荒木荘短編集
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吉良の書類を届けるため、太陽が照りつける道を日傘をさして、長袖で歩く
吸血鬼なので暑さとかは全く感じないが、道の奥に現れる陽炎、日光を浴びてキラキラ光る植物……
正しくいい天気!!と言う雰囲気が暑さを駆り立てる
「……なんでこんなことに……」
思わずそう呟いた、すれ違う人は私の格好を見て目を大きくしている
どうやら人通りの多い街に着いたようだ、少し歩くと吉良の就職先を見付け、私はそのまま自動ドアをくぐった
「いらっしゃいませ」
「あ、吉良吉影さんいますか?」
「えっと……アポはとってますか?」
「……あぽ?」
インフォメーションの女性に吉良の名前を言い、呼んでもらおうとしたら"あぽ"をとっているか聞かれた
聞いたことのない言葉に思わず目を白黒させてしまう
「……アポは……トリマシタ……」
「……本当でしょうか?」
「ウソデス」
「……」
嘘でもアポをとったと言うとすぐに見破られた
汗をかく私と苦笑いするインフォメーションの女性
しかし、インフォメーションの女性は私が持っている書類を見て
「あ……もしかして、吉良さんの忘れ物を届けに来たんですか?」
と、言ってきた、そうだ!!この手があった!!私は一応吉良の家族みたいなもの…アポなんていらないじゃないか!!
最高の方法を思い付き、私は高速で頷いた、するとインフォメーションの女性はにこやかに
「では、吉良さんをお呼びしますね」
と、言い、なにかのボタンを押して吉良を呼んだ、そして私には奥の方にあるソファーに座るように指示した
女性に従って、私はソファーに座りお茶を貰いながら吉良が来るのを待った
「あ、これ美味しい……吉良このお茶知ってるかな?」
そんな事を言っていると、エレベーターが開き、二、三人サラリーマンが出てきた
その中に吉良がいるのかもしれないので首を伸ばして確認するが吉良の姿はない
「なんだよもう……ノロマな吉良め……」
思わずそう呟いた時
「ノロマで悪かったな、私は最近体力をつけるため階段なんだよ」
と、少し怒ったような吉良の声が聞こえた
「あ、吉良」
「何の用だジルナ……私はあまり目立ちたくないんだ」
吉良は私を少し睨みそう言ってきた、そんな偉そうな吉良に私は書類を見せて
「これ、荒木荘に置きっぱなしだったよ、吉良さァァん?」
と、嫌味っぽく言った、すると吉良は一瞬目を見開いて、ゆっくりと書類を受け取った
そして本当に自分の書類か確認して、吉良は
「……忘れるとは……」
と、ショックを受けたように言った、私はそんな吉良の肩を半分冗談を込めてゆっくりと叩いた
吉良は私の顔と書類を見比べて、小さく溜め息をついて
「ありがとう、一応助かった」
と、言ってきた、滅多に聞かない吉良の感謝の言葉に思わず笑いながら
「どういたしまして」
と、答えて私は出口に向かって歩いた、吉良はそんな私を少し心配そうに見ていたが外に出たのを確認して戻って行った
任務を終えて若干気分が軽くなった感じになった
荒木荘に戻ろうと来た道を歩いていると
「ジルナさん?」
と、一度聞いたことがある声が後ろから聞こえた、ゆっくりと振り向くと
「あ、やっぱりジルナさん」
「……花、京院君」
「なんで今ゆっくり言ったんですか……」
「噛みそうだったから」
「……」
いつか話した花京院君が手を振りながら近付いてきた、花京院君の名字はいつも噛みそうになる
「散歩ですか?」
「あ、いやいや、ちょっと同居人に届け物を……ね?」
花京院君の言葉に手を振りながらそう言う、花京院君はそんな私の言葉に偉いですね、と子供に言うように言ってきた
私の方が多分年上なのに子供扱いされて少しイラッとしたが別に気にしない、そもそも実際の年齢が分からないからだ
「どうですか?お時間があればお茶でも」
花京院君は近くのカフェを指さしながらそう言ってきた
「奢ってくれる?」
「……コーヒー一杯ほどなら」
「じゃあ、付き合ってあげる」
「抜け目無いですね……」
花京院君が奢ってくれるのか聞くと困ったように答えたが、これが一般人のやり方だと吉良から教わった
そして私達は花京院君が奢る事でカフェに向かった
(ねぇ、花、京院君)
(その"花"で区切るのどうにかなりません?)
(……だって……花、京院って言いにくい)
(じゃあ典明でいいですよ)
(……それじゃなんかつまらない)
(……がんばって花京院って繋げて言ってください)
(花京、院)
(途中で区切らないで下さい!!)
((……中々弄り甲斐がある……))