銀魂
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私は万事屋の半従業員だ、半従業員と言うのは言わばパートやアルバイトと同じようなもので、どうしても人手が足りない依頼だったり、万事屋の三人がどこか遠出をする時の定春の世話や万事屋の掃除などをするヘルプのようなものだ
今日は神楽ちゃんが熱を出してしまい新八君が病院に連れて行く事になったので、依頼を私と銀さんがやる事になったのだ、本来なら神楽ちゃんを病院に送るのは私がやった方がいいのだが新八君も軽く熱っぽいと言っていたので新八君の診察も兼ねてと言う事になったのだ
従業員が二人も体調を崩したと言うのに社長と言う立場にいる銀さんはただ今呑気に寝ている、依頼は夕方なので寝かせていてもいいのだが後でバタバタとするもの嫌だと思い私は銀さんを起こす事にした
声をかけても起きる気配はないので次に布団をひっぺがした、すると寒さからかモゾモゾと動き始め銀さんは唸り声をあげながら目を薄らと開けた、いつも半開きの目が更に半開きになってほとんど閉じた状態となっているが、瞼の向こう側の目と合うので起きているのだろう
「おはよう銀さん」
「んぁ?なんでナマエ?」
銀さんにニッコリと笑いかけて朝の挨拶をすると銀さんは眠そうな目を擦りながらそう言ってきた、声が少し枯れているのを聞くと昨日は飲んだらしい、先程銀さんの寝室に入った時にほのかに漂ってきたお酒の匂いは気のせいではなかったようだ
やれやれと呆れながら持っていた布団を畳み、銀さんが起き上がるのを待つ、のそのそと起き上がるその姿からは私達を守ってくれる時の凛々しい姿とは別人の様だ、完全に上半身を起こし終わると銀さんはグッと伸びをした
まだぼにゃとしているその姿にまた呆れてしまう、とりあえず銀さんを退かして敷布団を畳む、ボーッと突っ立っている銀さんを半ば強引に洗面所へ連れて行くとゆっくりとした動作で身支度をし始めた、銀さんが身支度をしている間に私は遅めの朝ご飯を作る事にした、軽い物だが銀さん一人なら十分だろう
「ん……いい匂い」
「ようやく目が覚めた銀さん?」
「ああ、まだ眠いけどな……ナマエ今日来る日だっけ」
ご飯を作り終わった頃匂いを感じてか銀さんが洗面所から顔を覗かせてきた、銀さんに挨拶をすると目を擦りながらリビングに入って来た、ドッカリとソファーにもたれるように座る銀さんに作ったご飯を渡す
もそもそとそれを食べ始める銀さんに私は思わず笑ってしまう、銀さんは急に笑い出した私を不思議そうに眺めながらも食べ続ける、そんな銀さんをずっと見ていたい気持ちになるが今日はやる事が多いのでそうもいかないのだ、新八君が居ない今万事屋の家事をやらなければならないのだ
そうと決まれば私は急いで洗面所へと向かい洗濯機を働かせ始めた、洗濯が終わる頃には他の家事を終わらせられるようにテキパキと物事をこなさないとならない、次は銀さんの敷きっぱなしの布団だ
布団を運び出し万事屋の看板の所に引っ掛けて、布団叩きでバフバフと叩くとホコリが舞う、ある程度ホコリが落ち着いてきたら今度は逆側だ
「おーいナマエ、ご馳走さん」
「えぇっ!?もう銀さん、皿洗いくらい自分でやってよ」
「……ったく、しょうがねぇな」
布団をモゾモゾと持ち上げようとしていると玄関の方から銀さんの声が聞こえた、皿洗いくらいして欲しいと伝えると銀さんは少しだけ不機嫌そうにそう言ってまた部屋の中へ入って行った
私はと言うとまだまだ布団を持ち上げる事が出来ずにいた、どうにも上手く踏ん張りが効かない、無理に持ち上げようとして腰を痛めてしまっては元も子もないのでどうしたものかと悩んでいた
その時不意に視界の端に動く影を捉えた、思わず目を向けると先程までぼにゃぼにゃしていた銀さんが布団に近付いて歩いていた、まさかと思った時案の定銀さんが布団を持ち上げて逆側に向けてくれた
「あ……ありがとう……」
「ん」
戸惑いながらも礼を言うと銀さんは軽く返事をして私の頭に手を置いてそのまま中に戻って行った、少しの間銀さんが戻って行った方向を向いていたがハッとして私は作業を続ける事にした
布団叩きで先程と同じ要領で布団を叩くと同じようにホコリが舞った、これで少しの間天日干しすればフカフカの布団になるだろう、そう思い私は玄関の中へ戻る事にした、丁度銀さんが台所から出てきたので銀さんと一緒にリビングへと戻る、手が濡れていたのが見えたのでどうやら皿洗いはしてくれたようだ
「ところでなんで今日休みの筈のナマエがここに居るんだ?」
リビングのソファーに座りながら銀さんが私を引き止めてそう言ってきた、そう言えばまだ詳しく神楽ちゃんや新八君の事を話してなかったと思い出し、私もいそいそとソファーに座り銀さんに事の経緯を話す事にした
二人の事を話すと銀さんは少しだけ不機嫌そうな顔をしたが二人がそんなに重い症状ではない事を伝えると銀さんは少しだけ表情を緩めた、どうやら安心したらしい、銀さんは少々考えている事が顔に出やすい
「とりあえず一通りの家事が終わったら、私ちょっと出るね」
「家事なんて一日くらいいいだろ、ナマエは元々休みなんだから、ナマエの用事を優先すりゃあいい」
「え……でも」
「俺が良いって言ったら良いの、気にすんな、家事が出来ねぇマダオじゃねぇから」
銀さんに今後の私の予定を伝えると家事はやらなくていいと言われた、思わぬ言葉に戸惑っているうちに銀さんはヒラヒラと手を振って完全に私に家事をやらせないつもりだ
なんだか銀さんに押し付けてしまった気がしてならないが、こんなにも銀さんが言うならお言葉に甘えて言う通りにした方が良いのかも知れない、そう思い私はお礼を言った後ソファーから立ち上がって玄関へと向かった
銀さんはワンテンポ遅れて私の後を追う、どうやら見送りをしてくれるそうだ、草履を履いていると頭上から用事が済んだら一応真っ直ぐ帰って来るように言われた、それに返事をして立ち上がる
「……ところで、なんの用事だ?」
「実は昨日落し物しちゃって……真選組の所にあるそうだから取りに行くの」
頭を掻きながら少々面倒くさそうに聞いてきた銀さんに真選組の所へ行くと伝えると一気に不機嫌そうな顔になった、言ってから銀さんは真選組と犬猿の仲と言う事を思い出し後悔をした
銀さんがこれ以上不機嫌になる前に万事屋を出ようと考え、足早に扉へと向かい手をかけた時、銀さんが私の肩を掴んできた、思わぬ行動に一瞬私の動きが止まる、その隙に銀さんは私の方を自分の方へ引っ張り私の体の向きを少し自分の方に向けた
「銀さ……ッ痛!?」
銀さんの名前を呼ぼうとした瞬間、首筋から鎖骨にかけて鋭い痛みが走った、同時に顎の下辺りにフワフワとした感触が当たった、反射的に目の前にあった銀さんの身体を軽く突き飛ばす
少しだけよろめきながらも銀さんは満足そうな顔をしてニヤニヤと笑っていた、嫌な予感がする、銀さんを軽く睨みつつ玄関のそばにあった鏡を覗くと思わず息を呑んだ
鏡に映ったのは首筋から鎖骨にかけて歯形が付いた私の姿だった、血こそは出てないものの赤くなっていて見るからに痛々しい、その辺りからピリピリとした痛みが走っている、着物の襟をグイッと上げるが首筋の歯形が少しだけ見えてしまう
「何してんの!?あーもう!!」
「ナマエ行かねぇの?」
「行くよ!!もう知らないッ!!」
思わず叫ぶと銀さんはニヤニヤと嫌な笑みを浮かべてそう言ってきた、そんな銀さんに半ば怒鳴りつつ落としてしまった荷物を持ち上げる、そんな私を銀さんが何も言わずにただ見下ろす
「……なに?」
銀さんの視線に対し少々不機嫌な声を出しながら顔を上げると私を見下ろしていた銀さんと目が合った、銀さんはさぞ満足そうな顔をしているのがまた癪に障る
「気を付けろよ」
「言われなくても」
銀さんが珍しく見送りの言葉を言うが、私は冷たく返して玄関の扉を開けた、まだ少し首筋から鎖骨にかけて痛みがビリビリとするがもう気にしない事にした、見えてしまう部分は少しだけだし、真選組の屯所に着く頃には赤みも引いているだろう
銀さんがニヤニヤと笑いながら手を振るので思わず睨みつけて叩き付けるように玄関を閉めた、扉の向こうから銀さんが驚いた様な声を上げたのが聞こえたが気にしない、帰ったらまず何と言って文句を言おうか