後悔先に立たず
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※男主注意
俺は出来ない兄だったと思う、弟と妹達を守るためとは言え、仕事しかしてこなかった
そのせいもあってか俺は弟と妹達を怒った事は一度もなかった、どんなに悪い事をしてもだ
そのせいか俺の弟……シーザーは不良になってしまった、貧民街で暮らすようになってからずっとだ、家に帰ってこない日も、服に血が付いていることもあった
そんな犯罪を犯し続けている弟に俺は黙っていつ帰って来てもいいように夜中まで起きていたり、何も言わずに服を洗ったりしていた
そんな情けない兄を見るシーザーの目は、どこか他人を見ているようにも見えて、なんだか悲しくなった事は何度もある
「シーザー……たまには早く帰って来いよ、妹達も心配している」
「…………」
「知ってるか?またアイツら背が伸びたんだぞ?こんなにも成長が早いとはな……もちろんお前も立派に成長したな、身長なんて俺と同じか……いや、抜かされてるか……」
「…………」
「……シーザー……父さんは俺が必ず探す、父さんが戻った時は思いっ切り殴ってやろうぜ、そしてまた……昔みたいに…………」
「俺はアイツを殺す、それにしばらくは帰らねぇ、こんな所にいたら俺はいつか腑抜けになっちまいそうだからな」
「そう……か……また帰ってくる日になったらお前の好きなビーフストロガノフでも作ってやるから、連絡……」
俺が最後まで話す前にシーザーは出て行った、そんなシーザーの背中を俺は何も言わずに見送り、今うちに明日の朝飯の準備でもしようかと考えながら椅子に凭れた
シーザーが連絡もしないで帰ってきたのはその次の日だった
いつものように妹達が寝静まった後、仕事の片付けや服を縫ったりしていると玄関の方で少し大きめの音が聞こえた
泥棒かもしれないと警戒して、護身用に忍ばせておいた小さなナイフを片手に持ちながら玄関を少し開けようとした時
「兄さん!!兄さん!!」
と聞き覚えのある声から発せられる懐かしい言葉が聞こえ、俺は瞬時に扉を開けた
すると、何かあったのか酷く動揺しているシーザーが地面に膝をつけながら座っていた
俺はそんなシーザーを見て只事ではない何かが起きたと直感してすぐさまシーザーを家に入れた
「何があった……とりあえず落ち着くんだシーザー」
「分からない……分からないんだ兄さん!!お……俺は……と……父さんを見付けたんだ!!」
「なんだと!?父さんがここに!?」
飲み物を渡しながらシーザーの背中を撫で、落ち着かせて何があった聞いてみるとシーザーの口から"父さん"と言う単語が出てきた
そんなシーザーの言葉に驚いた俺はシーザーの口調が少し昔に戻っている事に気が付かなかった
シーザーは片目を押さえながら何があったのか話してくれた
「あ……ああ……でも……でも父さんは……俺のせいで……ッ!!……俺は今まで何て事をッ……」
「父さんに……何かあったのか?」
「……兄さん……父さんは……父さんは俺達を見捨てたんじゃない!!俺達を守ろうとしてたんだ!!あの壁の奴らから!!」
「壁……?」
シーザーの言っている事は良く分からないが、俺達の父親がなにを思って家を出たのかはなんとなく分かった
むしろ、少し前から俺は父親は俺達から距離を取ったのはなにか理由がある物だとなんとなく思っていた
シーザーは俺の腕に必死に縋るように掴みながら父親に何があったのか話し出した
「父さんは……俺を守ろうとして……俺を庇って死んだんだ!!壁に呑まれていったんだ!!」
「壁に……?壁になにかあるのか?」
「分からない……壁には三人の男の彫刻しかなかった……一人にはダイヤが埋められていて……俺は思わずそれに触った……でも、それが罠だったんだ!!触った瞬間変なロープみたいな物が出てきて……そんな俺を父さんは庇って……俺が自分の息子だとも知らずに……父さんは見ず知らずの青年も救う優しく誇り高い人だったんだ……!!それなのに……俺は……」
「……シーザー……」
俺はシーザーが言っている事があまりに突飛で奇妙過ぎて信じられなかったが、コイツは……シーザーは嘘はつかない事は知っていたのでシーザーの言う事を信じる事にした
そしてシーザーが言うベネツィアに向かう事になった、妹達は置いて来てしまったが頼れる知り合いになにかあったら頼むと言っておいたのできっと大丈夫だろう
ベネツィア行きの列車にシーザーと乗りながら俺はシーザーの顔を見てみた、不良をやっていた時より少し目元が下がっている気がした
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俺は出来ない兄だったと思う、弟と妹達を守るためとは言え、仕事しかしてこなかった
そのせいもあってか俺は弟と妹達を怒った事は一度もなかった、どんなに悪い事をしてもだ
そのせいか俺の弟……シーザーは不良になってしまった、貧民街で暮らすようになってからずっとだ、家に帰ってこない日も、服に血が付いていることもあった
そんな犯罪を犯し続けている弟に俺は黙っていつ帰って来てもいいように夜中まで起きていたり、何も言わずに服を洗ったりしていた
そんな情けない兄を見るシーザーの目は、どこか他人を見ているようにも見えて、なんだか悲しくなった事は何度もある
「シーザー……たまには早く帰って来いよ、妹達も心配している」
「…………」
「知ってるか?またアイツら背が伸びたんだぞ?こんなにも成長が早いとはな……もちろんお前も立派に成長したな、身長なんて俺と同じか……いや、抜かされてるか……」
「…………」
「……シーザー……父さんは俺が必ず探す、父さんが戻った時は思いっ切り殴ってやろうぜ、そしてまた……昔みたいに…………」
「俺はアイツを殺す、それにしばらくは帰らねぇ、こんな所にいたら俺はいつか腑抜けになっちまいそうだからな」
「そう……か……また帰ってくる日になったらお前の好きなビーフストロガノフでも作ってやるから、連絡……」
俺が最後まで話す前にシーザーは出て行った、そんなシーザーの背中を俺は何も言わずに見送り、今うちに明日の朝飯の準備でもしようかと考えながら椅子に凭れた
シーザーが連絡もしないで帰ってきたのはその次の日だった
いつものように妹達が寝静まった後、仕事の片付けや服を縫ったりしていると玄関の方で少し大きめの音が聞こえた
泥棒かもしれないと警戒して、護身用に忍ばせておいた小さなナイフを片手に持ちながら玄関を少し開けようとした時
「兄さん!!兄さん!!」
と聞き覚えのある声から発せられる懐かしい言葉が聞こえ、俺は瞬時に扉を開けた
すると、何かあったのか酷く動揺しているシーザーが地面に膝をつけながら座っていた
俺はそんなシーザーを見て只事ではない何かが起きたと直感してすぐさまシーザーを家に入れた
「何があった……とりあえず落ち着くんだシーザー」
「分からない……分からないんだ兄さん!!お……俺は……と……父さんを見付けたんだ!!」
「なんだと!?父さんがここに!?」
飲み物を渡しながらシーザーの背中を撫で、落ち着かせて何があった聞いてみるとシーザーの口から"父さん"と言う単語が出てきた
そんなシーザーの言葉に驚いた俺はシーザーの口調が少し昔に戻っている事に気が付かなかった
シーザーは片目を押さえながら何があったのか話してくれた
「あ……ああ……でも……でも父さんは……俺のせいで……ッ!!……俺は今まで何て事をッ……」
「父さんに……何かあったのか?」
「……兄さん……父さんは……父さんは俺達を見捨てたんじゃない!!俺達を守ろうとしてたんだ!!あの壁の奴らから!!」
「壁……?」
シーザーの言っている事は良く分からないが、俺達の父親がなにを思って家を出たのかはなんとなく分かった
むしろ、少し前から俺は父親は俺達から距離を取ったのはなにか理由がある物だとなんとなく思っていた
シーザーは俺の腕に必死に縋るように掴みながら父親に何があったのか話し出した
「父さんは……俺を守ろうとして……俺を庇って死んだんだ!!壁に呑まれていったんだ!!」
「壁に……?壁になにかあるのか?」
「分からない……壁には三人の男の彫刻しかなかった……一人にはダイヤが埋められていて……俺は思わずそれに触った……でも、それが罠だったんだ!!触った瞬間変なロープみたいな物が出てきて……そんな俺を父さんは庇って……俺が自分の息子だとも知らずに……父さんは見ず知らずの青年も救う優しく誇り高い人だったんだ……!!それなのに……俺は……」
「……シーザー……」
俺はシーザーが言っている事があまりに突飛で奇妙過ぎて信じられなかったが、コイツは……シーザーは嘘はつかない事は知っていたのでシーザーの言う事を信じる事にした
そしてシーザーが言うベネツィアに向かう事になった、妹達は置いて来てしまったが頼れる知り合いになにかあったら頼むと言っておいたのできっと大丈夫だろう
ベネツィア行きの列車にシーザーと乗りながら俺はシーザーの顔を見てみた、不良をやっていた時より少し目元が下がっている気がした
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