第十二訓
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抜糸日はまだまだ先、包帯を取ると縫ってはあるが生々しい刀傷は昨日とあまり様態は変わっていない、思わず溜め息をつきながら私は山崎に包帯を巻いてもらった
「肩、結構深々といっちゃってるみたいですね」
「そうだなぁ……血はもう止まってるし、縫合も済んだんだが……」
無事に包帯も巻き終わり着物を着ようとした時山崎がそう呟いた、そんな呟きに思わず包帯を見ながら言う
包帯に触れながら早く治ってくれと思っていると山崎が少し戸惑いながら私の包帯が巻かれていない部分に目をやった
初めは三十代過ぎてんのに思春期の少年かと思ったがどうやらそういうわけではないようだ、視線からして多分戦争時代でついた傷跡の事だろう
「やっぱり気になるか山崎」
「えっ!?いや……」
「まあ、仕方ないよな結構目立つし数も多いし」
山崎にそう言うと少し申し訳なさそうに眉を下げた、そんな山崎を見ながら私は思わず傷跡に触れる
これは確か初陣の時の傷、そしてこれは向こうの軍が飛び道具を使ってきた時の傷、これは高杉と組んだ時の傷……
小さな傷跡でも沢山の苦難や悲しみを記憶している、私にとって傷跡は嫌な物ではないが流石にこの数は女としては恥だろうか
まだまだ足の部分とか包帯巻かれている部分にも沢山あるんだけどなと思いながら山崎に気にするなと言ってからしっかりと着物を着る
「すいませんでした花無為さん……」
「なんで謝るんだ、気にしてないって」
そろそろ銀時に借りた着物が乾いた頃だろうと思い立ち上がった時山崎が消え入りそうな声でそう言った、そんな山崎に笑いながらそう返す
局長には戦争の事を言ってあるが山崎は知らない、山崎にとって私の過去は旅人なのでやはりこの傷は異常だろうか
なんて考えていると山崎は少し気にしているようで、グッと自分の拳を強めに握った私は思わずそんな山崎の肩に手を置いた
「私の傷だ、山崎がそんな気にする必要もないさ」
そう言うと山崎は懲りずにもう一度謝ってきたので私はそんな山崎の肩を軽く叩き部屋を出た
山崎はどうやらこれから見回りに行くようで、隊士に呼ばれて私の部屋から出て行ったのが廊下から聞こえた
廊下を歩いていると途中副長に会ったので今日は非番なので一人で頑張ってと言うと何故か怒られた、どうやら上から目線がムカついたようだ
短気な人だと思いながら私は女中さんから銀時に借りた着物を受け取り、屯所に呼ぶのも釈然としないので直接届けるために外に出る事にした
局長には安静にしろと言われたが少し歩くだけだと思い、私は屯所の門をくぐりタクシーに乗り込んだ