第十三訓
name changes
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正直帰りたかったが意を決して店に入ると店のオーナーのような人が銀時に誰を指名するか聞いていた、銀時は慣れたように指名したい子の名前を呼んだがガヤガヤとしている店内の音で誰を指名したかは分からない
ポカンと店の出入口付近に立ち尽くしていると銀時が私の手を引いて席に向かって行った、私は何度も帰ろうと言ったが銀時は全く聞く耳を持たない
あっと言う間に席に座らせられ思わず怒鳴ってやろうかと思ったがここは店内だ迷惑をかけてはいけないのでグッと堪える、そんな事をしているうちに銀時が指名した女性が私と銀時の間に座った
「あれ……花無為さん?」
以前聞いた事のある声が聞こえ私はおもわず俯いていた顔を上げた、茶色の髪にポニーテールがよく似合うこの女性はそう確か新八の姉の……
「お妙さん……?」
驚きながら名前を呼ぶとお妙さんはあの時の礼を言ってきた、それを聞いて銀時が知り合いだったのかと聞いてきたがそれ以前にお妙さんの様な人がスナックで働いているなんてと驚きを隠せなかった
確かにお妙さんは可愛らしいしどちらかと言えば可憐で女性の人気者だろう、しかしだから心配なのだ、きっとこの間のような輩がいるかもしれないのだから
固まってしまっている私を不思議そうに見つめるお妙さんから銀時がとりあえず物を注文するためにメニューを見始めた
「花無為、何頼む?」
「……」
「花無為?」
「あ……ああ、こんな時間の酒は気が引けるからな、とりあえず柚子ソーダで」
「んじゃあ、俺はいちごオレにするか、お妙それで頼むわ」
銀時が声をかけてきたので慌てて意識を元に戻してメニューを眺める、高級感溢れるデザインで書かれたメニュー版だ
とりあえず炭酸系を飲みたかったので柚子ソーダを頼むと銀時もアルコールはやめてソフトドリンクにした、それをお妙さんに伝えたのだが
「分かりました、柚子ソーダとドンペリですね」
と笑顔でお妙さんは注文の商品を復唱したが明らかにおかしな単語が飛び交った、ドンペリと言う単語が
そんなお妙さんに銀時は頬を引き攣らせてドンペリだけはやめろと言ったがお妙さんの耳にはいちごオレがドンペリに変換されるようだ
何回かのやり取りの後結局銀時はソフトドリンクの中でも一番高い物を頼む事になった
初めはお妙さんがここで働いているのが心配だったがどうやら私が心配する程の事ではなかったようで安心した
頼んだ物が来るまで私とお妙さんは銀時に知り合った時の事を簡単に説明した、それを聞いて銀時はいずれ紹介するつもりだったので手間が省けたとボヤいていた
スナックすまいるの柚子ソーダはなかなか美味しく結局私はおかわりを頼んでしまった、銀時も頼んだ物は美味しかったようだが値段が値段なのでおかわりとは一言も言わなかった
スナックとは思えない程思いっ切り楽しんでしまったが、銀時がそろそろ出ようと言ってきたので名残惜しいが渋々すまいるを出た
これくらいのスナックなら私でも楽しめるのでまた来たいと思ってしまう、出入口前で手を振ってくれているお妙さんに手を振り返して私は先を歩いている銀時の隣に向かった
「安心した」
「ん?」
銀時の隣に着いた時銀時が小さく呟いた、その意味がわからず聞き返すと銀時は微笑みながら私の頭に手を置いた、思わず軽く目を伏せた時銀時は口を開いた
「お前が楽しそうで安心した」
そう言うと銀時は恥ずかしくなったのか少し顔を赤らめながらワシャワシャと私の頭を撫で回した、銀時のやり方は髪の毛がボサボサになるから勘弁して欲しい
銀時に文句を言ってから私は髪の毛を手櫛で整えた、ボサボサだった髪の毛がある程度落ち着いたので私は銀時が言った言葉に
「アンタは母親か」
と少し目を釣り上げて怒りながらツッコミを入れた、そんな私に銀時は困ったように笑い軽く謝ってきた
そんな事をしている間もずっと歩いていたのでもうネオン街を過ぎていた、なんとなくお妙さんと離れた事が名残惜しかったがまたいつでも会えるので次の目的地に向かっている銀時の後を追った
一体どこに向かっているのか謎だが今は銀時の後を追うしかない、途中で見つけた団子屋からきなこ団子を買って食べながら歩きそう思った
優しい甘さのきなこ団子を食べていると銀時も食べたくなったのか一口くれと言ってきた、だがこれは私の団子だと主張して銀時に買った店を教えようとしたが余所見をした瞬間に銀時は私のきなこ団子を食べてしまった
きなこ団子は五個の団子が串に刺さっていて私がさっき食べたのは二個、そして銀時に一口食べられたという事は残りは二個なのに串には一個しか刺さっていなかった
「おまッ!!二個食べたな!?」
「女の一口と男の一口は違ぇんだよ」
「……まったく……」
銀時の謎の主張に少しむかっ腹が立ったが残りの団子を食べて気分を落ち着かせたからか銀時を怒る気力もなかった
まあ、この団子二個がかぶき町の案内費だと考えれば安いものだろう、そう自分で解決してまた歩き始めた