第十九訓
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「あ、何食べてんだ花無為コラ」
キャンディを舐めていたのがバレてしまい、銀時に頭を軽く叩かれたが、私はキャンディを舐め続けた、そんな私に銀時は小さく溜め息をつき、そのまま隣に置いておいた袋を取り返してお登勢さんに一言言ってから扉に手をかけた
どうやら帰る気でいたらしいがお登勢さんが銀時を呼び止めた、どうしたのかと思い思わず振り向くとお登勢さんはタバコを吸いながら私を指さして銀時に向かって
「折角なんだから送って行きなよ、私はもう充分話したしねぇ」
とゆったりとした口調でそう言った、銀時はそんなお登勢さんの言葉を聞いて頭を掻きながら面倒臭いと一言言ったが私の方をチラリと見てから深く溜め息をついた
さっきから溜め息をついてばかりだなと思いながらも、私は大丈夫だとお登勢さんに言ったがお登勢さんは首を振って今度は銀時に強く送って行くようにと言った
「じゃあちょっと待ってろ、これ置いて来るから」
「えっ!?いや本当に大丈夫……」
「アンタも頑固だねぇ、ここは年寄りの言う事を聞くもんだよ」
銀時は仕方ないと言った口調でそう言って私の静止の言葉も聞かずに店を出て行ってしまった、そんな銀時の背中を見つめながらお登勢さんは私の頭に手を置いてそう言った、なんだか申し訳ないがここで断るのもまた失礼だ
静かに銀時を待つ事にして私はまたソファーに座った、そんな私を見てクスリとお登勢さんは笑い、最後に一杯とお酒の入ったお猪口を差し出した
お登勢さんと乾杯をしてグイッとそれを飲み干すとやはり喉が熱くなった、先程からそれなりの量を飲んでいるので正直思考がフワフワとしているがまだ大丈夫だろう、お登勢さんにもう一度しっかりとお礼を言うと丁度良いタイミングで銀時が帰ってきたので、そのままの流れで銀時と屯所に帰る事にした
「銀時、お登勢さんは良い人だな」
銀時の隣を歩きながら先程のお登勢さんの事を話すと銀時は一瞬私の方を見て気まずそうに頭を掻き唸り声をあげた、例えるなら自分の母親が褒められた時の思春期の男子のような反応だ
なんだかそれが面白くて口角が上がってしまうが銀時にバレると後が面倒なので気付かれないように口元を隠した、銀時はまだキョロキョロと視線を泳がせている、あの唸り声で返事をした気になっているようだ
「なんだ、恥ずかしいのか?」
思わずそうツッコミを入れて銀時の脇を肘で小突く、どうやら動いた事で酔いが回ってきたらしいポワポワとした感覚が頭を包み、気分が向上してくる
「うるせぇ酔っ払い」
「誰が酔っ払いだコラァ」
「めんどくせっ!!」
銀時は初めは笑いながら返事をしてきたが酔いが回った頭で返事をすると心底嫌そうな顔をして私に言い放ってきた、その銀時の態度に少し腹が立ち歯をギリッと噛み締めた
普段はお酒は強い方だがどうやら飲んですぐに歩いたため酔いが回ったらしい、銀時はその事に気付いたらしく変に熱を持ち始めた私の腕をガシッと掴んで真っ直ぐ立たせた、銀時に礼を言いつつ定まらなくなってきた視界に気付いて少し座りたいと銀時に伝えた、銀時はやれやれと言った表情をして周辺を見渡し始めた
「あそこまで行けそうか?」
「んー……多分」
銀時が指差した方向を見つめ今の状態と比べると恐らく行けそうだ、私の思考回路が正常であればの話だが、銀時がゆっくりと歩き始めたのでそれに合わせて足を動かす
昼間から酔っ払ってるので周りの人からは今の私はまるでダメな女なマダオに見えているのだろうか、しかしそんな事どうでもいいとも思ってしまう程酔いが回ってきた
「ほら、座れ」
「んー、悪い……」
銀時に支えてもらいながら歩き、近くにあったベンチ倒れ込むように座った、かなり酔いが回ってきたようだクルクルと視界が回るような感覚がして頭がボーッとしてくる、顔がやたらと熱いので今の私は顔が真っ赤になっているだろう
ふと気が付くと銀時が見当たらない、グルリと周りを見渡しても酔いが回っている視界ではどうにも上手く焦点が定まらない、とりあえず落ち着こうと目を瞑って空を仰ぐ
風が吹くと熱を持っていた頬が冷やされていく、心地良くて思わず眠気が襲ってくる、このまま寝てしまおうかと思った時急に風とは違うとても冷たい感覚が頬を襲ってきた
「水飲め、ほら」
「ん、ありがと……んん」
目を開けると呆れ顔の銀時が私の頬にミネラルウォーターをピッタリとくっつけていた、ボーッとする頭でそれを確認してモタモタとミネラルウォーターを受け取って礼を言う
一口飲むと霞みがかっていた頭が少し晴れた、溜め息をついて開いたままの飲み口を眺める、銀時は面倒くさそうに私の隣に座った、申し訳なくなってくるが酔ってしまったものは仕方ない
酔いが回って少しだけ眠くなってきたが、銀時にこれ以上迷惑をかけたくないのでこの事は秘密にしておく事にした