鳥肉食べたい 尾形百之助夢
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「で、お前の家はどこだ?」
「あそこ!あそこが私の家!」
えへん!と胸を張って立ち上がると、その子は、すっと真顔になって、また鳥肉をぐい、と差し出してきた。
「じゃあ、運ぶ必要ないな。帰る」
私の手に握られたのを見て、その子はさっさと後ろを向いてしまった。
「待って!」
歩き出そうとするその子をすんでのところで引っ張った。
「なんだ?」
顔だけこっちを向いたその子を見上げて、私はぎゅっと袖を掴み直す。
「あのね!鳥肉いっぱい貰えてすごく嬉しい!だけどね、母ちゃん、父ちゃんの看病しててお料理できない。それに、こんなにたくさん一人で食べきれない」
「しょうがないな」
その子はもう片方の袖でごしごし私の目元を擦ると、私を置いて歩き出してしまった。
「待って!」
手を伸ばしてふらふらと後を追うと、その子がぴたりと立ち止まってこっちを向いた。
なんだろう?
私もその場に立ち止まってみる。
やっぱりあの子も立ち止まったままだ。
もしかして、私のこと、待っていてくれているのかな?
私はぶんぶん腕を振って、その子の隣に並んだ。
そのまま、その子の後ろを駆け足で着いていくと、山の中の広いところに着いた。
白い花がいっぱい咲いていて、草の匂いがする素敵なところだ。
「ここ、座れ」
立ち止まって周りをきょろきょろ見回していたら、いつの間にか、その子は端っこの大きな石の上に腰を下ろしていた。
「うん」と大きくお返事して、隣によじ登ろうと手を伸ばす。
その子は、表情を変えずに、「お前はあっち」って私の手を石から離して、向こうの一回り小さい石を指した。
「うん」
私は小さくこくん、と頷いた。
母ちゃんや父ちゃんと一緒にご飯を食べる時とは違う。同じ年頃の男の子と一緒にご飯を食べる時はちょっと離れて座るんだ。
「おい、この肉、焼くだけでいいよな?」
足を伸ばしてぶらぶら動かしているのをぼうっと見るのをやめて、慌ててぶんぶん頭を振る。
その子は、それをちらりと見たら、うんともすんとも言わないで、てきぱきと火をおこし始めた。
流れるようなその動きに「わあ!」と声を上げて、私は自分の石から飛び降りた。
「すごい!外で火を起こすのって難しいんでしょ!?父ちゃんが言ってた!」
どんどん大きくなっていく火に手をかざして、その子の方を向く。
その子は真っすぐに火を見つめたまま、ぼそりと口を開いた。
「まあ、じいちゃんと山で狩りをする時に、このくらいよくやるし、なんともないだろう」
「そんなことないよ!すごいよ!あっ…名前、なんていうの?」
「尾形百之助」
「百之助はすごいよ!私なんてね、まだ火をおこす道具にも触らせてもらえないんだよ!」
「それはお前がまだ赤ん坊だからだろう」
言いながら、その子…じゃなくて百之助は器用に木の枝に鳥肉を刺していく。
刺しながら、なんとなくだけど百之助の肩が弾むように動いているような気がして、嬉しくなった私は、よっこいせ、と隣に座った。
「なんだ?気になるのか?本当に赤ん坊みたいだな」
「さっきからずっと…私のこと、赤ちゃん扱いしないで!」
動きは止めずに、目だけをこっちに向けて笑う百之助が面白くなくて、ちょっと澄ましてそうお返事した。
「そうか。じゃあ、おとなしく元の場所で待てるよな?」
百之助はすっかり元の調子でそう言うと、またすぐに向き直って鳥肉を刺した枝をせっせと火の周りに刺しはじめた。
でも、嘘!百之助の肩、一瞬震えたの見たよ!あれ、まだ私のこと赤ちゃんだって思ってるってことだ!
まあ、私は百之助よりも大人なお姉さんだから、そんなことでいちいち怒ったりなんてしないけどね。
私は、母ちゃんがお話ししている時のことを頑張って思い出して、「はあい」とおしとやかに答えた。
ゆっくり百之助の隣から降りて、自分の席に戻った頃、ずっと黙って鳥肉をくるくる回していた百之助が急に声をかけてきた。
「なあ、お前の名前はなんていうんだ?」
「小宮莉緒だよ!」
答えながら身を乗り出し過ぎて落っこちそうになる私を横目で見ながら、百之助は、ふ、と息を吐きだした。
「莉緒、そんなに慌てなくても、すぐに出来上がる。もう少し我慢してろ」
「うん!!!」
やさしくって、ちょっと苦い、鳥肉の焼ける匂いに胸がどきどきした。
「おい、焼けたぞ」
「う、うん!ありがとう!」
差し出された鳥肉を見て、こっちまで取りに来いってことなのかな?と慌てて自分の席を降りると、百之助は「食い意地張ってるな」と眉毛を下げて笑った。
しょうがないよ!お肉のいい匂いがふわあって広がって本当においしそうなんだから!
「ほら、これ全部食べていいぞ」
百之助は火の周りに刺さってたお肉のほとんどを私に持たせてくれた。
「こんなにたくさん…いいの!?」
夕日できらきらしてるお肉を見つめながら聞いたら、百之助は、「ああ」と一口かじった。
私もおそるおそる、百之助の真似をして自分の分を口に入れた。
「熱い!」
叫んだ私に百之助がばっと振り向いた。
「でも、すごくおいしい!口に入れた時はカリカリしててちょっと苦いのに、噛んだら、お肉がぷりぷりで脂がじゅわあって出てきて、すっごくおいしい!!!」
「そうか」
百之助は不思議そうな顔で目をぱちぱちさせてから、満足そうに頷いた。
「じゃあ、残りは自分のところで食べろ」
「はあい!」
大きくお返事をしてから、私は貰った鳥肉を胸のところで抱えて元の場所に戻った。
ああ、こんなにおいしいご飯は久しぶりだな!とっても幸せ!
「あそこ!あそこが私の家!」
えへん!と胸を張って立ち上がると、その子は、すっと真顔になって、また鳥肉をぐい、と差し出してきた。
「じゃあ、運ぶ必要ないな。帰る」
私の手に握られたのを見て、その子はさっさと後ろを向いてしまった。
「待って!」
歩き出そうとするその子をすんでのところで引っ張った。
「なんだ?」
顔だけこっちを向いたその子を見上げて、私はぎゅっと袖を掴み直す。
「あのね!鳥肉いっぱい貰えてすごく嬉しい!だけどね、母ちゃん、父ちゃんの看病しててお料理できない。それに、こんなにたくさん一人で食べきれない」
「しょうがないな」
その子はもう片方の袖でごしごし私の目元を擦ると、私を置いて歩き出してしまった。
「待って!」
手を伸ばしてふらふらと後を追うと、その子がぴたりと立ち止まってこっちを向いた。
なんだろう?
私もその場に立ち止まってみる。
やっぱりあの子も立ち止まったままだ。
もしかして、私のこと、待っていてくれているのかな?
私はぶんぶん腕を振って、その子の隣に並んだ。
そのまま、その子の後ろを駆け足で着いていくと、山の中の広いところに着いた。
白い花がいっぱい咲いていて、草の匂いがする素敵なところだ。
「ここ、座れ」
立ち止まって周りをきょろきょろ見回していたら、いつの間にか、その子は端っこの大きな石の上に腰を下ろしていた。
「うん」と大きくお返事して、隣によじ登ろうと手を伸ばす。
その子は、表情を変えずに、「お前はあっち」って私の手を石から離して、向こうの一回り小さい石を指した。
「うん」
私は小さくこくん、と頷いた。
母ちゃんや父ちゃんと一緒にご飯を食べる時とは違う。同じ年頃の男の子と一緒にご飯を食べる時はちょっと離れて座るんだ。
「おい、この肉、焼くだけでいいよな?」
足を伸ばしてぶらぶら動かしているのをぼうっと見るのをやめて、慌ててぶんぶん頭を振る。
その子は、それをちらりと見たら、うんともすんとも言わないで、てきぱきと火をおこし始めた。
流れるようなその動きに「わあ!」と声を上げて、私は自分の石から飛び降りた。
「すごい!外で火を起こすのって難しいんでしょ!?父ちゃんが言ってた!」
どんどん大きくなっていく火に手をかざして、その子の方を向く。
その子は真っすぐに火を見つめたまま、ぼそりと口を開いた。
「まあ、じいちゃんと山で狩りをする時に、このくらいよくやるし、なんともないだろう」
「そんなことないよ!すごいよ!あっ…名前、なんていうの?」
「尾形百之助」
「百之助はすごいよ!私なんてね、まだ火をおこす道具にも触らせてもらえないんだよ!」
「それはお前がまだ赤ん坊だからだろう」
言いながら、その子…じゃなくて百之助は器用に木の枝に鳥肉を刺していく。
刺しながら、なんとなくだけど百之助の肩が弾むように動いているような気がして、嬉しくなった私は、よっこいせ、と隣に座った。
「なんだ?気になるのか?本当に赤ん坊みたいだな」
「さっきからずっと…私のこと、赤ちゃん扱いしないで!」
動きは止めずに、目だけをこっちに向けて笑う百之助が面白くなくて、ちょっと澄ましてそうお返事した。
「そうか。じゃあ、おとなしく元の場所で待てるよな?」
百之助はすっかり元の調子でそう言うと、またすぐに向き直って鳥肉を刺した枝をせっせと火の周りに刺しはじめた。
でも、嘘!百之助の肩、一瞬震えたの見たよ!あれ、まだ私のこと赤ちゃんだって思ってるってことだ!
まあ、私は百之助よりも大人なお姉さんだから、そんなことでいちいち怒ったりなんてしないけどね。
私は、母ちゃんがお話ししている時のことを頑張って思い出して、「はあい」とおしとやかに答えた。
ゆっくり百之助の隣から降りて、自分の席に戻った頃、ずっと黙って鳥肉をくるくる回していた百之助が急に声をかけてきた。
「なあ、お前の名前はなんていうんだ?」
「小宮莉緒だよ!」
答えながら身を乗り出し過ぎて落っこちそうになる私を横目で見ながら、百之助は、ふ、と息を吐きだした。
「莉緒、そんなに慌てなくても、すぐに出来上がる。もう少し我慢してろ」
「うん!!!」
やさしくって、ちょっと苦い、鳥肉の焼ける匂いに胸がどきどきした。
「おい、焼けたぞ」
「う、うん!ありがとう!」
差し出された鳥肉を見て、こっちまで取りに来いってことなのかな?と慌てて自分の席を降りると、百之助は「食い意地張ってるな」と眉毛を下げて笑った。
しょうがないよ!お肉のいい匂いがふわあって広がって本当においしそうなんだから!
「ほら、これ全部食べていいぞ」
百之助は火の周りに刺さってたお肉のほとんどを私に持たせてくれた。
「こんなにたくさん…いいの!?」
夕日できらきらしてるお肉を見つめながら聞いたら、百之助は、「ああ」と一口かじった。
私もおそるおそる、百之助の真似をして自分の分を口に入れた。
「熱い!」
叫んだ私に百之助がばっと振り向いた。
「でも、すごくおいしい!口に入れた時はカリカリしててちょっと苦いのに、噛んだら、お肉がぷりぷりで脂がじゅわあって出てきて、すっごくおいしい!!!」
「そうか」
百之助は不思議そうな顔で目をぱちぱちさせてから、満足そうに頷いた。
「じゃあ、残りは自分のところで食べろ」
「はあい!」
大きくお返事をしてから、私は貰った鳥肉を胸のところで抱えて元の場所に戻った。
ああ、こんなにおいしいご飯は久しぶりだな!とっても幸せ!