第四訓
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桂の拠点から浪士と思われる人物を三人確保した様だがどうやらまだ有力な情報が取れてないようだ、尋問と言うか事情聴取と言うか……とにかくそんな事をやっている副長に私は飲み物を渡しに行く事になった
副長ならすぐにでも情報を吐かせるのだがどうやら浪士達が普通の一般人だと言う可能性が出てきたようであまり派手に動けないようだ
きっと副長はそんな鬱憤が溜まっていて機嫌が悪くなってしまうだろうと言う事で飲み物を渡しに行くのだ
「花無為さんどうしたんですかィ?アンタお茶よりコーヒー派ですよね?」
「ああ、これは副長とついでにこの間の桂の事件から捕まえた奴らの分だ、と言うか私はコーヒー以外にもちゃんと飲むからな」
急須に茶葉を入れて四人分の湯呑みに注いでいると廊下を通りかかった沖田が声をかけてきた、そんな沖田にそのまま動かずに答える
すると沖田はヒョイと湯呑みを一つ盆から取り上げてそのまま廊下へ戻って行った、お茶を一つパクられたと気が付く時には沖田はもう廊下にはいなかったので、私は溜め息をついてもう一度お茶を注ぎ直した
盆に四人分の湯呑みを乗せたまま廊下を歩き取り調べ室へ向かう、時々部屋の方から聞こえる怒鳴り声はきっと副長と奴らだろう
かなり大きな声が聞こえてくるが両方共大丈夫だろうかと心配になる、なんでも大人一人と年が若い少年と少女らしいが、副長が無駄に圧をかけていないだろうか
それにしても、ヅラも若い子に容赦ないな……なんて思っていると取り調べ室の前まで来てしまった、今度はハッキリと聞こえてくる怒鳴り声に思わずまた溜め息をつきながら扉を二回程ノックする
「なんだァ?」
明らかに怒ったような副長の声が聞こえてきたが私はそのまま扉を開けずに答える事にした
「お茶を持ってきましたぁ、開けてくださいよ副長、今両手塞がってて……」
そこまで言うと曇りガラスの向こう側の副長が扉に近付きドアノブを捻った、少し鈍い音を立てながら開いた隙間から部屋に入り、盆ごと目の前にあった机に置いた
ふと顔を上げると予想もしてなかった人物が二人、視界に入ってきた
一人は最近出会った真っ赤なチャイナ服を着た神楽、そしてもう一人は服装こそ変わってはいるものの顔に見覚えがある人物だった
銀髪の天然パーマで以前より輝きを失った死んだ魚のような目……服装が変わっても、髪型が若干変わっていても、目が変わっていても私にはソイツが誰だかすぐに理解した
どうやら向こうも私に気が付いた様で大きな音を立てて勢い良くパイプ椅子から立ち上がり、珍しく見開いた目で私を見ていた、小豆色の瞳がよく見える
「……か……花無為……?」
ゆっくりと絞り出されたその声は私の鼓膜をゆっくりと震わせて、目の前にいる人物が白昼夢でも幻覚でもない事を教える
知り合いかと聞いてくる副長の声が背後から聞こえたが副長の声はどこか遠くにあって、私には届かなかった、今は目の前の人物に意識が集中しているからだろう
私は震える唇を必死に動かしてソイツと同じように声を絞り出した、一気に喉が渇いた気がしたが私の声はしっかりと出された
「ぎ……銀、時……か……?」
私がそう言うと同時に銀時の小豆色の瞳は一回り小さくなった、そんな銀時の瞳に反射している私の姿はとても動揺していて
久しぶりの再会、とは言ってもドラマなどで見る感動の再会とは程遠い物だった