寂しがり少女
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その日の夕方、アルデナさんにイタリア宿舎へ案内されてオルフェウスのメンバーに紹介された。最初は否定的だったオルフェウスの選手もキャプテンの裏表のない、ライバルとして試合を楽しみにしているという言葉で無事受け入れられた。
今晩はイタリア代表の宿舎で一泊されてもらうという話になり、夕食も用意してくれた。
イナズマジャパンのようにマネージャーがいないオルフェウスの食事は専属のコックが作るらしく、食事という時間だからか、食堂内の空気は少しだけ穏やかだった。
「フドウ。隣いいかい?」
「え?……どうぞ……?」
女子選手という物珍しさからか、たまに話しかけてくれるオルフェウスの選手達もいたけれど、基本は一人で食べていた私の隣に座ったのはオルフェウスのキャプテンであるフィディオ・アルデナさんだった。
てっきり交流のあるキャプテンと食事を共にすると思っていたので、少しだけ呆けてしまった私は何とか頷けばアルデナさんはにこりと人の良い笑みを浮かべて隣に座った。
「さっきはうちのチームメイトがごめんね」
「さっき?」
「女子選手だから、と君を下に見るような発言をしたことを詫びたいんだ」
「ああ…………」
それから申し訳なさそうな表情を浮かべるアルデナさんの言葉でようやく合点がいった。
―『女なんかに大事な試合を任せられるか』
それはキャプテンがオルフェウスの選手へと説得する前に否定的だった選手の一人が私を指差して言ったことだ。
それに対して私は久しぶりに選手からの男女差別だな、と思いながら適当な返事を返したことは覚えている。
本当なら「怪我人よりはマシなプレーできると思いますよ」って言おうと思ったけれど、流石に溝を深めるだけだなのでやめておいた。本戦の時にいう人がいれば、言い返すぐらいに留めておこう。
私の対応の薄さが傷ついたように見えてしまったのか。そう思うと申し訳ないな。
「気にしてません。イタリア代表を決めるための大事な試合の助っ人に他国の……しかも唯一の女子選手なんて誰だって不安に思います」
イタリア宿舎のコックが用意してくれたスパゲッティをフォークでくるくる回しながら、アルデナさんに伝えれば彼は目を丸くして私を見た。
「……強いな、君は」
「え?」
「性差を受け入れた上で、戦うことを選ぶなんて……凄いな」
「……大袈裟ですよ。そんな大層な理由じゃありません」
確かに、日本代表に選ばれたからには、女子サッカー界を盛り上げたいとは思うし、アジア予選後は実際に活躍できたからか女子でサッカーをしている子達に激励を送られることも増えた。
だけど、結局のところ私が男子と一緒にサッカーをしている理由はとても単純だった。
「……友達が言ってくれたんです」
「友達?」
「……アルデナさんの出身地であるイタリアで出来た、初めての友達に励ましてもらったんです」
私はフォークの手を止めて、一度目を閉じれば思い出すのは“あの子”が笑顔で言ってくれた言葉だった。
「男も女も関係ないって笑い飛ばしてくれて……嬉しかった」
この言葉のおかげで、サッカーにおける男女差で悩むことを私はやめた気がする。彼本人にとっては気休めの言葉だったとしても私が救われたのは事実だ。
そんな意思を貫いてサッカーを続けていたからこそ、忍ちゃんとも友人になれたのだろうし。
「フドウは……その友達の事が好きなんだね」
「まぁ……そうです、ね……」
はっと目を開ければアルデナさんが優しい笑みを浮かべながらこっちを見ていて、私はいつの間にか緩んでしまった顔を誤魔化すように小さく咳払いをするも、アルデナさんはにこにことと笑みを絶やさなかった。
+++
「不動、携帯電話ありがとうな!」
「……ああ。そういえばキャプテンに貸してましたね」
夕食後、試合に出るオルフェウスの選手とのミーティングを終わらせた後の自由時間。外には出れないので仕方なく先に風呂に入り宿泊のため用意してもらった部屋へと行く際に、キャプテンに声を掛けられて貸した携帯電話を手渡された。
「監督に連絡できましたか?」
「ああ!響木監督に言っておいた!」
電話に出たのは響木監督だったらしい。私から連絡来ると思って気にしてたのかな……キャプテンから電話が来て驚いただろうな。
「そういえば不動、一人か?」
「…………」
「あっ!いやっ、鬼道と佐久間どこに行ったのかなぁ~って……」
一人ということに触れられ、感情が顔に出てしまったらしい。
すぐにしまったと顔をひきつらせたキャプテンは、頭の後ろに手を回しながら誤魔化すように目を逸らすものの言葉は素直で全く逸らせていない。
そんな素直な人に八つ当たりをしてしまった自分にため息をつきながら疑問に答えることにする。
「兄ちゃんと佐久間さんは宿舎前のフィールドの点検に行きましたよ。……ミスターKが影山なら、何仕組んでもおかしくないですからね」
「そうか……」
「私も」
「ん?」
「私も、ついていきたかったけど止められました」
「……そうか」
私が外に出れない理由はこれだった。
佐久間さんと合流する前の不審者に絡まれた話をした所、兄ちゃんに問答無用で外に出ないように言い渡された。
……でも、不審者云々がなくても私の同行は許してもらえなかっただろう。何となくそんな確信があった。
「…………心配してくれている事は分かってるつもりなんですけどね……やっぱり除け者にされてる気がして、寂しいなって」
「不動……」
すぐ近くの壁に背中をつきながら、私はため息をつく。
佐久間さんとの和解ができていてよかった。また変な嫉妬心を拗らせるところだったな、ともう一度大きく息を吐いて、それからこんな愚痴を聞かせてしまったキャプテンの方を見て何とか笑みを浮かべる。
「すみません。せっかくキャプテンが背中押してくれたのに……私の言葉じゃ、いつまで経っても兄を安心させれなくて……」
「だったらサッカーだ!」
落ち込んでいく気持ちを吹き飛ばすような溌剌とした声が耳に届いて私は目を瞬かせた。眉を寄せて真剣な顔で私の話を聞いていたはずのキャプテンは妙案を思いついたかのように目を輝かせていた。
「サッカーって……こんな時にですか?」
「こんな時だからこそだ!言葉で伝わらないことも、ボールを通じて分かり合う。それがイナズマジャパンだろ?」
「!」
大きく両腕を広げて力説するキャプテンの話に、私の脳裏に甦るのは韓国戦の時のことで。
「そう、ですね……」
確かに兄との会話はサッカーを優先させてしまっている。だからこそ、サッカーを通じてならちゃんと話せるかもしれない。
そんな得意でもないくせに対話にこだわりすぎていた。目から鱗が落ちるとはこのことか。
「……影山のことが無事解決したら、兄と話そうと思います。ボールを蹴り合いながら」
「おうっ!」
単純なもので、解決の糸口が見えた途端、今度は素直な笑みを浮かべることができた。
私の表情を見たキャプテンはニッと歯を見せて笑ってくれて、そんな彼の笑顔に力を貰える感覚がして、兄がキャプテンを信頼する理由がよく分かった。
「明日の試合、頑張ろうな!!」
それからキャプテンは拳を真っ直ぐ私に突き出してきた。
……これは、確か壁山くんはこうしてたな。と記憶を頼りに私も拳を握ってキャプテンの拳へと近づける。
「はい」
こつん、と互いに拳をぶつけて明日の試合に向けて意気込んだ。
+++
それから次の日の午後、グラウンドへと向かえばこちらに背を向けてチームKと向かい合っているミスターKの背中が見えた。
「逃げなかったか」
「約束です!俺たちが勝てばイタリア代表の座は返してもらいます!」
「無論。だがそいつらは?」
ミスターKが示しているのは私達日本代表のことだろう。キャプテンが説明をした。
「俺たち、日本代表イナズマジャパンのメンバーです」
「負傷したメンバーに代わって、彼らが出てくれると言ってくれてます」
「フッ。帰ってきたか……鬼道、私の作品よ」
「!」
その台詞と、振り向いたミスターKの姿を見て兄が驚愕の表情を浮かべる。真正面でその姿を見たことで、佐久間さんやキャプテンだってすぐに分かったみたいだった。
ミスターKは、影山零治で間違いなかった。
緊張感に包まれる私達の反応を見たアルデナさんは彼が影山であり、本当にオルフェウスの選手の怪我の関与している事を察して呆然としていると別の声が聞こえた。
「総帥はK。……ミスターKだ」
それは影山に隠れて見えなかったチームKの選手だったようで。
「……ッ!?」
私は現れたその選手の姿を見て息を呑んだ。
薄い赤のマントをつけたその選手は、ドレッドを一つに結び、赤いゴーグルをかけていた。
まるで、兄のような姿をした選手の登場に周りも驚いたような声が聞こえたけれど。
私の驚きはそっちじゃなかった。
だって、その声は、その容姿は…………
「紹介しよう、我がチームKの司令塔。デモーニオ・ストラーダだ」
影山によって紹介された名前が、もう答えだった。
「っ!?」
「デモーニオ……!?」
「鬼道にそっくりじゃないか、あいつ!」
「…………なに、したんだよ」
「不動……?」
兄ちゃんに似てるとか似てないとか、私には関係なくて。
ぽつりと呟いた言葉は自分でもびっくりするぐらい低かった。
「デモーニオに何したんだよッ!?」
ぐしゃりと前髪を掴みながら私は影山を睨みつけた。
だって、だってそうじゃないか。何か弱みを握られているか、操られてでもしていないと納得なんてできる訳ない。
イタリアで私に手を伸ばしてくれた彼がっ、
デモーニオが、影山の元に行く訳がない……!!
今晩はイタリア代表の宿舎で一泊されてもらうという話になり、夕食も用意してくれた。
イナズマジャパンのようにマネージャーがいないオルフェウスの食事は専属のコックが作るらしく、食事という時間だからか、食堂内の空気は少しだけ穏やかだった。
「フドウ。隣いいかい?」
「え?……どうぞ……?」
女子選手という物珍しさからか、たまに話しかけてくれるオルフェウスの選手達もいたけれど、基本は一人で食べていた私の隣に座ったのはオルフェウスのキャプテンであるフィディオ・アルデナさんだった。
てっきり交流のあるキャプテンと食事を共にすると思っていたので、少しだけ呆けてしまった私は何とか頷けばアルデナさんはにこりと人の良い笑みを浮かべて隣に座った。
「さっきはうちのチームメイトがごめんね」
「さっき?」
「女子選手だから、と君を下に見るような発言をしたことを詫びたいんだ」
「ああ…………」
それから申し訳なさそうな表情を浮かべるアルデナさんの言葉でようやく合点がいった。
―『女なんかに大事な試合を任せられるか』
それはキャプテンがオルフェウスの選手へと説得する前に否定的だった選手の一人が私を指差して言ったことだ。
それに対して私は久しぶりに選手からの男女差別だな、と思いながら適当な返事を返したことは覚えている。
本当なら「怪我人よりはマシなプレーできると思いますよ」って言おうと思ったけれど、流石に溝を深めるだけだなのでやめておいた。本戦の時にいう人がいれば、言い返すぐらいに留めておこう。
私の対応の薄さが傷ついたように見えてしまったのか。そう思うと申し訳ないな。
「気にしてません。イタリア代表を決めるための大事な試合の助っ人に他国の……しかも唯一の女子選手なんて誰だって不安に思います」
イタリア宿舎のコックが用意してくれたスパゲッティをフォークでくるくる回しながら、アルデナさんに伝えれば彼は目を丸くして私を見た。
「……強いな、君は」
「え?」
「性差を受け入れた上で、戦うことを選ぶなんて……凄いな」
「……大袈裟ですよ。そんな大層な理由じゃありません」
確かに、日本代表に選ばれたからには、女子サッカー界を盛り上げたいとは思うし、アジア予選後は実際に活躍できたからか女子でサッカーをしている子達に激励を送られることも増えた。
だけど、結局のところ私が男子と一緒にサッカーをしている理由はとても単純だった。
「……友達が言ってくれたんです」
「友達?」
「……アルデナさんの出身地であるイタリアで出来た、初めての友達に励ましてもらったんです」
私はフォークの手を止めて、一度目を閉じれば思い出すのは“あの子”が笑顔で言ってくれた言葉だった。
「男も女も関係ないって笑い飛ばしてくれて……嬉しかった」
この言葉のおかげで、サッカーにおける男女差で悩むことを私はやめた気がする。彼本人にとっては気休めの言葉だったとしても私が救われたのは事実だ。
そんな意思を貫いてサッカーを続けていたからこそ、忍ちゃんとも友人になれたのだろうし。
「フドウは……その友達の事が好きなんだね」
「まぁ……そうです、ね……」
はっと目を開ければアルデナさんが優しい笑みを浮かべながらこっちを見ていて、私はいつの間にか緩んでしまった顔を誤魔化すように小さく咳払いをするも、アルデナさんはにこにことと笑みを絶やさなかった。
+++
「不動、携帯電話ありがとうな!」
「……ああ。そういえばキャプテンに貸してましたね」
夕食後、試合に出るオルフェウスの選手とのミーティングを終わらせた後の自由時間。外には出れないので仕方なく先に風呂に入り宿泊のため用意してもらった部屋へと行く際に、キャプテンに声を掛けられて貸した携帯電話を手渡された。
「監督に連絡できましたか?」
「ああ!響木監督に言っておいた!」
電話に出たのは響木監督だったらしい。私から連絡来ると思って気にしてたのかな……キャプテンから電話が来て驚いただろうな。
「そういえば不動、一人か?」
「…………」
「あっ!いやっ、鬼道と佐久間どこに行ったのかなぁ~って……」
一人ということに触れられ、感情が顔に出てしまったらしい。
すぐにしまったと顔をひきつらせたキャプテンは、頭の後ろに手を回しながら誤魔化すように目を逸らすものの言葉は素直で全く逸らせていない。
そんな素直な人に八つ当たりをしてしまった自分にため息をつきながら疑問に答えることにする。
「兄ちゃんと佐久間さんは宿舎前のフィールドの点検に行きましたよ。……ミスターKが影山なら、何仕組んでもおかしくないですからね」
「そうか……」
「私も」
「ん?」
「私も、ついていきたかったけど止められました」
「……そうか」
私が外に出れない理由はこれだった。
佐久間さんと合流する前の不審者に絡まれた話をした所、兄ちゃんに問答無用で外に出ないように言い渡された。
……でも、不審者云々がなくても私の同行は許してもらえなかっただろう。何となくそんな確信があった。
「…………心配してくれている事は分かってるつもりなんですけどね……やっぱり除け者にされてる気がして、寂しいなって」
「不動……」
すぐ近くの壁に背中をつきながら、私はため息をつく。
佐久間さんとの和解ができていてよかった。また変な嫉妬心を拗らせるところだったな、ともう一度大きく息を吐いて、それからこんな愚痴を聞かせてしまったキャプテンの方を見て何とか笑みを浮かべる。
「すみません。せっかくキャプテンが背中押してくれたのに……私の言葉じゃ、いつまで経っても兄を安心させれなくて……」
「だったらサッカーだ!」
落ち込んでいく気持ちを吹き飛ばすような溌剌とした声が耳に届いて私は目を瞬かせた。眉を寄せて真剣な顔で私の話を聞いていたはずのキャプテンは妙案を思いついたかのように目を輝かせていた。
「サッカーって……こんな時にですか?」
「こんな時だからこそだ!言葉で伝わらないことも、ボールを通じて分かり合う。それがイナズマジャパンだろ?」
「!」
大きく両腕を広げて力説するキャプテンの話に、私の脳裏に甦るのは韓国戦の時のことで。
「そう、ですね……」
確かに兄との会話はサッカーを優先させてしまっている。だからこそ、サッカーを通じてならちゃんと話せるかもしれない。
そんな得意でもないくせに対話にこだわりすぎていた。目から鱗が落ちるとはこのことか。
「……影山のことが無事解決したら、兄と話そうと思います。ボールを蹴り合いながら」
「おうっ!」
単純なもので、解決の糸口が見えた途端、今度は素直な笑みを浮かべることができた。
私の表情を見たキャプテンはニッと歯を見せて笑ってくれて、そんな彼の笑顔に力を貰える感覚がして、兄がキャプテンを信頼する理由がよく分かった。
「明日の試合、頑張ろうな!!」
それからキャプテンは拳を真っ直ぐ私に突き出してきた。
……これは、確か壁山くんはこうしてたな。と記憶を頼りに私も拳を握ってキャプテンの拳へと近づける。
「はい」
こつん、と互いに拳をぶつけて明日の試合に向けて意気込んだ。
+++
それから次の日の午後、グラウンドへと向かえばこちらに背を向けてチームKと向かい合っているミスターKの背中が見えた。
「逃げなかったか」
「約束です!俺たちが勝てばイタリア代表の座は返してもらいます!」
「無論。だがそいつらは?」
ミスターKが示しているのは私達日本代表のことだろう。キャプテンが説明をした。
「俺たち、日本代表イナズマジャパンのメンバーです」
「負傷したメンバーに代わって、彼らが出てくれると言ってくれてます」
「フッ。帰ってきたか……鬼道、私の作品よ」
「!」
その台詞と、振り向いたミスターKの姿を見て兄が驚愕の表情を浮かべる。真正面でその姿を見たことで、佐久間さんやキャプテンだってすぐに分かったみたいだった。
ミスターKは、影山零治で間違いなかった。
緊張感に包まれる私達の反応を見たアルデナさんは彼が影山であり、本当にオルフェウスの選手の怪我の関与している事を察して呆然としていると別の声が聞こえた。
「総帥はK。……ミスターKだ」
それは影山に隠れて見えなかったチームKの選手だったようで。
「……ッ!?」
私は現れたその選手の姿を見て息を呑んだ。
薄い赤のマントをつけたその選手は、ドレッドを一つに結び、赤いゴーグルをかけていた。
まるで、兄のような姿をした選手の登場に周りも驚いたような声が聞こえたけれど。
私の驚きはそっちじゃなかった。
だって、その声は、その容姿は…………
「紹介しよう、我がチームKの司令塔。デモーニオ・ストラーダだ」
影山によって紹介された名前が、もう答えだった。
「っ!?」
「デモーニオ……!?」
「鬼道にそっくりじゃないか、あいつ!」
「…………なに、したんだよ」
「不動……?」
兄ちゃんに似てるとか似てないとか、私には関係なくて。
ぽつりと呟いた言葉は自分でもびっくりするぐらい低かった。
「デモーニオに何したんだよッ!?」
ぐしゃりと前髪を掴みながら私は影山を睨みつけた。
だって、だってそうじゃないか。何か弱みを握られているか、操られてでもしていないと納得なんてできる訳ない。
イタリアで私に手を伸ばしてくれた彼がっ、
デモーニオが、影山の元に行く訳がない……!!