第十九訓
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ミネラルウォーターを飲んだからかアルコール分が薄まったのか随分と酔いが覚めて来たような気がしたが、それと同時に強烈な眠気が襲ってくる、このまま寝ると確実に昼寝で済むレベルの睡眠にはならないだろう
下がってくる瞼を必死に抑え込み止まりそうになる思考を動かし続ける思い出すのはこの数日間であった出来事、ヅラや高杉、もっさんに再会できたことだ、無論銀時との再会も驚いたが今の私は後の三人に出会った事の方が鮮明に思い出す事が出来る
特に高杉は感動の再会とは正反対の再会だった、勿論ああ言う結果になる事は考えてなかったしむしろその方が多いと思っていたが、頭ではわかっていてもやはりショックを受ける事は変わりない
「さっきからボーッとしてるが大丈夫か?」
銀時が私の顔を覗き込みながらそう言ってきたが、正直耳には入ってこなかった、眠気のせいで意識が集中できなくなっている、いっその事しっぺでもしてくれれば目が覚めるだろうかなんて思いながら私は考えていた事をそのままポロッと零してしまった
「銀時、高杉に嫌われちゃったよ私」
「あ?」
「銀時はいいなぁ、昔から変わらない、私の好きな銀時のままだ」
自分でも何を言ったのか覚えてないが銀時の表情を見るとなにやらとんでもない事を零してしまったようだ、銀時は目を見開いたまま口をポカーンと開けている、素敵なアホ面だ
しかし私が何度もゆっくり瞬きをしているのを見て眠たいのを察したのか銀時は溜め息をついた後項垂れて私の額をデコピンしてきた、銀時の爪が少し長いせいか軽い物だが鋭い痛みが額を走った
お陰で少し眠気は覚めたが数分もすればまた元に戻るだろう、片手で額を摩りながら閉じようとする目をパチパチと動かして眠気を誤魔化す
「その様子じゃ確実に途中で寝挫けるだろ、おぶってやるよ」
不意に銀時がそう言って私の前で背中を向けてしゃがんだ、男性特有の広い背中が目の前にある、私は特に何も考えず銀時の言う通りにする事にした、広い背中にもたれるように倒れ込む
重いだろうなぁなんて思いながら頬に当たる銀時のフワフワ天然パーマがくすぐったく感じて、顔を動かし銀時の肩に頬をつける事にした
銀時が立ち上がり、少し浮遊感を感じた後銀時がゆっくりと一歩一歩動き出したので、身体が揺さぶられる、それが何だか心地よくて私は思わず瞼を閉じた
案の定眠ってしまい、次に目を開けたのは人通りが多い商店街の真ん中だった、あれから何分くらい経ったのか気になる所だが、何故私は銀時におんぶされているのだろうか、眠りにつく前の記憶があやふやだ
「ぎ……銀時」
「ん?起きたか」
恐る恐る銀時に声をかけると銀時は歩みを止めた、慌てる私を他所に銀時はもう少しこのままでいろと言い残して止めていた足を動かした、銀時のこの様子からすると酔った勢いで私が無理矢理おんぶさせた訳ではない様だ
それにしても銀時に申し訳ない事にしてしまっていると思いながらも、今降ろされても真っ直ぐ歩けるか自信の無い自分が情けない
「銀時すまん……」
自分に対して呆れた溜め息をつきながら私は銀時に対して謝罪をした、だが銀時は特に何も言わず歩き続けている、聞こえなかったのかと一瞬不安になり、もう一度謝ろうとした時銀時が口を開いた
「別に花無為一人くらいどうって事ねぇよ、ただお前前より重くなったか?太った?」
「違うわバカッ!!筋肉だわ!!」
銀時が茶化したようにニヤけながらそう言ってきたので思わず銀時の背中の上で暴れながら文句を言うと銀時はバランスを崩しそうになったのか慌てた様に声を上げた、それと同時に背中に乗っている私も揺れるが気にしなかった、安定した後銀時が私に対して怒鳴ったが気に止めず口を紡いで無視を突き通した
「ったく……歩けそうになったら言えよ」
「もちろんそのつもりだ」
そうは言われたものの、なんだかんだ言って結局銀時は屯所から数メートルくらいしか離れてない所でしか降ろしてくれなかった、私が何度も一人で大丈夫だと訴えても何かと理由をつけて降ろそうとしなかった、しかし銀時のお陰で私の体内のアルコール分は分解された様で、ほとんど素面の状態になった
流石にほろ酔い状態で屯所に戻るのも気が引けたので、ある意味銀時に感謝をする事にした、しかし人通りが多い商店街で沢山の視線に串刺しにされたのは許し難い
「もう大丈夫みたいだな」
「お陰様でな、感謝する」
凝ったのか肩をグリグリと回しながら私に言う銀時に対してペコリと私の軽い頭を下げてお礼を言う、いくら親しい仲でも礼儀だけは忘れてはいけない、しかし相手は銀時だ多少無礼でも気付かないだろうが、一応筋は通しておく
銀時がフッと微笑んだ後、少し考える素振りを見せた、少々わざとらしく唸り声を上げた後私に向かって掌を向けてきた、私はこの後銀時が何を言うか容易に想像できた、わざとらしい声、ニヤリと上げられた口角、きっとこの後何か頼み事をしてくるだろう
「今回の件は貸しな、今度何か奢れよ」
ほらやっぱり、銀時はニヤニヤとした笑みを浮かべて私に言った、思わず溜め息をつくが貸しは貸しだ、私は銀時の掌に自分の手を重ねてグッと握った、すると銀時はニヤニヤとした笑みをやめて口角だけ上げた後私の手を握り返した
「交渉成立って事でいいか花無為?」
「ああ、仕方ないが貸しは貸しだ、借りたモノは返さないとな」
銀時とそう言い合い私達はそのまま別々の方向へ歩き出した、予定はまた後々決めるとして、私は今後銀時をどこに連れて行こうかとか予算はどうしようかなど考えていた