JOJO
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※夢主はディオの妹
隣の部屋からまた父親の怒鳴り声が聞こえる、その後すぐに机が倒れる音がする
私はその度に目を瞑るのだ、目蓋を閉じてしまえばこの状況から逃げられる、一瞬でも暗闇に逃げ込めるのだ
嫌な汗がようやく収まり私は慌てて隣の部屋に向かった、扉を開けると兄を殴ろうとするろくでなしの父親が見えたがまだ間に合う
私は素早く父親の腕を掴み、兄を殴らせまいと腕を押さえる
「ナマエ!!」
「兄さんを殴らないでお父さん!!」
私の名前を焦ったように叫ぶ兄の声を遮りながら私は父親に殴らないでと言うがこのどうしようもないろくでなしの父親は私の腕を乱暴に振り払った
私は机に当たる寸前の所で兄に支えられ大丈夫かと言われた安心したのも束の間、父親は私達二人を殴り金を集めてくるまで家に入らせないと言い扉を乱暴に閉めた
「……ッ…アイツ……」
「兄さん……ごめんなさい……」
「……なんでナマエが謝るんだ、悪いのは全てアイツのせいだ」
「……兄さん……」
「とにかく金を集めなくちゃあな……酒場に行こうか、ナマエ離れるなよ」
「うん……」
兄は優しい笑いながら私の手を掴み歩き出した、父親の事を話している時とは違いその目には憎悪も野望も含まれていない、私はその目が大好きだ
兄とは二歳程離れていて母親が死んでしまった後でもあの父親から私を守ってくれた
私は昔からあまり人とは関わりたくないタイプだったのでそれが気に食わなくて父親は時々私に八つ当たりをするのだ、私はその時はいつも暗闇に逃げ込む痛みはあるがあの父親の顔を見なくて済む、そして暗闇に逃げ込んで少し経つと痛みは収まり少しして兄が傷の手当てをしてくれるのだ
目を瞑ることは私にとっては大切な事だった目を開けた時目の前には兄が優しく微笑んでくれるから
「いいかナマエ、これを使ってポーカーをするんだこの間教えたろ?」
「分かった……ねぇ兄さん、もしバレたらどうしよう……」
「バレやしないさナマエなら出来る」
「そうかな……」
「怖くなったら目を瞑れば落ち着くだろ?イカサマがバレる時っていうのは冷静さを失った時だからな」
「うん、わかった……兄さんは何をするの?」
「大丈夫ナマエから離れたりしない、隣の席でチェスをしてるからな」
私にイカサマ用のトランプを渡しながら兄は優しくそう言った、私の頭を撫でてから酒場に入って行く兄を追いかけて私も扉を開けた
「初めてイカサマをした時は緊張したなァ……」
「ん?どうしたんだい?」
「あ、ううん独り言だよ義兄さん」
「そっか」
あの時とは違い高級感溢れる家、髪色も目の色も違う兄……私と兄は父親が死んだ後ジョースター家に養子として引き取られた
兄は義兄が気に食わないらしくいつも素っ気ない態度を取る、確かにテーブルマナーも悪かったが私は兄とは違う別の優しさがあり嫌いではなかった
それにジョースター家に来てから全く兄のあの目を見れなくなってしまい、以前より近寄り難い存在になってしまったのもある
今もこうして義兄とベランダで話しているのも実は兄から少し距離を取っているためだ
「……最近よく目を閉じているけど気分でも悪いのかいナマエ?」
「え?気分は悪くないけど……昔からの癖かもね」
「へぇ面白い癖もあるんだね」
「うん、目を閉じると落ち着くんだ」
義兄に言われて少し驚いた、どうやら私は無意識のうちに目を瞑っていたようだ、話を聞くと兄と話している時もよく目を閉じているようで兄が少し心配していたようだ
それを言われ私は兄に悪い事をしてしまったと思った、昔からこの癖は私が緊張した時や思い悩む時何かから逃げたい時にしかやらないのを兄は知っている
私の事を心配する理由もなんとなく分かった
「ジョジョ、義父さんが呼んでいるぞ」
不意に兄の声が聞こえて私は思わず少しビクついてしまった、そんな私に気が付いていないのか義兄は慌てた様子でベランダを出て行った
残されたのは兄と私だけ……兄の事で悩んでいたのもあって少し居心地が悪い
「……ジョジョと…………何を話していたんだ?」
最初に口を開いたのは兄の方だった、声のトーンが少し低いのは気のせいではないだろう
兄は私にそう言った後ゆっくりと義兄が座っていた椅子に座った
「……何も……ただの雑談だよ」
「……そうか」
なんとなく今目の前にいる兄が怖くて少し俯きながら答えると兄は目を伏せながら相槌をうってきた
兄の目は変わった、以前の憎悪も野望も含まれていない綺麗な目はもうほとんど見る事はない私と居てもその目には微かに野望が見えている気がする
「兄さんは……義兄さんの事嫌い?」
「どうだろうな……ナマエだけしか居ないから言える事だが、正直俺はあまりジョジョの奴をいい奴とは思わない……」
「なんで?義兄さん優しいよそれに私の事を本当の妹のように接してくれるし」
「それが嫌なんだ……なんとなくだがな……ナマエの本当の兄は俺だけだろ?アイツじゃあない……なんだかナマエが……」
「…………」
「ナマエが取られた感じがするんだ……」
膝に置いていた私の手をゆっくりと握りながら兄はそう言った、そんな兄を見て私は少し申し訳なくなった
兄もこんなに悩んでいたのに私は自分の事しか考えていなかったのだとなんて出来ない妹なんだと
私は兄に対して謝罪の気持ちを少し込めながら私の手を握っている兄の手を空いている方の手で包み込む様に握った、すると私の手を少し驚きながらも兄は握り返してくれた少し嬉しくなった
目を瞑ると私と同じ血が流れている手の温かさが伝わってくるのを強く感じた気がした、それと同時に兄のあの優しい目を思い出した
やはり私の兄は兄だ、いつも妹の私思いで優しくて頭が良くて私には想像できない思考を持っている
「兄さん……」
「どうした?」
「兄さんは私のたった一人の家族だから、変わらずに私の兄でいてね」
「……そうだな……約束しよう」
兄は一瞬悲しそうな目をして私を見た後また笑いながらそう約束してくれた、そして私がまた目を瞑るとその目蓋に兄はキスをした、驚いて兄を見たがもうベランダから出ていたので背中しか見えなかった
兄にキスをされたのは初めてだったのでしばらくいつものように目を瞑りながらも心臓はバクバクと音を立てていた
そんな時背後から視線を感じ振り向くと下の廊下の壁に掛けてあった石仮面が私をジッと見上げていた気がした、何か嫌な予感がするのは気のせいであって欲しい