寂しがり少女
Name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「円堂さーん!」
「ああ!」
私と風丸さんが再び選手達がいるところに戻れば、タイミングよくキャプテンも正装を着てやって来た。(周りに聞いたところによれば、キャプテンはグラウンドから直接木野さんを連れて走ってきたらしく、ユニフォーム姿のままだったらしくこちらで着替えたらしい)
慣れないタキシード姿に落ち着かないのか眉をひそめていたものの、立向居くんに手を振りながらの呼びかけに笑顔を浮かべ駆け寄ろうとした時だった。
「……ふ、ふふふっ」
冬花さんをエスコートしていたらしいエドガーさんが口元に手を近づけて静かに笑った。
それは二人きりで話した時とは、全く違う種類の笑みで、イナズマジャパンの視線がそちらへと向く。
「いや、失礼。あまりにも似合ってたもんだから」
エドガーさんは涼しい顔のまま一言そう言って、そのまま冬花さんを連れて行こうとするのを、目金さんが止めた。
「今のはウチのキャプテンに失礼じゃないですか?」
「失礼?ハハハッ、困るなぁ。誤解してもらっては……私は褒めたのですよ」
「褒めた?」
目金さんの指摘にエドガーさんは手を広げてそれから笑みを浮かべる。
「ええ。だから言ったじゃないですか。……似合ってる、って」
「お前なぁ……!」
「やめろ。綱海!」
そんな皮肉に対して、食いかかろうとしていた綱海さんを止めたのは他でもないキャプテンだった。
馬鹿にされた怒りはグラウンドでぶつけてやればいい。
オレ達はサッカーをしに来たのだから。
キャプテンは怒ることもなく、冷静にそう言った。
彼らしい言葉にイナズマジャパンも怒りの代わりに試合への闘気をみなぎらせる。
「ってことだ。楽しみにしてな。コテンパンにやっつけてやるからよ」
「だったら、やってみますか?……今ここで」
染岡さんの宣戦布告に対し、エドガーさんはニヤリと好戦的な笑みを浮かべる。
それからエドガーさんはキャプテンに対して、自身のシュートを止められるかどうかという、PK勝負を申し込めば、キャプテンは二つ返事でその勝負に乗った。
「円堂っ」
「兄ちゃん、待って」
「っ明奈……」
止めようとする兄ちゃんの肩に、私は手を置いて制する。
「面白いじゃん、やらしてあげなよ」
相手チームの実力を知れるいい機会なんだしさ。と私は笑みを浮かべる。……私の笑顔もエドガーさんと話していた時とは別物なんだろうなという自覚はあった。
それからパーティー会場近くのサッカーフィールド。
ピッチに立っているのはお互いのチームのユニフォームに身を包んだキャプテンとエドガーさんだけで、両チームの選手やパーティーの参加者は外で様子を見ていた。
「親善パーティがとんでもないことになっちゃいましたね」
「ええ……」
春奈や秋さんが心配そうに見守る中、勝負が始まった。
「…………」
私はというと、口元に手を当てながらじっとエドガーさんの方を見ていた。
エドガーさんとキャプテンのPK勝負。
結果はエドガーさんの必殺技 “エクスカリバー” という聖なる剣が振り下ろされたよう強力なシュートに、キャプテンの必殺技である “怒りの鉄槌” は敗れた。
韓国戦で作り出した必殺技をこうも簡単に破るシュートに、観戦してたみんな驚愕の表情を浮かべ、マネージャーも不安そうに眉を下げていた。
けど、キャプテンはゴールを決められたにも拘らず、落ち込む様子はなく逆に笑顔を浮かべていた。
それから私達の方に駆け寄って嬉々とした表情で話す。
「俺達は世界と戦える!こんな強い相手と戦えるんだ!!」
そんな真っ直ぐな熱い言葉に、浮かない表情を浮かべていたイナズマジャパンは笑みが戻り、士気が上がっていくのを感じる。
「オレ達も負けてられねぇな!」
「ああ。みんな、明日から特訓だ!!」
そして綱海さんの言葉に頷いた兄ちゃんの宣言にみんなが元気よく声を上げた。
言葉と行動で私達を照らしてくれる、やっぱりキャプテンは太陽みたいな人だ。
+++
その後、エドガーさんもキャプテンもタキシードに着替え直して、パーティーの続きが始まった。
「ふぅ……」
「冬花さん、ずいぶん疲れてますがどうしましたか?」
私は小さく息をついて備え付けの長椅子に座る冬花さんを見つけて、近くのスタッフから貰った二人分の飲み物のひとつを手渡しながら隣に座った。
ありがとう、と両手で受け取ってから冬花さんは困ったような笑みを浮かべた。
「ちょっと……エドガーさんのエスコートに疲れちゃって……」
「ああ……なるほど」
そういえばキャプテンが来る前に冬花さんが彼のエスコートを受けていたな。うん、確かに彼の相手は大変だろうな。だって……、
「そうですね。エドガーさん、褒め上手ですから照れちゃって大変ですよね」
あんなにさらりと褒めることができる人だ。きっと冬花さんも色々褒められたんだろうな。とっても可愛いし。
「え?」
「私も少し話したんですが……その、自分を花に例えてもらったり、か、可愛いって言ってもらえたりして……嬉しいとは思うんですが、そういう言葉に慣れてなくて、ちょっと、恥ずかしかったです」
その時のやり取りを思い出せば、少しだけ頬が熱くなったのでパタパタと手で顔を仰ぐ。
イナズマジャパンを軽視はしていることは分かっているけれど、その中でも自分を女子として尊重してくれる彼は、まさに英国紳士だなというのが私のエドガーさんに対する印象だった。
「妬けるなぁ」
「わっ」
「ヒロトくん」
必殺技も見れたし、試合本番でのエドガーさんも楽しみだなと思っていると、真上からそんな言葉が降ってきて顔を上げればヒロトさんが立っていた。
「俺が初めて可愛いって言った時は、そんな顔しなかったのに」
隣に座りたいのかと思ったけれど、ヒロトさんは動く様子はなく私の前に立ったままポツリと呟いく。表情はいつもの笑顔のように見えるけれど声は少しだけ……拗ねている?
ヒロトさんの言葉で、冬花さんとの話が聞こえていたらしいと察する。そして自分が可愛いって言った時の反応に不満があるそうで。いやでも、
「ヒロトさんの言うかわいいは、小動物に対するタイプのかわいいじゃないですか」
ドレス姿の自分に言ってくれた時の可愛いとは別物なんだから照れるも何もない。と伝えればヒロトさんをきょとんとしていた。
「違うって言わなかったっけ?」
「……言ってましたけど、無意識で思ってそうだなぁって」
「えぇ、ひどいな」
私の言葉にヒロトさんは口元は笑みを浮かべた。
「俺は明奈ちゃんの事、女の子として見ているよ?」
そして少しだけ顔を近づけ、一緒に行った買い出しの時に告げられた事をもう一度言われた。
「……前々から思ってたんですが、女の子として見るって具体的にどういう意味なんですか?」
「ん、それはね……」
そこで、そもそもその言葉の意味が分からなかったことを思い出して尋ねれば、ヒロトさんは目を細めてそれから手をこちらに伸ばした時だった。
「ヒロトくん、ダメです」
私と基山さんの顔の間を、白い手袋をした手が遮った。
「冬花さん?わわっ」
いつになく真剣な眼差しでヒロトさんを見ている冬花さんを不思議に思ったのも束の間、ぐいっと頭を抱き寄せられ私はいつの間にか彼女の胸の中にいた(彼女の持っていたはずのコップは椅子に置かれてた)
「明奈ちゃんは純粋なので、変な事を教えちゃダメです」
「ふふっ、そうだね。それがこの子の可愛いところでもあるし」
冬花さんに抱きしめられて顔は見えないけれど、話し声は聞こえる。だけど何の話をしているかよく分からない。
純粋……?自分が??そういうのはもっと、こう……綺麗な人に使う言葉だろう。春奈とか……キャプテンとか……?
「冬花さん?ヒロトさん?」
「大丈夫だよ明奈ちゃん」
少し腕の力が緩んだところで顔を上げれば、冬花さんはじっと私を見てこくりと頷いた。
「明奈ちゃんは私が守るから」
それから、ふわりと慈愛に満ちた微笑みを浮かべて私の頭を撫でた。
「……そんな話してましたっけ?」
言葉の意味を知りたかっただけなのに、今の間に何があったんだ。
ちらりとヒロトさんを見てもさっきの拗ねている様子から一変、「よかったね、明奈ちゃん」とにこにことした笑顔を浮かべていた。
「ああ!」
私と風丸さんが再び選手達がいるところに戻れば、タイミングよくキャプテンも正装を着てやって来た。(周りに聞いたところによれば、キャプテンはグラウンドから直接木野さんを連れて走ってきたらしく、ユニフォーム姿のままだったらしくこちらで着替えたらしい)
慣れないタキシード姿に落ち着かないのか眉をひそめていたものの、立向居くんに手を振りながらの呼びかけに笑顔を浮かべ駆け寄ろうとした時だった。
「……ふ、ふふふっ」
冬花さんをエスコートしていたらしいエドガーさんが口元に手を近づけて静かに笑った。
それは二人きりで話した時とは、全く違う種類の笑みで、イナズマジャパンの視線がそちらへと向く。
「いや、失礼。あまりにも似合ってたもんだから」
エドガーさんは涼しい顔のまま一言そう言って、そのまま冬花さんを連れて行こうとするのを、目金さんが止めた。
「今のはウチのキャプテンに失礼じゃないですか?」
「失礼?ハハハッ、困るなぁ。誤解してもらっては……私は褒めたのですよ」
「褒めた?」
目金さんの指摘にエドガーさんは手を広げてそれから笑みを浮かべる。
「ええ。だから言ったじゃないですか。……似合ってる、って」
「お前なぁ……!」
「やめろ。綱海!」
そんな皮肉に対して、食いかかろうとしていた綱海さんを止めたのは他でもないキャプテンだった。
馬鹿にされた怒りはグラウンドでぶつけてやればいい。
オレ達はサッカーをしに来たのだから。
キャプテンは怒ることもなく、冷静にそう言った。
彼らしい言葉にイナズマジャパンも怒りの代わりに試合への闘気をみなぎらせる。
「ってことだ。楽しみにしてな。コテンパンにやっつけてやるからよ」
「だったら、やってみますか?……今ここで」
染岡さんの宣戦布告に対し、エドガーさんはニヤリと好戦的な笑みを浮かべる。
それからエドガーさんはキャプテンに対して、自身のシュートを止められるかどうかという、PK勝負を申し込めば、キャプテンは二つ返事でその勝負に乗った。
「円堂っ」
「兄ちゃん、待って」
「っ明奈……」
止めようとする兄ちゃんの肩に、私は手を置いて制する。
「面白いじゃん、やらしてあげなよ」
相手チームの実力を知れるいい機会なんだしさ。と私は笑みを浮かべる。……私の笑顔もエドガーさんと話していた時とは別物なんだろうなという自覚はあった。
それからパーティー会場近くのサッカーフィールド。
ピッチに立っているのはお互いのチームのユニフォームに身を包んだキャプテンとエドガーさんだけで、両チームの選手やパーティーの参加者は外で様子を見ていた。
「親善パーティがとんでもないことになっちゃいましたね」
「ええ……」
春奈や秋さんが心配そうに見守る中、勝負が始まった。
「…………」
私はというと、口元に手を当てながらじっとエドガーさんの方を見ていた。
エドガーさんとキャプテンのPK勝負。
結果はエドガーさんの必殺技 “エクスカリバー” という聖なる剣が振り下ろされたよう強力なシュートに、キャプテンの必殺技である “怒りの鉄槌” は敗れた。
韓国戦で作り出した必殺技をこうも簡単に破るシュートに、観戦してたみんな驚愕の表情を浮かべ、マネージャーも不安そうに眉を下げていた。
けど、キャプテンはゴールを決められたにも拘らず、落ち込む様子はなく逆に笑顔を浮かべていた。
それから私達の方に駆け寄って嬉々とした表情で話す。
「俺達は世界と戦える!こんな強い相手と戦えるんだ!!」
そんな真っ直ぐな熱い言葉に、浮かない表情を浮かべていたイナズマジャパンは笑みが戻り、士気が上がっていくのを感じる。
「オレ達も負けてられねぇな!」
「ああ。みんな、明日から特訓だ!!」
そして綱海さんの言葉に頷いた兄ちゃんの宣言にみんなが元気よく声を上げた。
言葉と行動で私達を照らしてくれる、やっぱりキャプテンは太陽みたいな人だ。
+++
その後、エドガーさんもキャプテンもタキシードに着替え直して、パーティーの続きが始まった。
「ふぅ……」
「冬花さん、ずいぶん疲れてますがどうしましたか?」
私は小さく息をついて備え付けの長椅子に座る冬花さんを見つけて、近くのスタッフから貰った二人分の飲み物のひとつを手渡しながら隣に座った。
ありがとう、と両手で受け取ってから冬花さんは困ったような笑みを浮かべた。
「ちょっと……エドガーさんのエスコートに疲れちゃって……」
「ああ……なるほど」
そういえばキャプテンが来る前に冬花さんが彼のエスコートを受けていたな。うん、確かに彼の相手は大変だろうな。だって……、
「そうですね。エドガーさん、褒め上手ですから照れちゃって大変ですよね」
あんなにさらりと褒めることができる人だ。きっと冬花さんも色々褒められたんだろうな。とっても可愛いし。
「え?」
「私も少し話したんですが……その、自分を花に例えてもらったり、か、可愛いって言ってもらえたりして……嬉しいとは思うんですが、そういう言葉に慣れてなくて、ちょっと、恥ずかしかったです」
その時のやり取りを思い出せば、少しだけ頬が熱くなったのでパタパタと手で顔を仰ぐ。
イナズマジャパンを軽視はしていることは分かっているけれど、その中でも自分を女子として尊重してくれる彼は、まさに英国紳士だなというのが私のエドガーさんに対する印象だった。
「妬けるなぁ」
「わっ」
「ヒロトくん」
必殺技も見れたし、試合本番でのエドガーさんも楽しみだなと思っていると、真上からそんな言葉が降ってきて顔を上げればヒロトさんが立っていた。
「俺が初めて可愛いって言った時は、そんな顔しなかったのに」
隣に座りたいのかと思ったけれど、ヒロトさんは動く様子はなく私の前に立ったままポツリと呟いく。表情はいつもの笑顔のように見えるけれど声は少しだけ……拗ねている?
ヒロトさんの言葉で、冬花さんとの話が聞こえていたらしいと察する。そして自分が可愛いって言った時の反応に不満があるそうで。いやでも、
「ヒロトさんの言うかわいいは、小動物に対するタイプのかわいいじゃないですか」
ドレス姿の自分に言ってくれた時の可愛いとは別物なんだから照れるも何もない。と伝えればヒロトさんをきょとんとしていた。
「違うって言わなかったっけ?」
「……言ってましたけど、無意識で思ってそうだなぁって」
「えぇ、ひどいな」
私の言葉にヒロトさんは口元は笑みを浮かべた。
「俺は明奈ちゃんの事、女の子として見ているよ?」
そして少しだけ顔を近づけ、一緒に行った買い出しの時に告げられた事をもう一度言われた。
「……前々から思ってたんですが、女の子として見るって具体的にどういう意味なんですか?」
「ん、それはね……」
そこで、そもそもその言葉の意味が分からなかったことを思い出して尋ねれば、ヒロトさんは目を細めてそれから手をこちらに伸ばした時だった。
「ヒロトくん、ダメです」
私と基山さんの顔の間を、白い手袋をした手が遮った。
「冬花さん?わわっ」
いつになく真剣な眼差しでヒロトさんを見ている冬花さんを不思議に思ったのも束の間、ぐいっと頭を抱き寄せられ私はいつの間にか彼女の胸の中にいた(彼女の持っていたはずのコップは椅子に置かれてた)
「明奈ちゃんは純粋なので、変な事を教えちゃダメです」
「ふふっ、そうだね。それがこの子の可愛いところでもあるし」
冬花さんに抱きしめられて顔は見えないけれど、話し声は聞こえる。だけど何の話をしているかよく分からない。
純粋……?自分が??そういうのはもっと、こう……綺麗な人に使う言葉だろう。春奈とか……キャプテンとか……?
「冬花さん?ヒロトさん?」
「大丈夫だよ明奈ちゃん」
少し腕の力が緩んだところで顔を上げれば、冬花さんはじっと私を見てこくりと頷いた。
「明奈ちゃんは私が守るから」
それから、ふわりと慈愛に満ちた微笑みを浮かべて私の頭を撫でた。
「……そんな話してましたっけ?」
言葉の意味を知りたかっただけなのに、今の間に何があったんだ。
ちらりとヒロトさんを見てもさっきの拗ねている様子から一変、「よかったね、明奈ちゃん」とにこにことした笑顔を浮かべていた。