銀魂
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(銀八視点)
授業が終わり、のんびりとした足取りでいつもの準備室へと向かう、本来なら職員室に戻った方がいいのだが戻ると校長達がうるさいので少しでも体を休ませるために向かうのだ
それに今日は朝から楽しみにしていたいちご牛乳が準備室に持ち込んだ冷蔵庫の中にある、最近暑くなってきたのでこれはいい機会だ
「……なんで居るの?」
ルンルン気分で準備室の部屋の扉を開けると俺の特等席であるソファにドッカリと座っている女子生徒……ナマエの姿が見えた、何故居るのかと思わず落胆するがまだ片手にいちご牛乳を持っていないので良しとする、アレが無事ならそれでいい
何も言わず俺を見返しそのまま体をソファに倒したナマエを見て思わず溜め息をついてしまう、ナマエが返事をしない時は必ずと言っていい程何か相談事がある時だ
冷蔵庫へ向かいながらも視線は思わずナマエに向いてしまう、ただのいつもの相談事とは少し雰囲気が違う気がする一向に顔を上げないなんて今まではなかった、Z組でも珍しい常識人側に属するナマエは他の奴らより礼儀は正しいので一度は顔を上げて俺と目を合わせるはずなのだ
本気で心配になってきたので冷蔵庫からいちご牛乳を取り出したあとナマエの傍にぎこちなく座り、肩に手を伸ばした
「おいって……!!」
半ば無理矢理顔を上げさせると俺は思わず息を飲んだ、一瞬強ばった手がナマエの肩を強めに掴みナマエの身体を軽く揺らした、するとポロリと流れ落ちる水滴、それはナマエの目から流れていた
ナマエは泣いていたのだ、それを理解した瞬間衝撃で流れ落ちた雫を皮切りにボロボロとナマエの目から涙が止めどなく流れた、徐々にナマエの喉から嗚咽が漏れ始める
「銀八……先生ッ私、私……!!」
理由を言おうとしているのか必死に目元を手で押さえ俺の名前を呼びながら言葉を紡ごうとするナマエの姿は正直見ていられなかった、心が締め付けられる様な痛みを感じた
どうすればいいのか分からなかったが咄嗟に体が動き、ナマエの後頭部を片手で覆い優しくナマエの顔を自分の肩に押し付けた、いつも羽織っている白衣が少し濡れた気がしたが気にしなかった
肩に押し付けられ戸惑っていたナマエだが、ゆっくりと俺の背中に手を回し始め最終的にはギュッと白衣を握り締めた、縋っているようにも感じる強さで俺は益々心が痛んだ
「大丈夫、大丈夫だから落ち着け」
ポンポンと頭を優しく規則的なリズムで叩きナマエを落ち着かせる、とにかく落ち着かせなければ何故ナマエがこんなに涙を流しているのか、誰に泣かされているのか明白にならない
焦りからか速くなりそうになるリズムを無理矢理整えながらナマエの頭を叩き続けた、すると徐々に震えていた肩が落ち着きを取り戻し縋るように掴んでいた手からも力が抜けていった
「落ち着いたか?」
「まだ……ッあと少し……」
少しだけナマエを肩から離し落ち着いたか聞いたが返事は俺が望んでいたものではなかった、離した距離を戻す様に肩に半ば乱暴に顔を押し付けたナマエを見て思わず笑ってしまう
この調子ならいつものナマエに戻るだろう、そう思うと痛んでいた心から痛みがなくなっていくのを感じた、それと同時に安堵の溜め息が漏れてしまう、ナマエが落ち着きを取り戻していくのと同時に背中に縋るように握りしめられた感覚が無くなっていくのが少しだけ勿体なく感じたのは秘密だ
「……で、あんなに取り乱すなんて何があった?」
先程まで泣いていたナマエも落ち着き、俺もナマエの傍から離れて向かいのソファに腰掛けいちご牛乳を飲みながら先程の事を聞く事にした、ナマエは先程の事が恥ずかしいのか顔を少し伏せているが口を開け閉めしていると言う事は答える気はあるらしい
何も言わずにナマエが自分から話すのを待つ、ナマエはこう言う時に急かしたりプレッシャーを与えたりすると黙ってしまう事が多いからだ、逸る気持ちを抑えてナマエの言葉を待つ
しばらくするとナマエが一瞬息を吸い、心を決めたような視線でこちらを見た、やっと言うのかと思いながらいちご牛乳を一口飲んだ
「浮気された」
「ん"ぐっ!?」
ナマエから発せられた言葉はあまりにも予想外で思わず某日曜アニメの姉さんも驚きの声を上げ喉元に力を入れた、変な方向へと入ってしまったいちご牛乳はなんとか起動を修正し無事胃に届けられたが、気管支辺りの違和感と痛みに思わず顔を顰めた
気管支の事だけではない、ナマエの言葉にも顔を顰めるには充分だ、"浮気"昼ドラにはよく出てくる様な言葉だがまさかそれがナマエの口から出るとは思わなかった
嘘かと一瞬思ったがナマエは嘘をつくような人間ではない、ならば聞き間違いか、そう思った俺の心を読んでいるかのようにナマエは小さな声でもう一度同じ事を呟いた、やはり"浮気"と言う単語が聞こえた
「あの……一応分かりやすく解説よろしく」
「……私、先輩と付き合ってましたよね、それは覚えてます?」
「あぁ、そんな事もあったな」
ナマエに何故そうなったのか解説を求めると言いにくそうにそう言った、自然と眉間にシワがよってしまうのは仕方のない事だ、聞いていて良い気分にはならない理由を俺は重々承知していた、しかしそれをナマエに悟られてはならないので隠す様にもう一度いちご牛乳を飲んだ
今度はちゃんと胃に運び、舌の上でいちご牛乳独特の甘さを味わっているとナマエがまた口を開いた、コップを置きながらも意識をナマエの声に集中させた
「その先輩が浮気したんです」
「確かその先輩とやらは、お前がカッコイイカッコイイ言ってた奴か?」
「……そうです……でも全くカッコよくなかった……浮気なんてカッコ悪いから別れました」
「お前のカッコイイの基準が良く分からん」
ナマエの言う"元"彼氏の奴はナマエがずっとカッコイイカッコイイと言っていてそれから恋に発展して、ナマエが告白してようやく付き合う事になった奴だ、こんなに詳しいのは俺がその時相談役と言う面倒な役だったからだ
落ち込むナマエを見ながらあの時の先輩の全ての行動にキャーキャー言ってた奴とは思えないと思い、思わず笑ってしまったがなんとか口元を隠しナマエにバレる事はなかった
ナマエが悲しんでいる時に笑っているとまた嫌な噂を吹き込まれてしまうし何より嫌われてしまうだろう、ナマエだけには嫌われたくないと言う感情が溢れてしまう俺は教師失格だろうか
「私もう男性恐怖症になりそうです」
「まあ、今俺と話してるからそれはないな」
「……ああそっか」
男性恐怖症になりそうと言うナマエの言葉にサラリと返したが内心俺の心はバクバクと激しく動いていた、恐怖症になられたら俺の所に来てくれなくなると思ったからだ、そんな事でいちいち慌てたりする俺はもう本当に手遅れな程ナマエが好きな様だ
ナマエが別れたと聞いた時から俺はナマエを自分の物にしたい欲が出ていてその欲に飲まれそうになる、それを必死に理性で抑え込んでいるのにナマエの無防備な姿を見ると抑えが効かなくなりそうだ
いっその事……その単語の後に続く言葉を飲み込むようにいちご牛乳を飲み込んだ、いつもの甘ったるい味は広がらず逆に苦く感じた
「あーあ……私を大切にしてくれる人、誰かいませんかね」
大きな溜め息をつきながら項垂れてそう呟くナマエの姿を見て、何故俺は「俺にしなよ」と言う一言が言えないのだろうか、たった六文字の言葉なのに
ナマエの呟きに何も答えずまた一口いちご牛乳を飲んだ、最後の一口だったようですっかり容器は軽くなってしまっている、これでは次にナマエが俺の理性を逆撫でする様な事を無自覚のうちに話したら抑えが効かなくなるだろう
新しい物を取りに行かない上に更にナマエが話すのを期待して待っている、しかしナマエはそれっきり何も話さなくなってしまった、もう話すのも億劫になってしまったのだろう
俺も今口を開いたら本音を言ってしまいそうで、ナマエを自分の物にしようと動き出してしまいそうで何も言えなかった、二人して黙っているので当然準備室は静寂に包まれた、この気持ちを言えるようになるのはまだまだ先の事だろう
授業が終わり、のんびりとした足取りでいつもの準備室へと向かう、本来なら職員室に戻った方がいいのだが戻ると校長達がうるさいので少しでも体を休ませるために向かうのだ
それに今日は朝から楽しみにしていたいちご牛乳が準備室に持ち込んだ冷蔵庫の中にある、最近暑くなってきたのでこれはいい機会だ
「……なんで居るの?」
ルンルン気分で準備室の部屋の扉を開けると俺の特等席であるソファにドッカリと座っている女子生徒……ナマエの姿が見えた、何故居るのかと思わず落胆するがまだ片手にいちご牛乳を持っていないので良しとする、アレが無事ならそれでいい
何も言わず俺を見返しそのまま体をソファに倒したナマエを見て思わず溜め息をついてしまう、ナマエが返事をしない時は必ずと言っていい程何か相談事がある時だ
冷蔵庫へ向かいながらも視線は思わずナマエに向いてしまう、ただのいつもの相談事とは少し雰囲気が違う気がする一向に顔を上げないなんて今まではなかった、Z組でも珍しい常識人側に属するナマエは他の奴らより礼儀は正しいので一度は顔を上げて俺と目を合わせるはずなのだ
本気で心配になってきたので冷蔵庫からいちご牛乳を取り出したあとナマエの傍にぎこちなく座り、肩に手を伸ばした
「おいって……!!」
半ば無理矢理顔を上げさせると俺は思わず息を飲んだ、一瞬強ばった手がナマエの肩を強めに掴みナマエの身体を軽く揺らした、するとポロリと流れ落ちる水滴、それはナマエの目から流れていた
ナマエは泣いていたのだ、それを理解した瞬間衝撃で流れ落ちた雫を皮切りにボロボロとナマエの目から涙が止めどなく流れた、徐々にナマエの喉から嗚咽が漏れ始める
「銀八……先生ッ私、私……!!」
理由を言おうとしているのか必死に目元を手で押さえ俺の名前を呼びながら言葉を紡ごうとするナマエの姿は正直見ていられなかった、心が締め付けられる様な痛みを感じた
どうすればいいのか分からなかったが咄嗟に体が動き、ナマエの後頭部を片手で覆い優しくナマエの顔を自分の肩に押し付けた、いつも羽織っている白衣が少し濡れた気がしたが気にしなかった
肩に押し付けられ戸惑っていたナマエだが、ゆっくりと俺の背中に手を回し始め最終的にはギュッと白衣を握り締めた、縋っているようにも感じる強さで俺は益々心が痛んだ
「大丈夫、大丈夫だから落ち着け」
ポンポンと頭を優しく規則的なリズムで叩きナマエを落ち着かせる、とにかく落ち着かせなければ何故ナマエがこんなに涙を流しているのか、誰に泣かされているのか明白にならない
焦りからか速くなりそうになるリズムを無理矢理整えながらナマエの頭を叩き続けた、すると徐々に震えていた肩が落ち着きを取り戻し縋るように掴んでいた手からも力が抜けていった
「落ち着いたか?」
「まだ……ッあと少し……」
少しだけナマエを肩から離し落ち着いたか聞いたが返事は俺が望んでいたものではなかった、離した距離を戻す様に肩に半ば乱暴に顔を押し付けたナマエを見て思わず笑ってしまう
この調子ならいつものナマエに戻るだろう、そう思うと痛んでいた心から痛みがなくなっていくのを感じた、それと同時に安堵の溜め息が漏れてしまう、ナマエが落ち着きを取り戻していくのと同時に背中に縋るように握りしめられた感覚が無くなっていくのが少しだけ勿体なく感じたのは秘密だ
「……で、あんなに取り乱すなんて何があった?」
先程まで泣いていたナマエも落ち着き、俺もナマエの傍から離れて向かいのソファに腰掛けいちご牛乳を飲みながら先程の事を聞く事にした、ナマエは先程の事が恥ずかしいのか顔を少し伏せているが口を開け閉めしていると言う事は答える気はあるらしい
何も言わずにナマエが自分から話すのを待つ、ナマエはこう言う時に急かしたりプレッシャーを与えたりすると黙ってしまう事が多いからだ、逸る気持ちを抑えてナマエの言葉を待つ
しばらくするとナマエが一瞬息を吸い、心を決めたような視線でこちらを見た、やっと言うのかと思いながらいちご牛乳を一口飲んだ
「浮気された」
「ん"ぐっ!?」
ナマエから発せられた言葉はあまりにも予想外で思わず某日曜アニメの姉さんも驚きの声を上げ喉元に力を入れた、変な方向へと入ってしまったいちご牛乳はなんとか起動を修正し無事胃に届けられたが、気管支辺りの違和感と痛みに思わず顔を顰めた
気管支の事だけではない、ナマエの言葉にも顔を顰めるには充分だ、"浮気"昼ドラにはよく出てくる様な言葉だがまさかそれがナマエの口から出るとは思わなかった
嘘かと一瞬思ったがナマエは嘘をつくような人間ではない、ならば聞き間違いか、そう思った俺の心を読んでいるかのようにナマエは小さな声でもう一度同じ事を呟いた、やはり"浮気"と言う単語が聞こえた
「あの……一応分かりやすく解説よろしく」
「……私、先輩と付き合ってましたよね、それは覚えてます?」
「あぁ、そんな事もあったな」
ナマエに何故そうなったのか解説を求めると言いにくそうにそう言った、自然と眉間にシワがよってしまうのは仕方のない事だ、聞いていて良い気分にはならない理由を俺は重々承知していた、しかしそれをナマエに悟られてはならないので隠す様にもう一度いちご牛乳を飲んだ
今度はちゃんと胃に運び、舌の上でいちご牛乳独特の甘さを味わっているとナマエがまた口を開いた、コップを置きながらも意識をナマエの声に集中させた
「その先輩が浮気したんです」
「確かその先輩とやらは、お前がカッコイイカッコイイ言ってた奴か?」
「……そうです……でも全くカッコよくなかった……浮気なんてカッコ悪いから別れました」
「お前のカッコイイの基準が良く分からん」
ナマエの言う"元"彼氏の奴はナマエがずっとカッコイイカッコイイと言っていてそれから恋に発展して、ナマエが告白してようやく付き合う事になった奴だ、こんなに詳しいのは俺がその時相談役と言う面倒な役だったからだ
落ち込むナマエを見ながらあの時の先輩の全ての行動にキャーキャー言ってた奴とは思えないと思い、思わず笑ってしまったがなんとか口元を隠しナマエにバレる事はなかった
ナマエが悲しんでいる時に笑っているとまた嫌な噂を吹き込まれてしまうし何より嫌われてしまうだろう、ナマエだけには嫌われたくないと言う感情が溢れてしまう俺は教師失格だろうか
「私もう男性恐怖症になりそうです」
「まあ、今俺と話してるからそれはないな」
「……ああそっか」
男性恐怖症になりそうと言うナマエの言葉にサラリと返したが内心俺の心はバクバクと激しく動いていた、恐怖症になられたら俺の所に来てくれなくなると思ったからだ、そんな事でいちいち慌てたりする俺はもう本当に手遅れな程ナマエが好きな様だ
ナマエが別れたと聞いた時から俺はナマエを自分の物にしたい欲が出ていてその欲に飲まれそうになる、それを必死に理性で抑え込んでいるのにナマエの無防備な姿を見ると抑えが効かなくなりそうだ
いっその事……その単語の後に続く言葉を飲み込むようにいちご牛乳を飲み込んだ、いつもの甘ったるい味は広がらず逆に苦く感じた
「あーあ……私を大切にしてくれる人、誰かいませんかね」
大きな溜め息をつきながら項垂れてそう呟くナマエの姿を見て、何故俺は「俺にしなよ」と言う一言が言えないのだろうか、たった六文字の言葉なのに
ナマエの呟きに何も答えずまた一口いちご牛乳を飲んだ、最後の一口だったようですっかり容器は軽くなってしまっている、これでは次にナマエが俺の理性を逆撫でする様な事を無自覚のうちに話したら抑えが効かなくなるだろう
新しい物を取りに行かない上に更にナマエが話すのを期待して待っている、しかしナマエはそれっきり何も話さなくなってしまった、もう話すのも億劫になってしまったのだろう
俺も今口を開いたら本音を言ってしまいそうで、ナマエを自分の物にしようと動き出してしまいそうで何も言えなかった、二人して黙っているので当然準備室は静寂に包まれた、この気持ちを言えるようになるのはまだまだ先の事だろう