……吸血鬼とは言えまだ大人になる前だもんね」
と言いながら、優しく私の頭を撫でてくれた、ジョースターさんは本当に優しい人だそれに一緒にいると安心出来る
私はそんなジョースターさんの暖かい掌から伝わる優しさを離さないようにするためにギュッと目を瞑った
人の生命を吸う私だけれどもこの暖かい手は好きだ、吉良やディエゴ、プッチさんとは違う暖かさがジョースターさんにはあると思った
しばらくジョースターさんに頭を撫でられていると唐突にジョースターさんが立ち上がった
そしてそのまま何故か控え室の扉を開いた、どこかに行くのかと思っていたら何か重い物……人が倒れる音がした
「盗み聞きかいシーザー?」
「……ジョースターさん……」
ジョースターさんが開けた扉からシーザー先輩が出てきたのだ、しかも少し転けながら、話からして盗み聞きをしていたようだ
驚いている私をよそにジョースターさんはシーザー先輩になにか言ってから部屋を出て行ってしまった、必然私はシーザー先輩と二人きりになってしまう、変な意味ではない断じて
状況とは逆の呑気な考えをしているとシーザー先輩は少し気まずそうに頭を掻きながら
「……ジルナには悪い事をしたと思っている……なあ、本当にあの血がスタンド能力?だと言う事を証明してくれないか?」
と言ってきた、そんなシーザー先輩の言葉に私は少し口元を緩ませて頷いてからライを呼び出した、しかしやはりシーザー先輩には見えないらしくどこか虚空を見つめている
そんなシーザー先輩を見ながら私はライに花束を出してもらう、するとシーザー先輩は驚いたように目を見開いた
「こうして血も出したんですよ、信じられない事かもしれないですけどね……」
「……いや、波紋や吸血鬼もいるんだ、スタンドとかいう物もあるのだろう」
「信じてくれるんですか?」
「ああ、可愛い後輩の言う事だしな」
「それって口説いてるんですか?」
「そうかも知れないしそうじゃないかもな」
シーザー先輩は私から花束を手に取って、まじまじと見つめながらそう言ってきた、しばらくシーザー先輩とふざけあっているとレジに誰も立っていない事に気が付き慌てて店内に戻った
戻っている最中、やはりシーザー先輩には笑顔が似合うなんて思いながら仲が悪くならなくてよかったと密かに思った
(それにしてもシーザー先輩、波紋強いですね)
(まあな、柱の男との戦いのため沢山訓練したからな)
(柱の男……?)
(ああ、確かアイツらは吸血鬼も食料にする奴らだった気が……)
(…………え……(それって……カーズ?))
(心配するな、もしここで柱の男が来ても俺やジョジョが追い払うからな)
(あ…ありがとうございます……(言えない…!!帰る家にソイツが居るなんて!!))