第二十八訓
name changes
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
とある攘夷浪士を見かけたとの通報を受け、かぶき町の繁華街へとやってきた私と副長、丁度見回りの最中に通報が入り局長命令で私達が第一線に駆り出されたのだ、なのでこのまま他の隊士が到着しないうちに攘夷浪士に動きがあると私達だけで対処をしないといけないのだ、正直な所面倒なのでこのまま動く事がない事を祈っている
今は副長が攘夷浪士が入ったとされる建物を外の目立たない場所で見張っており、私はパトカーの中で待ちぼうけを食らっている状態なのだが退屈で仕方ない、時々入る無線はこの場所に向かう途中渋滞にハマったとか、道が狭すぎてなかなか良いポジションにパトカーを配置できないなど、ネガティヴな情報ばかりで思わず溜め息をついてしまう、このまま本当に私と副長だけで対処をする事になったらどうしようかと思うばかりだ
私が四、五回目のためをついた時、慌てた様子で建物の死角から副長が出てきたのでパトカーの鍵を開け、更には窓も開けて副長に声をかけた
「どうしたんですか?」
「静かにしろ……気付かれたかもしれねぇ……」
「えっ」
副長は少し小さめの声で私にそう言ってから身を隠すようにパトカーの中に入ってきた、余談だが今は私が運転席にいるので副長は助手席に座っている、いつもの見回りは副長にばかり運転を任せているので少し新鮮に感じるが、今はそんなことは関係ないので深く考えない事にした
隣で無線を使い全員に慎重に動くように伝えている副長の声を聞きながら今度は私が建物の方向や路地裏を注意深く観察する事にした、攘夷浪士が建物から出て行くとしたらどんな経路を使うのかも頭に入れじっと待つ
元々待つと言う事は苦ではないのでただじっと待っている私だが、隣の副長はイライラしてきたようでいつもより乱暴な手つきでタバコに火をつけた、煙が至近距離から漂ってきて思わずむせそうになったが我慢して窓を開けるだけにした
できるだけ窓に近付き新鮮な清い空気を吸っていると見張っている建物の方向から物音が聞こえた気がした、副長にそのことを伝えようとした瞬間、タイヤが擦れているような大きな音を立てて建物の方向から一台の車が飛び出してきた、よく見ると相当無理をしたのか車のボディには擦った跡が無数あった
「花無為ッ‼︎」
副長の焦った声が聞こえ、反射的にパトカーのギアをチェンジしてアクセルを力一杯踏みつけた、無理な急発進にタイヤが擦れる甲高い嫌な音がしたが関係ない、目の前の攘夷浪士達の車を追う事に集中する事にした
副長は片方の手でタバコの火を消し、パトカーのサイレンをつけた後もう片方の手で無線を使いすぐさま全員にこの事を伝え始めた
「お前ら‼︎奴らは車を使って逃げた‼︎今俺達で追いかけているが……ッ⁉︎うおッ⁉︎」
副長が無線で話している間攘夷浪士達の車が方向転換をして左に曲がったので私もすかさずハンドルを切った、しかし思ったより車体が揺れ副長は驚いたような声を上げ、慌てたようにシートベルトを締めた
私は気にせず相手を追う事に全力を注ぐ、一般道に出たが向こうが一向にスピードを落とそうとしないので私も落とさない事にした、幸い車通りが少ないので反対車線も使いながら一般車両を避け追いかける
「花無為!!ちょっ!?危っ!?」
「大丈夫ですって‼︎安心してください‼︎」
「安心できるかぁぁぁッ‼︎」
副長が顔を真っ青にしながら何かを言うが私は気にせずアクセル全開で追いかける、チラリと速度メーターを見ると六十キロは優に超えていたがこの際交通ルールなんて関係ない今は攘夷浪士を捕まえる事が大切だ、後ろの方で一般車両が急ブレーキをかける音が響いていたが私は気にせず運転に集中し続けた
副長がついにシートベルトを握り締め始めた時、ようやく攘夷浪士の車に追いついたのでそのまま威嚇するように車を追突させ、スピーカーを使い攘夷浪士達に叫んだ
「いい加減諦めろォ‼︎」
そう叫ぶと無線スピーカーがハウリングを起こし周囲に嫌な音が鳴り響いた、それに驚いたのか攘夷浪士の車がまた息を吹き返したように急発進した、そのままUターンをして私達から遠退いて行くので私も負けじと車を発進させる
Uターンをしてすぐに攘夷浪士の車は右折をしたのでそのままの勢いで私も曲がる事にした、それを事前に副長に伝えるとますます顔を青くしてそれだけはやめろと騒ぎ出した
ギャンギャン叫ぶ副長を黙らせるためにも、追いつくためにもやるしかないと思い、私はハンドルを強めに握った、タイヤが擦れ焦げ臭い臭いがして遠心力で体が傾き気分が多少悪くなる
「やめろやめろやめろ!!花無為ィィ!!」
「行きますよ!!副長!!気張ってください!!」
明らかにパトカーの車幅では通過できそうにない通路に突っ込む攘夷浪士の車を追い掛ける為に無理を承知でアクセルを踏んだ、隣で真っ青だった副長の顔がどんどん青くなる、騒ぐ副長の声を遮るように声を出した瞬間、パトカーが擦れる激しい音がした
窓からは車体と壁が擦り合って嫌な音と共に摩擦で火花が散っている様子が見えるが気にしない、ここで止まったら恐らくこのパトカーは引っ掛かって動けなくなってしまうだろう、助手席側が完全に浮いてしまい傾いているが私がいる運転席側のタイヤは地面に着いているので大丈夫だ
副長はもはや声も上げられない状態でただただ冷や汗をかきながら正面と私を交互に見ている、シートベルトを握り締めていた手はいつの間にか窓上のアシストグリップを握り締めている
「通路に抜けます、多分激しい衝撃がくると思うので口閉じててください、舌噛みますよ副長」
「あ……あぁ……」
攘夷浪士の車の向こう側から外の景色が見えてきたので副長にそう伝えると副長は静かに返事をした、もう私を止める気力は無いようだ、私はそんな副長を他所に少しでも衝撃を和らげるために少しだけアクセルを緩めた
だがそんな私の気遣いも虚しく、車体が通路から外に出た瞬間、大きな音を立てて激しく上下に揺れた、当然車内もかなり揺れる、隣で副長が天井に頭を打ち付けていたが気にせずまたアクセルを踏んだ
