荒木荘短編集
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発作が起きたが、カーズの言う通り、人間にしがみついていたら治まった
問題は本活動時間だったが、ドッピオに頼み込んで、オールしてもらった
そして、世が明けてドッピオが睡眠を摂りに部屋に戻ったあと、私も軽く寝る事にした
実は今日の夜、またあのコンビニのバイトがあるのだ波紋戦士に囲まれた、ある意味危険なバイト……
「んー……」
念の為、お父さんが取ってきた血を飲み、荒木荘を出る
出る時は誰もいなくてちょっとだけ寂しい気もしたが、別にうるさいのでいい
もう太陽が沈み、薄暗くなった道をアクビをしながら歩く
パタパタとダルそうな私の足音が響くが、周りには誰もいない
大通りを避けて歩いているので人とは全く会わずコンビニについた
そのまま更衣室に入ろうとしたが私はすぐさま開けていたドアを閉じた
「すいませェェん!!まさか着替えているとは思っていなかったのでェェ!!」
ドアを閉じ、更衣室に向かってお辞儀をしながらそう叫ぶ
傍から見たらただの変人だが、私はある理由があってそうした、ありのまま今起こった事を話そう
誰もいないと思ってドアを全開に開けたら、中にはラッキースケベとも言わんばかりに、リサリサさんとスージーQさんが上着を脱いだ時だったのだ
「……大丈夫よジルナ、と言うか女同士だから気にする事はないわ」
「そうですよぉ、照れる事なんてないですよ」
一人でアワアワとパニックになっていると、扉の向こうから二人の声がした
その言葉に甘えて、もう一度ゆっくりと扉を開けて、更衣室に入る
「照れちゃうんですねぇ、かわいい」
「いや、そうじゃなくて……申し訳なくて……」
「……貴方、本当に人間臭いわね」
スージーQさんに頭を撫でてもらいながら更衣室に入り、着替え始める
リサリサさんがボソリと何かを呟いたが、申し訳ない気持ちで一杯の私には全く耳に入ってこなかった
そして、少し時間を掛けて着替えてから、私とスージーQさんはレジに立った
どうやらスージーQさんはジョセフ先輩やシーザー先輩より前から働いているらしい、ちなみにこのコンビニの店長はリサリサさんだと聞いた
リサリサさんは一体何歳なのか気になるところだが、聞いたら波紋チョップが飛んできそうなので黙っておく
そんな事を考えながら、チラホラと来る客を捌いていく
「ジルナ、スージーQ、ちょっと休みましょう」
何人かのグループがコンビニから出て行った時、リサリサさんがそう言いながら奥から出てきた
私とスージーQさんは店番をメッシーナさんとロギンズさんに頼み、奥に向かった
そう言えばあの二人はいつもここにいるのだが、もしかすると住んでいるのではないか?
思わずそう思ってしまったが、まずそれはないだろう、多分!!
「お疲れ様、ジルナはまた夜頑張って、スージーQ、貴方はもう帰っていいわ」
「分かりました!!」
控え室に入ると、リサリサさんが私とスージーQさんにそう言った、その言葉に元気に返事をして、スージーQさんは私に手を振って帰って行った
戸惑いながらも手を振り返した時、リサリサさんが、何かを机の上に置いた、それに続いて甘い匂いが鼻腔を突く
「ジルナ、お疲れ様」
「……あの、リサリサさん……これは」
「パフェよ」
「……何故!?」
ゆっくりと匂いのする方を向くと、もう一度、リサリサさんはお疲れ様と言った、それよりも私が驚いたのは机の上にポツンと置かれたパフェだ
何故そこに置くのか全くの疑問だったが、リサリサさんは私にスプーンを渡してきた
「疲れているでしょうから、パフェでも食べなさい」
また、凛とした声でそう言ってきたリサリサさんはなんだか記憶に全くないお母さんを思い出してしまう程、暖かかった
思わずホロリと涙を流しそうになるが、高速で瞬きをして堪えて、会釈してから椅子に座り、パフェを口に運ぶ
「……美味い……」
「そう、よかったわ」
思わず口に出てしまった感想を、リサリサさんは微笑みながら返した
そして、その後夢中でパフェを頬張る私の頭をゆっくりと撫でて、リサリサさんは見守っていた
お母さんがもしいたらこんな感じなのだろうと思いながら、私はパフェを食べ続けた
それからと言うもの、パフェのお陰か、休憩を一切取らずに私は客を捌いていった
途中、トマトジュースを飲んでいると、メッシーナさんとロギンズさんに血を飲んでいると勘違いされたりしたが、私は無事バイトを終わらせた
「ジルナ」
「はい?」
帰り際、リサリサさんに呼ばれ、慌てて振り返ると、リサリサさんは私に茶色い封筒を渡してきた
何かと首を傾けていると、リサリサさんはニコやかに
「今月分の貴方の給料です」
と、言った、その給料と言う言葉に私は、目を見開いた
私の……人生で初めての給料……!!
丁寧に両手で受け取ると、働いた分が、重さとなって実感できた
呆然としている私にリサリサさんはまた、ゆっくりと頭を撫でて
「これからも頑張るのですよ」
と、言った、その言葉に私は元気に返事をして、コンビニをあとにした
帰り道、私は念の為持ってきた日傘をクルクル回して、帰った
多分、通行の邪魔だっただろう……だが、私の気分はそれ程浮かれていた
(……(ジルナを見てるとなんだか、娘がいたらこんな気持ちなんだろうと思うわ))
(初給料……初給料だって……ヘヘッ)
(なあ、プッチ、なんでジルナはあんなにヘラヘラしているんだ?)
(……多分、いい事があったんじゃあないのかな……ディエゴ……)
(ディアボロー!!血飲ませて!!)
(俺のそばに近寄るなァーーーッ!!)
(……絶対いい事あったな)
(私もそう思うよ……でも、本当にDIOに似てるなぁ……)