君の香りと
name changes
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
承太郎の場合
エジプトに近付くにつれて髪の毛が軋むのを感じていた、日光の関係かそれともストレスか……様々な原因を思い浮かべるが髪の毛のキューティクルが戻る訳でもない
女子として髪の毛のダメージに焦ってしまいリンスやコンディショナーを沢山使ってしまったからか今日の分のリンスが足りない事に入浴前に気が付いた
日が昇っている時なら適当に見繕ったのだが今は夜、こんな時に敵のスタンド使いに襲われたらひとたまりもない
悩みに悩んでここは部屋割りで同室になった承太郎にリンスを貸してもらうしかないだろうと言う答えに辿りついた、承太郎がリンスを持っているか定かではないが賭けるしかない
「承太郎、リンス持ってない?」
未成年の癖にビールを飲んでいる承太郎に控えめにそう言うと承太郎は視線だけ私の方に向けて、一旦ビールを置いた
そのまま待ってろと言わんばかりにノシノシと部屋を移動し、承太郎は無言で私にリンスのボトルを投げ渡した
「ありがとう承太郎」
「ああ、明日一緒に買いに行くか?俺のも多分そろそろ無くなる」
「えっ!?じゃあ私今日やめるよ悪いし」
「いやいい、手間が省けていいじゃねぇか」
「……うん……じゃあお言葉に甘えて……」
承太郎の言葉に私は思わず罪悪感を感じてしまうが承太郎は気にするなと言わんばかりに手をヒラヒラと揺らし、早く入浴しろと合図を送った
承太郎の優しさに少しジーンッと来たが、私はそのまま入浴する事にした、きっとホリィさんが言っていた根は優しい子と言うのはこういう所から来ているのだろう
それとも不良の承太郎だからそう錯覚してしまうのかもしれない、まあなんにせよ承太郎が優しいのは確かだ、承太郎が味方で本当に良かったと思っている
長旅で疲れている身体を休めるように温かい湯に浸かり控えめにマッサージをする、チャポンッと一度肩まで浸かり昔やった時のように十まで数えてからシャワーを浴びる事にした
海外では珍しいバスタブ付きのホテルだが細かいところまでサービスがなってないようで備え付けのシャンプーやリンス、ボディーソープがないのが残念だ
「ふぅ……」
湯から上がり少し温度の低いシャワーを浴びながらシャンプーに手を付ける、泡立てながら頭皮の汚れを落とし、シャンプーごと洗い流す
しっかりと洗い流したのを確認してから承太郎に貸してもらったリンスに手を付けると、ほのかに嗅いだ事の香りが鼻腔をついた
確かこれは承太郎から時々香ってくる香りだ、香水とかではなく列記とした承太郎の香り……こうして考えているとなんだか変態みたいだ
変態じみた考えを振り払い、リンスを髪に馴染ませる、程よく馴染んだ後隅々まで残さずリンスを流す
浴室から出て適当に髪の毛をタオルで拭きながら服を着て、承太郎がいるであろう部屋に戻る
「ありがとう承太郎、助かったよ」
「……ナマエここに座れ」
「え?」
「髪の毛しっかり乾かさねぇと風邪引くぜ」
「……じゃあ、失礼します」
私を見るや承太郎が椅子を少し後ろにずらし、私に座るように言ってきたので、渋々とその椅子に座る
承太郎はドライヤーで私の髪の毛を程よい力加減で乾かし始めた、初めは羞恥心があったが徐々にそれも無くなってきた
「……俺と同じ匂いがするな……」
「えっ?なんか言った?」
「……なんでもねぇ、あんまり動くなナマエ」
「え、あ、ごめんなさい」
承太郎がなにか呟いたが至近距離でのドライヤーの音で承太郎の声はかき消されてしまった、それを踏まえてか二回目の承太郎の声は少し大きめの声だったのでしっかりと聞こえた
承太郎に謝りながら私は初めに言った承太郎の言葉はなんだったのかと首を捻った、すると承太郎に力強く固定されて少し首を痛めてしまった
結局痛みでそれ以上の詮索を諦めたが、なんとなく承太郎が珍しい事を言ったのは確かだと思う