真選組上京
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チュンチュン……と元気に鳴くスズメの声が聞こえて意識が覚醒した、視界には見慣れない天井が広がり、襖の隙間から日光が射し込み微睡んでいる意識を刺激する
どうやら人は死んだら布団の中に還る様で、死んだ筈の私の体は布団の中で丁寧に寝ていた
もしかすると全てが嘘だったのかもしれない……この後きっといつものように桂が私を起こしに来ていつも通りの日常が戻ってくるのだろう……
「痛い……」
そんな淡い期待も左足の痛みや全身に感じる鈍痛によって全て打ち消された、私は確かに天人の船に乗り込んで、そこから飛び降りたのだ
しかし何故私はこうして痛みを感じる事が出来ているのか、あの高さから落ちて生きれるなんて運が味方してくれたか生命力の問題か……
ゆっくりと身体を起こすと全身の鈍痛が増すと共に嫌な気怠げさを感じた、長時間睡眠をした時の様な身体の怠さだ、どうやら私はしばらくの間寝たきりだったようだ
小さく溜め息をついてしまった時、襖の向こうから廊下を歩く音が聞こえてきた、天人かと思い警戒から身構えたが歩き方は人間だったので警戒を少し弛めた
スーッと静かに襖が開き、日光が容赦なく射し込んでくる、眩しさから思わず目を細めて見上げるとそこには高めに髪の毛を結った男の人が立っていた
「……目が覚めたか」
「あの……これは……」
「お前が空から船の残骸と一緒に落ちてきてうちの道場の近くの川に着水したんだ……詳しい事はもう一人連れてくるから待ってろ」
「えっ!?着水ッ……あ、ちょっと待って!!」
男の人は淡々と私に説明してから私の静止の言葉も聞かずに足早に廊下を進んで行ってしまった
ポカンとしながら男の人から聞いた情報を必死に整理する、"着水した"と言っていたのできっと私が生きているのは落ちたのが水場で、更に船の残骸が緩衝材代わりになったからだろう
一つ謎が解けたなんて呑気な事を思っている場合ではない、手当もしてくれて助けてくれたのはありがたいがここがどこなのか私は一刻も早く知りたかった
男の人が待っていろと言ったが私は布団を退けて床や壁を使って立ち上がり襖を開けた、目の前には広めの敷地があり、先程の男の人が道場と言っていたのを思い出した
一体なんの道場なのかと疑問に思い、キョロキョロと辺りを見渡していると廊下の奥の方から二人分の足音が聞こえてきた
「戻って来た!!」
咄嗟の事で冷静さを失った私は慌てて布団に戻る事にしたが、足がもつれてしまいバランスを崩してしまった
しばらく寝たきりだったからか簡単に倒れる身体、倒れる訳にはいかないと私は身体を支えようとしたが、咄嗟の事だったのであろう事か折れている左足で全体重を支えてしまった
人生初めの一歩が一番肝心だと言うのがよく分かる
「はぁあぁぁああぁぁあッッ!!!?」
激痛の末、思わず変な叫び声を上げながら私は再び倒れそうになった、だが私はせめて一歩でも布団に近付こうと思い、激痛でクラクラと目眩がする視界の中、身体を布団に向けて倒れようとした
ボスンッと私の予想では布団に着地する筈だったが、勢いが足りなかった様で私は勢い良く顔面から畳に倒れ込んでしまった、ビタンッと嫌な音が部屋に響いた
「ーーーーーッッッ!!!?」
最早叫び声も上げられずただただ全身の痛み、顔面と左足の激痛に悶えていると、涙で霞む視界にさっきの男の人ともう一人若干年上の様に見える男の人が驚いたような呆れた表情でこちらを見下ろしていたのが見えた
高めに髪の毛を結った男の人が連れてくると言っていたのがこの人なのだろう