第六訓
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「銀さん帰りましたー」
「花無為帰っちゃったアルかァ?」
ソファーを独り占めしながら煎れ直したお茶を啜っていると新八君と神楽が帰ってきたようだ
なにか一言言おうとお茶を飲み込んだ時、リビングの扉がガラリと音を立てながら開いた
「あ、花無為さんまだいた…………」
新八君が私に気が付いて声をかけてきたがその声はすぐに消えてしまった、そして私の目の前の方に目を向けながら小さく溜め息をついた
「さっちゃんさん来てたんですか」
「あ、さっちゃんネ!!」
新八君の言葉に神楽も反応して顔を覗かせる、そして私の存在に気が付くとニコニコと笑いながら手を振り、私の元に来た
抱き着いてきた神楽の頭を撫でながらまたお茶を啜る、お茶が美味い、実に美味い
「……花無為さんが長老みたいな瞳をしてる……」
私の瞳は昼には近所のおじいちゃん位の物だったが、新八君曰く今はどうやら長老みたいな瞳になっているらしい
だが仕方ない、銀時はさっちゃんさんと話しているし会話にピー音が入りそうだし、帰っていいのか分からないしで困っていたのだ
正直な所新八君達が帰って来てくれてよかったと思っている、私一人ではこの二人はどうしようもならなかったのだ
結局、新八君達に言われてようやく言い合いをやめた二人だが新八と神楽が帰ってきた今、無闇矢鱈と銀時の過去の話は聞けないだろう
「じゃあそろそろ私はお暇させて貰おうかな」
「えー、花無為帰っちゃうアルか?もう少しここに居てもいいのに……」
湯呑みを机の上に置いて右隣に置いておいた刀を手にして立ち上がりそう言うと神楽が私との帰りを惜しむようにそう言ってきた
そんな神楽の言葉に思わず足を止めてしまいそうになるが、そろそろ帰らないと夕飯の時間だし万事屋の方にも迷惑が掛かりそうだ
神楽をどうやって説得しようか考えていると新八君がどうせなら夕飯も食べて行ってくれと言ってきてくれた
こう言う誘いに結構弱く、結局私は夕飯まで食べさせてもらう事になったが、タダで夕飯を食べさせてもらう訳にはいかないので私も新八君と共に料理を作る事にした
新八君と世間話をしながら楽しく料理を作っていると、リビングの方から何かが衝突したような物凄い音が聞こえてきた
「し、新八君今のはッ!?」
「分かりませんけど……多分銀さんじゃないかな?」
「ぎ……銀時が爆発したのか……!?」
「多分それはないと思います、念のため見に行ってみましょうか」
新八君の言葉に同意して二人でリビングに向かう事にした、勿論ちゃんと火は確認してだ、火の傍から離れる時は一瞬でも火は消した方が安全だからな
リビングに入ると神楽が呆れた顔でこちらを見ていた、神楽から目を離しグルリと部屋を見渡すと窓際に息を荒くした銀時が見えた
爆発してない事に安心しながら何があったのか神楽に聞いた、すると神楽は呆れたように溜め息をついてさっきの出来事をとても簡潔に話してくれた
「さっちゃんが銀ちゃんに投げ飛ばされたネ」
「……は?」
神楽の言葉に思わず気の抜けたような変な声が出てしまったが仕方ないだろう、いくらさっちゃんさんでも二階から投げ飛ばされたら大変だ
そう思って慌てて窓際に寄ろうと思ったが新八君に止められた、どうやらさっちゃんさんはこういうのには慣れているそうで日常茶飯事らしい
いくらなんでも危ないとは思ったが、確かに外からさっちゃんさんの元気な声が聞こえるので良しとする、それにしてもよく投げ飛ばされてあんなに嬉しそうな声が出せるなと少し感心した
さっちゃんさんの珍事件も終わり、万事屋三人組と私の分の料理も充分に作れたのでリビングに運ぶ
そこまでおかずは作ってないのですぐに机に運べたが冷蔵庫の中に何もないのは少し驚いた、どうやら最近依頼人も少ないようなので具材はほとんど私が走って買ってきたものだ
しかしそんな努力もあってか、中々の良い出来になったと思う、全ての料理をリビングに運び終えてソファーに座ると神楽と銀時が真っ先に食べ始めた
そんな二人を見て思わず新八君と溜め息をつきながら、私達も料理に手を伸ばした
「やっぱ花無為が居るお陰かいつもよりご飯が美味しいネ」
「新八の料理は地味だもんな」
「どう言う意味ですか!!作らせといてそれはないでしょ!!」
神楽の毒舌に銀時も便乗する、それに少し強めの口調でツッコミを入れる新八君、私はそんな万事屋の日常的な会話を見て思わず笑みが溢れた
「お、花無為、少しは料理の腕上がったんじゃねぇの?」
「少しはってなんだ、終始上から目線だな失礼なヤツめ」
「褒めてやってんだよ、素直に喜べって」
「……なんだか釈然としないんだが?」
三人の様子を見ていると銀時はヘラヘラと笑いながら私の肩に手を置いてそう言ってきた、なんだか素直に認めてはいけない気がしたがとりあえず褒め言葉として受け取っておく
それからしばらくおかずやお米の取り合いになったが結局一番食べたのは神楽だった、なんでも夜兎族の胃袋は凄まじい物らしい
とりあえず食後にはのんびりと胃を休めるように麦茶を飲みながらボーッとテレビを見る事にした