寂しがり少女
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試合再開後、ナイツオブクイーンに攻められたイナズマジャパンは兄の指示でディフェンスに入るものの、ナイツオブクイーンの動きの方が一枚上手だ。
その中でフィリップはパスを受けてすぐに後方のエドガーさんへとボールを回した。
「エドガーか!」
「……!」
ゴール前に来たはずなのに後ろへとパスを出したことに、イナズマジャパンのディフェンス陣は驚いていて、監督は珍しく声を上げた。私も目を見開いて彼を見てしまう。だってその構えは………
「これが聖なる騎士の剣真実の姿だ! “エクスカリバー” !!」
エドガーはゴールから離れた場所でロングシュートを放ってきた。
普通のロングシュートなら、ゴールに近づけば近づくほどに威力は落ちる。
ヒロトさんもそう思っていたからこそ、止めるためにシュートへと近づいていた。
だけど、エクスカリバーの威力は収まるどころか、むしろパワーを増してイナズマジャパンのゴールへと襲い掛かる。
距離が離れれば離れるほどに威力が増すシュート、ということか。
そんな、ロングシュートの弱点を克服しているロングシュートに壁山くんと円堂さんで先程のように止めようとするものの突破されてしまい、イナズマジャパンは失点を許してしまった。
「……エドガーにボールが渡ったら防げない」
円堂さんの一番強い必殺技が破れてしまってベンチ内でも緊張が走る。
「鬼道!」
そんな時、監督は兄ちゃんを呼んで何かを伝えていた。……恐らくは、アブソリュートナイツの攻略法だ。
兄は察したようで、フィールドに戻り次第風丸さんと栗松くんを呼んでいる姿が目に入った。
それからイナズマジャパンのボールで試合が再開され、早々にボールが渡った風丸さんを先頭に栗松くん、兄ちゃんと一列に並んで走っていた。
ナイツオブクイーンのアブソリュートナイツによってボールが取られそうになれば後ろにいる選手にパスを出す。それを3人で繰り返し、最期の選手を栗松くんが “まぼろしドリブル” で抜く。
それがイナズマジャパンが考えた突破法だった。
「お前たち。全員、ウォーミングアップしとけ」
「はいっ!」
久遠監督がそんな指示を出して私以外の選手が立ち上がる気配はしたものの、私は動かなかった。
ナイツオブクイーンの動きも、イナズマジャパンの動きも一秒たりとも見逃したくなかったから。
“アブソリュートナイツ” を破った栗松くんのパスを受け取った豪炎寺さんは虎丸くんが苦戦していたディフェンスを難なく突破して、必殺シュートを撃とうとする。
だがその矢先、ディフェンスへと戻ってきたエドガーさんにボールを奪われた。
エドガーさんがいる場所はナイツオブクイーンのゴール前。そして彼の必殺技を考えれば考えられる可能性は一つだけ。
「受けるがいい! “エクスカリバー” !!」
予想通り、エドガーさんははそこから必殺技を撃ってきた。
自陣のゴールエリアから撃つフィールドを最大限に使った最強のエクスカリバー。またもう一点入ってしまうのかと思ったけど、失点は待逃れた。
壁山くんがゴール前に立ち “ザ・マウンテン” で体を張って止め切ったからだ。しかしその反動で壁山くんは起き上がれず、監督の指示で染岡さんと交代することになる。
「壁山!よく頑張ったでヤンス!」
「根性あるな……お前」
キャプテンと綱海さんに支えられベンチへ戻る前、彼の親友である栗松くんと同じDFである飛鷹さんが声をかけていた。
「何度もやられたら悔しいッス。イナズマジャパンの失点は、俺たちだけの失点じゃないッスから!」
悔しそうな壁山くんの様子から見て、エドガーさんの言葉に考えさせられたのは彼も同じようだった。
「染岡さん……頼むっス!」
「壁山……。ああ!必ず点を取ってやる!」
壁山くんの思いを受け取り、顔を引き締めた染岡さんがピッチへと走って行った。
イナズマジャパンはDFの壁山くんの代わりに、FWの染岡さんを出すという攻撃的な布陣で試合を再開させる。
兄ちゃんの機転によりアブソリュートナイツを攻略できたからこそ攻め時だと考えたのだろう。
だけど、ナイツオブクイーンのレベルは高さからタクティクス一つ破った所で安心はできない。
今だってフィリップにシュートを決められていた。
それは土方さんと飛鷹さんのディフェンスのおかげで、シュートの軌道は大きく反れて難を逃れたけれど。
ボールはイナズマジャパンから。再びMF三人が一列に並んで走って行った。
だけど、同じ手法は通じず裏をかいた虎丸くんへのパスすらも読まれて、ボールはエドガーさんへ渡り……そうになる所を染岡さんがカットした。
染岡さんは豪炎寺さんにパスをして彼は上がっていく。ゴール前まで来てGKの注意が向いた所で、豪炎寺さんはサイドから走ってきた染岡さんにパスをだした。………いつぞやで見た戦い方だ。
「喰らえっ! “ドラゴンスレイヤー” !!!」
ドラゴンの咆哮のように鋭く重い染岡さん渾身の一撃は、見事ナイツオブクイーンのゴールに突き刺さった。
イナズマジャパンの中で、世界相手に初得点を決めたのは染岡さんだった。
そんな彼の快挙にピッチの上ではもちろん、ベンチにいるみんなも喜んでいた。
「染岡さんが決めましたよ!」
「うん!」
「う~ん!素晴らしいシュートっス~!」
特に彼に託した壁山くんなんて涙まで流していた。
正直、私もあの技に圧巻された。
―『ふざけんじゃねぇッ!!!』
思い出すのは過去に押しつぶされて代表を譲ろうとした私に本気で怒ってくれた染岡さん。彼はあの後も死ぬほど努力をして、こうして世界の大舞台で得点を決めている。
染岡さんといい、エドガーさんのシュートを気合で威力を落とした壁山くんといい……本当、雷門イレブンの人達は規格外な人ばかりだ。
その筆頭があのキャプテンなんだし、当然か。
私も見習わないとなぁと思って染岡さんを見ていると、ナイツオブクイーン側に動きがあったので意識をそちらに向ける。
選手を4人も入れ替えたナイツオブクイーンは戦術を変えるためか、フォーメーションも変えてきた。それは中央へと選手を集め、両サイドがガラ空きのそれは、エドガーさんを先頭にまるで槍のような形をしているフォーメーションだ。
「……ふぅん」
私は、ナイツオブクイーンのエドガーさんから目を離さないようにじっと見ることにした。
そして試合再開。ナイツオブクイーンの攻めに、イナズマジャパンはガラ空きのサイドを警戒してそれぞれ散っていったのを確認したエドガーさんは右腕を上げて、ボールを受け取った。
サイドは囮。本命は――中央だ。
それからエドガーさんの前方にフィリップ、左右にニック・ウッドゲートとマイキー・リチャーズが並んで並走をした。
「これはエドガーを守っているのか!?」
「止めるんだ!」
兄ちゃんの驚いた声を上げる中、豪炎寺さんが叫ぶ。
それから、兄ちゃんと土方さんはボールを取ろうとするものの、彼らのもう一つのタクティクスは簡単にこちらの守りを吹き飛ばした。
「見たか!これが攻撃型必殺タクティクス “無敵の槍” !」
槍という名前のタクティクスはディフェンスも突き破り、イナズマジャパンのゴール前。
「いくぞ!」
「何が何でも止めてやる!」
「フッ、ここはこの技だ。 “パラディンストライク” !」
「何っ!?」
無敵の槍を解いたエドガーさんが放ったのはもう一つの必殺技。円堂さんは“怒りの鉄槌”で応戦するも破られてしまった。
ナイツオブクイーンに追加点が入り、点数は1-2とまた開いてしまう。
そこで前半終了を知らせるホイッスルが鳴り響いた。
ハーフタイム。ミーティング前に円堂さんが不在だったものの、秋さんが連れて来てくれた。……必殺技が通用しないことに思うことがあったんだろうな。
「これ以上の失点は許されない。後半はボールをキープして、常に動かし続けろ」
ミーティングが始まり、久遠監督はそう指示を出した。コントロールは兄に一任するようで、兄も応えるように頷く。
「そしてもう1人。不動」
「はい」
そんな兄を見ていたら久遠監督に名前を呼ばれた。
「後半はお前たち2人が司令塔だ」
「2人……?」
「同時にピッチにいる意味を考えてプレーしろ」
驚いたように声を上げる兄ちゃんに久遠監督はそう告げれば、兄と目線が合った。
「やるべきことは分かっているつもりだよ」
「……ああ。頼りにしている」
私の意志を汲み取ってくれたのか、兄は笑みを浮かべて力強く頷いた。
+++
「おや、アキナさん」
「どうも。エドガーさん」
ハーフタイム中に他の人との連携を確認して、それから両チームがグラウンドへと出る際、エドガーさんが私を見て片眉を上げたのを見ながらも笑みを浮かべた。
「……私が試合に出ること、残念そうですね」
「ああ、いえ……」
その笑みを浮かべたまま彼の表情を指摘すれば、エドガーさんは目を閉じて静かに頭を横に振った。
「ただ……私は小さく愛らしい百合の花こそ、貴女にピッタリだと思っただけですよ」
それから目を開いて静かに笑みを浮かべるエドガーさん。
今の彼の表情 は親善パーティの時の優しげな紳士ではない。自分のチームに絶対の自信と誇りを持つサッカー選手の表情だ。
その言葉の意味は、忠告だ。
例え女子選手でも容赦はしない。だから選手ではなく、守られる存在でいればいい。
軽視、とは少し違う気がする。……紳士淑女の国であるイギリスの人からすれば当然の感情なんだろう。
「ふふっ、ありがとうございます」
だけど私は彼らの意志に従う気はない。
守られる存在で居続けるのは、ごめんだ。
「なら、薔薇も似合う女になるだけです」
胸に手を当てて挑発気味な笑みを浮かべてみせればエドガーさんは一瞬目を見開いて、それから静かにくつりと喉を鳴らした。
「いいでしょう。勝つのは我々、ナイツオブクイーンだ」
「イナズマジャパンだって負けません」
互いに笑みを浮かべて宣戦布告。それからポジションへと着くために歩いて行った。
その中でフィリップはパスを受けてすぐに後方のエドガーさんへとボールを回した。
「エドガーか!」
「……!」
ゴール前に来たはずなのに後ろへとパスを出したことに、イナズマジャパンのディフェンス陣は驚いていて、監督は珍しく声を上げた。私も目を見開いて彼を見てしまう。だってその構えは………
「これが聖なる騎士の剣真実の姿だ! “エクスカリバー” !!」
エドガーはゴールから離れた場所でロングシュートを放ってきた。
普通のロングシュートなら、ゴールに近づけば近づくほどに威力は落ちる。
ヒロトさんもそう思っていたからこそ、止めるためにシュートへと近づいていた。
だけど、エクスカリバーの威力は収まるどころか、むしろパワーを増してイナズマジャパンのゴールへと襲い掛かる。
距離が離れれば離れるほどに威力が増すシュート、ということか。
そんな、ロングシュートの弱点を克服しているロングシュートに壁山くんと円堂さんで先程のように止めようとするものの突破されてしまい、イナズマジャパンは失点を許してしまった。
「……エドガーにボールが渡ったら防げない」
円堂さんの一番強い必殺技が破れてしまってベンチ内でも緊張が走る。
「鬼道!」
そんな時、監督は兄ちゃんを呼んで何かを伝えていた。……恐らくは、アブソリュートナイツの攻略法だ。
兄は察したようで、フィールドに戻り次第風丸さんと栗松くんを呼んでいる姿が目に入った。
それからイナズマジャパンのボールで試合が再開され、早々にボールが渡った風丸さんを先頭に栗松くん、兄ちゃんと一列に並んで走っていた。
ナイツオブクイーンのアブソリュートナイツによってボールが取られそうになれば後ろにいる選手にパスを出す。それを3人で繰り返し、最期の選手を栗松くんが “まぼろしドリブル” で抜く。
それがイナズマジャパンが考えた突破法だった。
「お前たち。全員、ウォーミングアップしとけ」
「はいっ!」
久遠監督がそんな指示を出して私以外の選手が立ち上がる気配はしたものの、私は動かなかった。
ナイツオブクイーンの動きも、イナズマジャパンの動きも一秒たりとも見逃したくなかったから。
“アブソリュートナイツ” を破った栗松くんのパスを受け取った豪炎寺さんは虎丸くんが苦戦していたディフェンスを難なく突破して、必殺シュートを撃とうとする。
だがその矢先、ディフェンスへと戻ってきたエドガーさんにボールを奪われた。
エドガーさんがいる場所はナイツオブクイーンのゴール前。そして彼の必殺技を考えれば考えられる可能性は一つだけ。
「受けるがいい! “エクスカリバー” !!」
予想通り、エドガーさんははそこから必殺技を撃ってきた。
自陣のゴールエリアから撃つフィールドを最大限に使った最強のエクスカリバー。またもう一点入ってしまうのかと思ったけど、失点は待逃れた。
壁山くんがゴール前に立ち “ザ・マウンテン” で体を張って止め切ったからだ。しかしその反動で壁山くんは起き上がれず、監督の指示で染岡さんと交代することになる。
「壁山!よく頑張ったでヤンス!」
「根性あるな……お前」
キャプテンと綱海さんに支えられベンチへ戻る前、彼の親友である栗松くんと同じDFである飛鷹さんが声をかけていた。
「何度もやられたら悔しいッス。イナズマジャパンの失点は、俺たちだけの失点じゃないッスから!」
悔しそうな壁山くんの様子から見て、エドガーさんの言葉に考えさせられたのは彼も同じようだった。
「染岡さん……頼むっス!」
「壁山……。ああ!必ず点を取ってやる!」
壁山くんの思いを受け取り、顔を引き締めた染岡さんがピッチへと走って行った。
イナズマジャパンはDFの壁山くんの代わりに、FWの染岡さんを出すという攻撃的な布陣で試合を再開させる。
兄ちゃんの機転によりアブソリュートナイツを攻略できたからこそ攻め時だと考えたのだろう。
だけど、ナイツオブクイーンのレベルは高さからタクティクス一つ破った所で安心はできない。
今だってフィリップにシュートを決められていた。
それは土方さんと飛鷹さんのディフェンスのおかげで、シュートの軌道は大きく反れて難を逃れたけれど。
ボールはイナズマジャパンから。再びMF三人が一列に並んで走って行った。
だけど、同じ手法は通じず裏をかいた虎丸くんへのパスすらも読まれて、ボールはエドガーさんへ渡り……そうになる所を染岡さんがカットした。
染岡さんは豪炎寺さんにパスをして彼は上がっていく。ゴール前まで来てGKの注意が向いた所で、豪炎寺さんはサイドから走ってきた染岡さんにパスをだした。………いつぞやで見た戦い方だ。
「喰らえっ! “ドラゴンスレイヤー” !!!」
ドラゴンの咆哮のように鋭く重い染岡さん渾身の一撃は、見事ナイツオブクイーンのゴールに突き刺さった。
イナズマジャパンの中で、世界相手に初得点を決めたのは染岡さんだった。
そんな彼の快挙にピッチの上ではもちろん、ベンチにいるみんなも喜んでいた。
「染岡さんが決めましたよ!」
「うん!」
「う~ん!素晴らしいシュートっス~!」
特に彼に託した壁山くんなんて涙まで流していた。
正直、私もあの技に圧巻された。
―『ふざけんじゃねぇッ!!!』
思い出すのは過去に押しつぶされて代表を譲ろうとした私に本気で怒ってくれた染岡さん。彼はあの後も死ぬほど努力をして、こうして世界の大舞台で得点を決めている。
染岡さんといい、エドガーさんのシュートを気合で威力を落とした壁山くんといい……本当、雷門イレブンの人達は規格外な人ばかりだ。
その筆頭があのキャプテンなんだし、当然か。
私も見習わないとなぁと思って染岡さんを見ていると、ナイツオブクイーン側に動きがあったので意識をそちらに向ける。
選手を4人も入れ替えたナイツオブクイーンは戦術を変えるためか、フォーメーションも変えてきた。それは中央へと選手を集め、両サイドがガラ空きのそれは、エドガーさんを先頭にまるで槍のような形をしているフォーメーションだ。
「……ふぅん」
私は、ナイツオブクイーンのエドガーさんから目を離さないようにじっと見ることにした。
そして試合再開。ナイツオブクイーンの攻めに、イナズマジャパンはガラ空きのサイドを警戒してそれぞれ散っていったのを確認したエドガーさんは右腕を上げて、ボールを受け取った。
サイドは囮。本命は――中央だ。
それからエドガーさんの前方にフィリップ、左右にニック・ウッドゲートとマイキー・リチャーズが並んで並走をした。
「これはエドガーを守っているのか!?」
「止めるんだ!」
兄ちゃんの驚いた声を上げる中、豪炎寺さんが叫ぶ。
それから、兄ちゃんと土方さんはボールを取ろうとするものの、彼らのもう一つのタクティクスは簡単にこちらの守りを吹き飛ばした。
「見たか!これが攻撃型必殺タクティクス “無敵の槍” !」
槍という名前のタクティクスはディフェンスも突き破り、イナズマジャパンのゴール前。
「いくぞ!」
「何が何でも止めてやる!」
「フッ、ここはこの技だ。 “パラディンストライク” !」
「何っ!?」
無敵の槍を解いたエドガーさんが放ったのはもう一つの必殺技。円堂さんは“怒りの鉄槌”で応戦するも破られてしまった。
ナイツオブクイーンに追加点が入り、点数は1-2とまた開いてしまう。
そこで前半終了を知らせるホイッスルが鳴り響いた。
ハーフタイム。ミーティング前に円堂さんが不在だったものの、秋さんが連れて来てくれた。……必殺技が通用しないことに思うことがあったんだろうな。
「これ以上の失点は許されない。後半はボールをキープして、常に動かし続けろ」
ミーティングが始まり、久遠監督はそう指示を出した。コントロールは兄に一任するようで、兄も応えるように頷く。
「そしてもう1人。不動」
「はい」
そんな兄を見ていたら久遠監督に名前を呼ばれた。
「後半はお前たち2人が司令塔だ」
「2人……?」
「同時にピッチにいる意味を考えてプレーしろ」
驚いたように声を上げる兄ちゃんに久遠監督はそう告げれば、兄と目線が合った。
「やるべきことは分かっているつもりだよ」
「……ああ。頼りにしている」
私の意志を汲み取ってくれたのか、兄は笑みを浮かべて力強く頷いた。
+++
「おや、アキナさん」
「どうも。エドガーさん」
ハーフタイム中に他の人との連携を確認して、それから両チームがグラウンドへと出る際、エドガーさんが私を見て片眉を上げたのを見ながらも笑みを浮かべた。
「……私が試合に出ること、残念そうですね」
「ああ、いえ……」
その笑みを浮かべたまま彼の表情を指摘すれば、エドガーさんは目を閉じて静かに頭を横に振った。
「ただ……私は小さく愛らしい百合の花こそ、貴女にピッタリだと思っただけですよ」
それから目を開いて静かに笑みを浮かべるエドガーさん。
今の彼の
その言葉の意味は、忠告だ。
例え女子選手でも容赦はしない。だから選手ではなく、守られる存在でいればいい。
軽視、とは少し違う気がする。……紳士淑女の国であるイギリスの人からすれば当然の感情なんだろう。
「ふふっ、ありがとうございます」
だけど私は彼らの意志に従う気はない。
守られる存在で居続けるのは、ごめんだ。
「なら、薔薇も似合う女になるだけです」
胸に手を当てて挑発気味な笑みを浮かべてみせればエドガーさんは一瞬目を見開いて、それから静かにくつりと喉を鳴らした。
「いいでしょう。勝つのは我々、ナイツオブクイーンだ」
「イナズマジャパンだって負けません」
互いに笑みを浮かべて宣戦布告。それからポジションへと着くために歩いて行った。