第二十二訓
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新八を引き上げて辺りを見渡すとどうやら倉庫の中の様で足元には先程の爆発で飛び散った荷物が散乱している、騒ぎを聞き付けて船内にいる浪士がここに来るかもしれないと思い早々に出る事にする
扉の側に身を隠してからゆっくりと扉を開けて通路をクリアリングする、通路にはまだ人が来ていないようで嘘みたいに静かだった、今のうちだと新八に伝えて倉庫から出た時だった
ドォンッドォンッと私達のいる場所とは反対側の方から続けざまに二発爆発が発生した、激しく揺れる船内だが立つ事は出来るので足を踏ん張り持ち堪える、一体何が起きてるのかさっぱり分からないがここも危険かもしれないので素早く慎重に進む事にした
「なんだお前ら!?」
曲がり角から出た瞬間出会い頭に数人に見つかってしまった、慎重に進もうとした途端にこれだ、嫌になる、しかしボーッとしている暇はない、私達が侵入者だと気付いた瞬間浪士は問答無用で刀を抜いて斬りかかってくる
咄嗟に新八の腕を掴み自分の背後に投げ飛ばした後、刀を抜いて浪士の攻撃を受け止める、そして力が込められた瞬間に刀を上に振り上げて浪士の刀を弾き上げる、必然的にガラ空きになった胴に向けて横薙ぎをして浪士を一人倒す
ドサリと倒れ込んだ音を聞いて他の奴らも刀を構え始めた、驚いている新八の襟を掴み立ち上がらせて自分の隣に立たせる、もちろん一緒に戦わせる訳では無い、逃がす為だ
浪士に刀を向けたままジリジリと間合いを取りながら新八を曲がり角まで移動させる、新八は私が移動させている事に気付いていないようで緊張した顔持ちで刀を抜き始めた、そんな新八に私は浪士達に聞こえない様に小声で話しかける
「ここは私に任せていいから先に行け」
「でも花無為さん怪我が……!!」
「こんな奴らに負けるか、それに新八がいたら逆に戦い辛い、銀時の木刀とは違うんだ……分かるだろ?」
先に行けと伝えると新八は私の怪我の事を聞いてきたが問題はどちらかと言えばそこではない、私はこんな所で遅れを取らないが新八が見ているとなると思いっ切り刀は振るえない、血とか臓物とか飛び散るのを新八に見せる訳にはいかない、かと言ってこちらを殺す気で向かってくる奴らに峰打ちや動けなくする様に斬るのは人数的に見ても少々難しい
それを遠回しに伝えると新八は少しだけ怯えた目をして自分の持っている刀に目を向けた、少々怖がらせてしまったかと思ったが、刀はどう足掻いても人を斬る物なのだ、遅かれ早かれ刀を使う侍を目指しているなら受け止めるべき事実なので仕方のない事だろう
そう話しているうちにも浪士達は騒ぎを聞き付けて集まってくる、新八が逃げる方向には今のところ人は見当たらないので大丈夫だろう、新八に今のうちだとアイコンタクトをすると少し躊躇ったが新八は走り出した、それを追いかけようと浪士達がこちらに向かって走り出す
「行かせるわけないだろ」
そう言いながら先頭を走っていた二人を斬る、血を流して倒れ込む音を聞いて他の浪士達の足が止まった、がすぐに標的を私に変えて向かって来る
横薙ぎの攻撃を刀を縦にして受け止めた後少しだけ身体をひねり相手を蹴り飛ばす、別の奴が続けざまに刀を振り下ろしてきたので身を引いてそれを避けてガラ空きになった背中に刀を突き刺す、それを好機と見てすぐさま斬りかかってきた奴が私の首目掛けて横薙ぎをしてくるので刀は突き刺したままで手を離して身を屈め攻撃を避ける、その後勢いからか自分から間合いに入ってきたので身体を起こすバネを利用してアッパーカットを叩き込む
ボクサーになれるのではないかと思える程綺麗に入ったアッパーカット、浪士は脳震盪を起こしたのかグラリと力なく倒れ込んだ、その一連の様子を見ていた奴らが呆気に取られて立ち止まっている隙にようやく突き刺した刀を引き抜く、恐らく刺さり所が悪かったのだろう刺された方は何も反応しない
「き……貴様……ッ!!」
「何者だ!!どこから入った!!」
味方が死んだ事に対して浪士達は怒りの声を上げ始める、私の素性を問い始めるがここで素直に真選組です。と答える程私はマヌケでは無い
「素直に答えるかよ、どうしても聞きたいなら力ずくで吐かせてみろ」
刀の切っ先を浪士達に向けてそう言うと浪士達は固唾を飲み込んだ後改めて刀を構え始める、先程四人倒したが蹴り飛ばした奴も含めてまだ残り六、七人程いる、先に行かせた新八の事も気掛かりなので早々に片付けなければならない、挑発をしたのは怒りや焦りは相手の動きを単純化させる事ができるからだ、決して格好をつけたかったからだとかそういう訳では無い
思惑通り頭に血が上った奴から私に向かって走り出してきた、下から振り上げられた刀を避けるが続けざまに上から刀が振り下ろされる、それを受け止めるのではなく刀を当てて軌道を逸らす、鉄の塊がぶつかり合う鈍い音が響いた後相手の刀は地面に叩きつけられる、衝撃からか手を離した浪士に問答無用で刀を振るう、血を流しながら倒れ込む浪士を見下ろす暇もなく今度は二人同時に攻撃を仕掛けられた
素早く刀を振るい付いていた血を吹き飛ばし、片方の攻撃を刀で弾き飛ばし、もう片方の攻撃は後方に飛び避ける、飛び避けた勢いを利用して勢い良く相手の懐に入り込み、抜刀技の要領で刀を振るうと脇腹から肩にかけて斬り上げる事に成功した、そのままの勢いで刀を振り下ろしもう片方の浪士も斬る
数滴頬に返り血が付いたのでそれを乱暴に手の甲で拭き取る、顔を上げると残った四人程の浪士達は肩をビクつかせながら刀を握った、その様子に思わず溜め息をついてしまうが私も刀を構えて迎え撃つ準備をした