第十四訓
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高杉との一件の傷も抜糸し終わり完全に塞がってからしばらく経ったがあの祭りから目立った事件はなく、しばらくつまらない日常を送っていた
始末書などの書類は大方片付いていて最近の仕事と言えば自主鍛錬や見回りなどに限定されて非常に退屈だが、この退屈のお陰で江戸は平和だと言う事だ
それでもやはりつまらない物はつまらないので私はボーッと部屋で寝そべって暇を潰していた、今日は見回りも終わっているので後は寝るだけだが現時間が昼過ぎなのが辛い
寝ていた身体を起こし昨晩途中まで読んでいた本でも読もうかと思い栞の部分を開くが、身体が疲れているのか全く内容が入ってこない、やはり寝た方がいいのかもしれない昼過ぎだがこの際関係ない
そう思い本を閉じて布団を敷き始める枕を押入れの中から取り出し布団の上に適当に乗せた、後は服を着流しに変えるだけだ、そう思い上着を脱いだ瞬間
「花無為、開けるぞ」
と副長の声がした、いきなりの事で思わず返事をしてしまいそのまま襖が開かれた、襖から現れた副長の顔は一度私の格好を見て疑問に思った様に首を倒したが下に敷いてある布団を見て副長の顔から表情が消えた
とても恥ずかしい、昼から布団を敷き意気揚々と上着を脱いでいる姿を見られると言うのはこれ程までに羞恥心を煽るものなのか
「お前……何してんだ?」
「誤解です、寝てたんじゃないです、今から寝ようとしてたんです」
戸惑いながらも声を掛けてきた副長を思わず軽く睨みながら誤解を解こうとしたが焦りすぎて逆に怒られるような事を言ってしまった、そんな私を副長は溜め息をつくだけで済ましてくれた、きっと少しはこの状況を理解してくれたのだろう
「まあ……とにかくだ、お前もう傷は大丈夫なのか?」
私の部屋に入り無造作に置いていた枕を手に取りながら話し始めた副長の言葉に対して私は少し疑問に思ったが、肩を回して元気な事をアピールしつつ返事をした
「そうか……なら、俺の鍛錬に付き合ってくれ、近藤さんか総悟以外にお前しか釣り合う奴がいねぇ、それに花無為もそろそろ感覚を取り戻さねぇとな」
「えぇ……」
「手伝うなら今日の晩飯奢ってやる」
「……仕方ないですね……」
じゃあ早く支度しろと言って枕を私に投げながら副長は出て行った、ある意味仕事が入り暇が潰れたがこんな時に入るのなら少しだけ仮眠を取らせて欲しかったなんて思いながら副長から受け取った枕をまた適当に布団の上に乗せた、思わず布団に飛び込みたくなったのは言うまでもないがそこは私の理性が押さえ込んだ
それにしてもなんでまた鍛錬なんかを副長がするのだろうか、そんな事をしなくてもあの人は充分強いのに、まあ日々の鍛錬を怠らないと言う侍らしい考えがあの人にはあるのだろう
そう思いながら道場に入ると、副長は木刀を私に投げ渡して、好きなように打って来いと言ってきたので、軽く準備運動をしてからそのまま副長の胴を目掛けて木刀を振るった
「ったく、テメェはいつもいつも俺の胴狙ってきやがって」
「えー、そんな事ないですよ」
「あるわ!!初めて組んだ時も顔面狙ってくると見せかけて腹狙ってきたじゃねぇか!!」
「じゃあ顔面狙います」
副長と木刀を振るい合いながらそう会話をして、私は言った通り副長の顔面を狙って木刀を振り下ろした、副長は慌てながらも木刀を横にして私の攻撃を防いだ
そのまま私の木刀を横にずらして副長は私の足目掛けて木刀を横に振ってきたので、それをジャンプして避けた、随分と前副長と一戦した時は着地に失敗したが今は足に関しては絶好調な状態なので何事もなく無事に着地した
しかし着地した瞬間に副長は私の頭上目掛けて木刀を振り下ろした、それを横に倒れ込むようにして避ける、しかしやはり人間は突然の事に本気の力を出せないようで私は足がもつれてしまい、副長の追撃を避ける事が出来なかった
副長の木刀は私の目の前で止まっていて、木刀の向こうには勝ち誇った様に口角を上げた副長がいた
「腕が落ちたんじゃないのか?花無為」
「……もう一回やりませんか?」
副長の言葉に思わずムッとしてしまい、副長の木刀を手で退かしながらそう言うと副長は更に勝ち誇った様な顔をした
「俺の鍛錬にそこまで付き合ってくれるなんてな」
そんな事を言った副長がなんとなく気に食わなくて、私は副長に向かって木刀を振るった、驚いたような声を上げて副長は私の木刀を止める
文句を言われる前にバシバシと木刀を叩き込むと、少しは気が晴れたような気がした、相変わらず私は性格がねじ曲がってるのかも知れない