第十訓
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晩ご飯と言ってもまだ怪我は完治していないので消化にいいお粥だったが食べた分だけ力は付くのでありがたく頂いた
ソファーにもたれるとやはり肩から腹部にかけての傷が痛むが、これでも結構治ってきている方だと思う、どうやら刀傷が化膿しないように薬を塗ってくれていたのは下の階にいる女性らしい、後で礼を言うつもりだが今は仕事中の様だ
直接言いたいが私が屯所に出れるようになってからでは遅いので、明日銀時に言伝を頼んだ、本当は直接言いたいのだが仕方ない、傷が治ったからでも行くつもりだ
肩の刀傷に目を向けながら考えていたせいか、神楽が痛むのかと心配そうに聞いてきた、痛くないと言って頭を撫でると神楽は微笑んだ、本当に優しい子だ
新八の皿洗いの音を聞きながら神楽と話していると、気の抜けたインターホンの音がしたそれを聞いて銀時は読んでいたジャンプから目を離す、新八の声が聞こえて玄関を開ける音が聞こえた
「花無為、大丈夫か」
「いやあ、すいません副長」
足音が聞こえた後リビングの扉が開き副長の素っ気ない声が聞こえた、それに頭を掻きながら謝ると副長の大きな溜め息が聞こえた
離れたくないと言わんばかりにギュッと私の手を握る神楽を宥めながらソファーを立つと副長が銀時の方に目を向けた
「すまなかったな万事屋、借りは花無為が治ったら返す」
「チッ……好きにしろ、借りは治ったらちゃんと返してもらうからな花無為覚悟しとけよ、ついでにその服もな」
「ああ、世話になったな銀時、新八、神楽、服は洗って返す」
「俺の服を体操服みたいに言うな」
副長の言葉にイラつきながら返す銀時からどんな頼みを言われるか分からないが命には変えられない、万事屋に礼を言いながら服の事を言うと銀時は小声でツッコミを入れてきた
最後に神楽の頭を撫でて新八に礼を言ってから私は少し血で汚れている靴を履いて副長に支えてもらいながら外に出た
夏だからか夜でもあまり寒くはないが早く部屋に戻りたい、神楽が玄関から見送る中手を振りながら私は車に乗り込んだ
すぐに副長も運転席に乗って車を発進させた、どうやら局長はいないようでここでは高杉の事は易々と言えないなと思い外の景色を見ていた
すると景色が急に煙がかってしまった、それと同時に苦いタバコの臭いが車内に広がってきた
「ぐぇっ!?ゲホゲホッ……副長、私怪我人ッゲホッ」
「知るか、連絡よこさなかった罰だ」
「えええ……ッゲホッ」
副長のタバコの煙に咳き込みながら涙目で窓を開けて新鮮な空気を吸う、それと同時に早めに連絡をしなかった銀時を少し恨んだ
結局副長は屯所に着くまでタバコを吸い続けて私の肺を煙で汚した、これで将来病気になったら副長に慰謝料を請求しようかと思いながら私は屯所の門をくぐった