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(花京院視点)
気の抜けた授業終了の知らせと共に礼をした後皆が動き出す、ザワザワと声が聞こえる教室内で僕は静かに本を読む
正確には本を読むフリをしている、今は丁度二時限目そろそろ僕の前の席の子の所に来るために彼女が来る時間だ
そう思っていると愛しい彼女の声がする、ニヤけそうな顔を必死に抑えて僕はポーカーフェイスを気取って視線を本に向ける
あのテレビはどうだっただの、今度小説を貸してあげるだの……様々な彼女の情報を盗み聞く、初めはなぜ僕の前の席が彼女でないのかと頭を抱えたが彼女はよくこの子の席に行くので好都合だった
ただ一つ難点があるとしたら彼女のあの絹糸のような髪の毛や香水なんかじゃあ再現できないような素敵な香りが間近で感じられない事だ
そんな事を思っているとまたチャイムが鳴り授業が始まるのを知らせた、皆が怠そうな声を上げながら席に着く、だが彼女は……ナマエはそんな素振りは見せずに僕の前の席から離れて行った
密かに彼女を目で追いながら僕は教科書を出した、その直後先生が入ってきてまだ着席していない生徒を咎めていた
「それじゃあ皆気をつけて帰れよ」
担任がそう言うと皆がバラバラに立ち始める、学生の時間というのは早いもので担任のこの声を聞くともう一日が終わってしまった感じがする
鞄に用具を入れながら今日の掃除場所はどこだったか考える、確か廊下だった気がするあそこは何気に広くてとても面倒だ
そう思いながら机の上に鞄を置いて廊下に出る、ナマエは確か教室掃除だったので僕の"友達"を教室に待機させた、この時ばかりは僕の友達が皆に見えなくて良かったと思ってしまう、法皇の緑と僕は呼んでいる友達だ
時々法皇の緑の様子を気にしながら掃除をしていると同じクラスの明るい方である男子達が何かを話していた、いつもようにどうでもいい事だろうと聞き流そうと思ったが"ナマエ"と言う単語を聞いて聞き流さずにはいられなかった
「ナマエって本当かわいいよな」
「お前ナマエ狙ってるもんな、一途だよなぁ」
そんな下世話な話をしている男子に僕はとてつもない憎悪を抱いた、お前達がナマエを好いている?そんな事が許されると本当に思っているのか?
そんな気持ちが溢れ出すのが実感として分かった、気が付いたら僕は持っていた箒をそのまま手放してまだゲラゲラと笑っている男子達に向かって歩き出した
「ん?なんだよ花京院」
「どうした?」
男子達の前に立つとようやく気が付いたのか僕の名字を呼んできた、いっそその口を縫い付けて黙らせてやろうかと言う気持ちになるがグッと堪える
しかしナマエの名前を呼ばれたのはどうしても許せなくて僕は見上げている男子達に向かって自分でも驚く程冷たく低い声で話した
「貴方達に彼女の……ナマエの何が分かるんですか?」
そう言うと男子達は肩をビクつかせ僕に小さい声で謝った後そさくさとその場から離れて行った、そんな男子達の背中を眺めていると誰かに肩を叩かれた
「掃除、サボっちゃダメだよ花京院君」
その声を聞いた瞬間僕は叩かれた肩がやたらと熱く感じてしまった、冷静さを装いながら振り向くとそこには愛しくてたまらないナマエが立っていた
法皇の緑で監視していた筈なのにと驚いていると確かあの男子達に声をかける時に近くに戻したんだと思い出した
そんな事を思っていると、何も言わない僕を気にかけたのかナマエが首を傾け始めた
「どうしたの?具合とか悪い?」
「あッ……いえ、大丈夫です」
心配かけてはいけないと思い慌てて何ともないと言って僕は逃げるようにその場から立ち去った、少々あからさま過ぎたかもしれない、もしかして嫌われたかもしれない、なんて掃除場所に戻った時に不安になってしまった
憂鬱な掃除も終わり帰りの支度をしているとふとナマエが教室に出ていくのが見えた、それを横目に見て僕はまだ話している人達に怪しまれないようにナマエの後を追って教室を出た
ナマエを見失わない、それでいて怪しまれない、気付かれない距離でナマエを尾行する
昨日は少し寄り道してファーストフード店に行っていたから今日は真っ直ぐ帰った方がいいんじゃないかなナマエ
そう思いながらナマエの後を歩いていく、なるべく足音を立てないように歩くのはナマエのために頑張って覚えたんだよ
ナマエはどうやら僕の助言通り今日は真っ直ぐ家に帰るようで、いつも見慣れている道を歩いて行く
ここの角を右へ、ここの家の前の通りを通った後左ヘ、そしてそのまままっすぐ歩けばナマエの家
「ただいまー」
うん、おかえりナマエ、今日は真っ直ぐ帰って来て偉いね、明日また迎えに行くから一昨日みたいに寝坊をしないでね
ナマエの部屋のカーテンが閉まったのを確認して、僕はナマエとは反対方向の自分の家へと向かう
「ナマエ、僕が想いを伝えるまで君は誰の物にもなってはいけないよ」
小さくナマエに向かって呟いたその声は道路を忙しく走る車の音に消された